事の発端
十二支高校野球部の合宿で4つのメニューをこなした全部員。
20人のレギュラーを「雄軍」、それ以外を「賊軍」と呼ぶクラス分けの結果、1年生は誰1人雄軍には入っていなかった。
この結果に辰羅川が「直接ぶつかってもいないのに1年生全員が雄軍入り出来ないのは納得できない。」と異議を申し立て、羊谷監督は「1年軍VS2・3年軍」の対決を提案した。
ルール
9イニング制の野球であるが、下記に記す通り、得点時に特別ルールが発動する。
特別ルール
得点が入る度に、重さ1kgの錘を腕か足に付ける。
投手は肩を封鎖されると大量得点に繋がってしまうことから、投手の封鎖は禁止。
よって、投手を除く8ポジションの腕か足が対象になる。
腕と足の封鎖は1人にそれぞれ2個ずつ、最大で4kg分の錘が付けられる。
封鎖箇所を決める権利は、打点を挙げた者のみ。
なお、途中交代した場合でも、封鎖は取り消されず引き継がれる。
スターティングメンバー
《先攻:2・3年賊軍》
牛尾曰く、「2・3年賊軍が雄軍入りチケットを争うチャンスはこれが最後」。
《後攻:1年軍》
犬飼がクロスカントリーで足を負傷した影響から、子津が先発になった。
試合経過
1回表
プレイボール 0-0
1番・高崎:子津のサイドスロー(130km)に手が出ず空振り三振。
一死走者なし
2番・新里:落差75kmの超スローカーブ(55km)に対応出来ず空振り三振。
二死走者なし
3番・長戸:空振り三振で三者凡退。
1回裏
無死走者なし 0-0
1番・兎丸:特注バットを垂直に振り下ろす断頭台(ギロチン)で滞空時間を稼ぎ、一気に二塁まで進む。
無死二塁
2番・司馬:スクイズで兎丸が二塁から一気に生還し、1年軍が先制。0-1
封鎖箇所は右翼新里の腕。
無死一塁
3番・子津:安打
無死一・二塁
4番・辰羅川:安打
無死満塁
5番・猿野:一本足打法でカーブをジャストミートし、グランドスラム。0-5
封鎖箇所は左翼印西と中堅大歩危の手足に1つずつ付いた。
無死走者なし
6番・明神:安打
無死一塁
7番・本庄:安打
無死一・二塁
8番・片貝:四球
無死満塁
9番・桶川:押し出し四球。0-6
封鎖箇所は右翼新里の足。
結果的に賊軍はアウトを1つも取れないまま、打者一巡を許してしまう。
この状況に、2・3年軍は雄軍へと交代となった。
言い訳を並べて食い下がろうとする賊軍に、牛尾は「今を戦わない者に、次はやっては来ないよ。」とピシャリと言い放つ。
2・3年軍、守備交代
投手:一宮→鹿目
捕手:平田→三象
一塁手:長戸→虎鉄
二塁手:高崎→猪里
三塁手:日向→牛尾
遊撃手:藤崎→蛇神
左翼手:印西→津島
中堅手:大歩危→平泉
右翼手:新里→本吉
なお、封鎖された外野陣は途中交代しても取り消されず、津島・平泉・本吉にそのまま引き継がれた。
無死満塁 0-6
1番・兎丸:断頭台で遊撃・蛇神の頭上を超えようとするが捕られてしまい、一ゴロ。さらに本塁で三走・本庄がブロックされ併殺となった。
二死二・三塁
2番・司馬:1球目を見送った後、捕手・三象が三塁を飛び出していた走者・片貝を刺して3アウトチェンジ。
《2・3年雄軍オーダー》
1回は三者凡退で抑えたため、4番の牛尾から攻撃が始まる。
2回表
無死走者なし 0-6
4番・牛尾:3球目の超スローカーブを振り子打法で捕らえ、右翼へソロホームラン。1-6
封鎖箇所は兎丸の足となった。
無死走者なし 1-6
5番・蛇神:初球のクロスファイヤーを六道眼で捕らえ、右翼へ2者連続ホームラン。2-6
封鎖箇所は再び兎丸の足となった。
無死走者なし 2-6
6番・三象:バットの上っ面に当たる詰まった打球が、中堅最奥まで飛ばすも片貝が掴み1アウト。
一死走者なし
7番・鹿目:四球
一死一塁
