富豪刑事
ふごうけいじ
筒井康隆があえてミステリー小説に挑戦した作品。1975年から1977年にかけて合計4編が新潮社の文芸雑誌「小説新潮」にて発表されていた。
その名の通り大金持ちのぼんぼんの刑事・神戸大助が、父・喜久右衛門から託された資金を生かして事件解決に結びつける、と言う内容。
4編で打ち切られたのは、筒井がトリックを考えるのが苦手だった上、彼自身が作品のマンネリ化を恐れたがゆえであった。
2005年・2006年にドラマ化、2020年にテレビアニメ化しているが、設定はそれぞれ大幅に改編されている。
なお、筒井も演者としてカメオ出演している他、主演はどちらも筒井が所属するホリプロの俳優が務めている。
神戸大助(かんべだいすけ)
主人公。富豪の御曹司だが、それを鼻に掛けない、いい人、のはずなのだが、金銭感覚が相当壊れている。
該当項目も参照。
神戸喜久右衛門
大助の父。いわゆる金の亡者で、その人非人振りは、妻(大助の母)が自分の事で心痛するあまり寿命を縮めてしまっても、なんとも思わなかったほど。
しかし、あることがきっかけで改心している様で、警察官になった大助が犯罪捜査によって自分の築いた財産を食いつぶしてくれることに期待している。
本作を原案としたテレビドラマシリーズが東宝の手によって製作されており、2005年1月から3月にかけておよび2006年4月から6月にかけて、テレビ朝日系列局で放送されている。いずれも全10話。なお、第2シリーズのタイトルは「富豪刑事デラックス」。
主人公を女性に置き換えるなど、原作とはかなり異なった部分があるが、原作者の筒井の許しを得ている、のならまだしも、脚本の下書きを見た筒井が「俺の書いたものはおとなしすぎた。ドラマの方が破天荒になってて素晴らしい」と思ってしまい、挙句の果てには「こうしたらもっとメチャクチャになっちゃうかもね」と、自分から番組関係者に入れ知恵を付けることもあったという。
神奈川県のとある町が主な舞台、と言う設定がある。
主な登場人物
該当項目を参照。
神戸喜久右衛門(演:夏八木勲)
美和子の祖父に変更になっている他は基本「原案」に沿っている。
孫娘を溺愛しているが、減らしてくれる筈の財産を毎回増やしてしまう結果には「このジジイ不孝者!!」とキレてしまうこともしばしば。
鈴木松江(演:市毛良枝)
喜久右衛門の秘書。美和子以上に天然ボケなところがある一方、実は喜久右衛門は必要以上に彼女を恐れている。
鎌倉熊成(演:山下真司)
布引幸四郎(演:寺島進)
美和子の先輩の一人にして理解者。ヤッチャンの様な風貌の持ち主(だからか、この人が取り調べをすると、容疑者からのクレームが付いてしまう)だが、刑事としてはまとも。
狐塚虎彦(演:相島一之)
美和子の先輩の一人で、ベタベタな嫌味人間。
美和子のことを快く思っておらず、彼女が帰る際には「こらー! 勝手に帰るなー!」と突っ込みを入れる。
西島誠一(演:載寧龍二)
美和子の同僚。美和子をしばしば助けるため、彼女にとっては王子様の様な存在なのだが、肝心の本人が朴念仁なため関係は全く進展していない。
神奈川県警のお偉いさんに対し笑顔で捜査本部のダメっ振りを暴露してしまうことがしばしばある。
瀬崎龍平(演:筒井康隆)
美和子の活躍振りに不快感をあらわにする男。これには深い訳があった。
「富豪刑事デラックス」には登場しない。
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