データ
身長:2〜50m、体重:12kg〜1万8000t
CV:寺田農
概要
第24話「狙われない街」に登場。
『セブン』の「狙われた街」に登場したメトロン星人と同一人物。
「セブンに一刀両断されながらも着ぐるみの修繕の要領で治療されて一命を取りとめた」という設定で、普段は円谷プロの怪獣倉庫(着ぐるみ倉庫)に潜伏している。そのため、体に大きな縫い目がある。また、その時助けてくれた少年とは、40年が経ち彼が中年の刑事になっても「メトロン」「ケンちゃん」と呼び合うほど仲がいい。人間体は飄々としたスーツ姿の老人(声を演じた寺田農が人間体も演じている)で、長い潜伏生活で地球に愛着がわいている。
今回は、携帯電話から電磁波を流すことで人間を凶暴化させていた。しかし、以前のようにそれによって積極的に地球侵略を狙ったわけではなく、「機械に頼りすぎる地球人は何もしなくてもいずれ自滅する」という結論に達し、わざわざウルトラマンや原住民と戦う危険を冒してまで侵略する必要はなく、人間が勝手に滅んだ後で手に入れてしまえば良いとしており「その自滅をちょっと手助けしただけで悪気はない」との事。携帯電話という便利なツールで人間が退化していく様子を「猿」と例えており劇中演出でも痛烈に皮肉って描かれている。(上記のナレーションで「これは未来の出来事です、今の人間は宇宙人に利用されるほどお互いを信頼していませんから」と皮肉られていたが、その「未来」である今、当の宇宙人から「侵略という手間をかける価値も必要もない、待ってれば人間は居なくなるからいずれ地球は手に入る」と判断されてしまっている事がわかる)
同話の後半になってもマイペースを貫き、自ら潜伏場所に案内したカイト隊員(ウルトラマンマックス)をお約束のちゃぶ台でおもてなし(弄り倒すとも言う)しながら「眼兎龍茶(めとろんちゃ)」というPB商品すら勧めてくる始末であった。帰還を賭けたじゃんけん合戦の末、トイレのスッポンから自分のソフビ人形等を地球土産としてまとめ、本性を現し巨大化はしたもののその場でぴょこぴょこと走るふり(セブン戦開幕のオマージュ、またその行為を足踏みと捉え「セブンの頃から技術レベルだけが上がって人間は一歩たりとも進んでいない」事を表しているとも言われている)をするなどふざけてばかりで戦おうとせず、カイトに対しても「お前さんも宇宙人の仲間じゃないか。低脳化して環境を破壊して礼儀も知らない人類を!物好きに護る必要もなかろう?」と的を射た正論を述べ、最後に「地球の黄昏が一番の土産」として迎えの宇宙船に乗って母星への帰還を果たした。マックスも思わず手を振って見送ってしまった。
メトロン「地球の夕焼けは美しいなぁ・・・取り分け日本の黄昏は。この陰翳礼讃が何よりの土産だな」
マックス「つべこべ言うんじゃない!!」
メトロン「ピュ〜♪(口笛)」
余談
寺田氏の怪演もあって、この回はシュールギャグとして受け取られがちだが、メトロン星人の美しい地球への愛情と、いつまでたっても進歩しない地球人への失望の両方が窺える仕様となっており、彼の正論にカイトも「いいから早く帰れよ!」と繰り返すだけで言い返すことができなかった。
ある意味メトロン星人のキャラクターを掘り下げたドラマでもあった(昭和と平成の対比、メトロン星人の仕草など随所に作りこまれている)。
更に、当初は「町を狙っていた(人間=町を攻撃しなければ地球は手に入らないと思っていた)」宇宙人が「町を狙わなくなった(友好的な意味ではなく町=人間を無価値かつすぐ自滅すると判断した)」とも取れるタイトルの対比は今もなお語られている。
なお、マックスは他のウルトラマンのシリーズとは独立した世界観であり、そもそもマックス1話が地球史上初の怪獣来襲であるはずだが、この話は例外であるとのこと。
(ちなみに劇中ではセブンの存在は触れられておらず、ギルファスの件でかつてマックスが地球に訪れていた事が判明している為に「マックスにより倒されかけた」という解釈も行うことが出来る)
このように特徴的なエピソードの一方、「2度も人間を暴走させ被害を出しているにもかかわらず今の人類に呆れ勝手に見限る」というタチの悪さを突っ込まれる事が多い。このエピソードが生前の実相寺監督の担当した最後の作品であるが平成からの作品では幻想的やメタ要素を含んだ摩訶不思議な展開などが主だった中で、初代マンやセブンの頃の本来氏が得意としていた文明批判やウルトラマンの無力さを強烈に描いたかなり異質なエピソードである。
(そもそも上記のセブン時のラストのナレーションも実相寺氏が後から加えたものである)