8番・津島:左翼に抜けようかという当たりを遊撃・司馬が捕らえ、バックトスで二塁へ投げ2アウト。
さらに兎丸が一塁・猿野へ送球して一塁もアウト。6-4-3のダブルプレーで3アウトチェンジ。
2回裏
無死走者なし 2-6
2番・司馬:一球も振らず見逃し三振。
一死走者なし
3番・子津:初登場した鹿目の決め球「剃刀カーブ」に手も足も出ず空振り三振。
二死走者なし
4番・辰羅川:剃刀カーブの2段目にバットが空を切り三者凡退。
3回表
無死走者なし 2-6
9番・平泉:空振り三振。
一死走者なし
1番・本吉:空振り三振。
二死走者なし
2番・猪里:セーフティバントを狙う。三塁の明神が捕ろうとするも地面の出っ張りで軌道が変化して捕れず。
遊撃の司馬がカバーに入って一塁に送球するも、猿野がエラーし猪里は二塁へ進む。
すかさず辰羅川がカバーに入って二塁へ投げるが、フックスライディングでタッチを掻い潜りセーフ。記録は猿野のエラー。
二死・二塁
3番・虎鉄:DUVS(ダウンアッパーブイストーム)でスローカーブを捕らえ、フェンス直撃の適時二塁打。3-6
その後も4番・牛尾から7番・鹿目まで5連続安打で徐々に点差を詰められ、1番・本吉の攻撃終了時には8-6と逆転された。
その間の封鎖箇所は兎丸の腕に2つ。これで足と合わせて兎丸には4点分の錘が付いた。さらに司馬と猿野の腕にもそれぞれ2つずつ付いた。
ここで子津が降板し、犬飼がマウンドに上がる。
1年軍、守備位置変更
投手:子津→犬飼
右翼手:桶川→子津
桶川がベンチに下がり、犬飼が9番打者に入る。
二死満塁 8-6
2番・猪里:バントをさせず犬飼が三振に抑えて長い攻撃が終わった。
4回表
※3回裏は省略された。
3番・虎鉄、4番・牛尾、5番・蛇神を三者連続で空振り三振に仕留める。
その後は鹿目と犬飼が点を与えないまま回は進んで7回裏へ。
7回裏
無死走者なし 8-6
1番・兎丸:左打者ということで剃刀カーブが使えないため出塁のチャンスだったが、腕の封鎖で断頭台の勢いが出ずサードゴロ。
一死走者なし
2番・司馬:一球も振らず見逃し三振。
二死走者なし
3番・子津:空振り三振で三者凡退。
8回裏
※8回表は省略された。
無死走者なし 8-6
4番・辰羅川:空振り三振。
一死走者なし
5番・猿野:全身突っ込み打法で剃刀カーブ攻略を試みるも打球は左翼・津島の真正面。左直で2アウト。
二死走者なし
6番・明神:四球で出塁。
二死一塁
7番・本庄:三振で後が続かず。
9回表
ここまで無失点に抑えてきた犬飼が遂に捕まった。
封鎖された3人(猿野・兎丸・司馬)のエラーが絡んで2点を献上してしまう。10-6
封鎖箇所は中堅・片貝の腕に2つ。
9回裏
無死走者なし 10-6
8番・片貝:見様見真似で全身突っ込み打法を試みるも、腕の封鎖で前へ飛ばずピッチャーゴロ。
一死走者なし 10-6
9番・犬飼:初球のストレートを捕らえてピッチャー返しで中堅へ抜けようかという当たりを、
二塁・猪里が素手(右手)でダイレクトキャッチ。二直で後がなくなった。
二死走者なし 10-6
1番・兎丸:バットを普通のバットに変えて、飛び込んだ勢いで断頭台をきる「断頭台ターボ」でバットに当てる。
ボールは蛇神のグラブをはじくが牛尾がすぐさまカバーし一塁へ送球。
兎丸は気迫のヘッドスライディング。判定はセーフで内野安打となった。
二死一塁 10-6
2番・司馬:今まで一度もバットを振らなかった司馬が剃刀カーブを初めて攻略。
最後の一球一打席に全てを賭けた司馬がレフト前にヒットし後に繋いだ。
二死一・二塁 10-6
3番・子津:ここで兎丸と司馬がダブルスチールを仕掛け、子津が配球を読んでストレートを打ち返した。
猪里が再び素手で捕ろうとするが、右手を弾いて外野に転がる。
兎丸が三塁を蹴りホームへ向かうも封鎖の影響で失速してしまう。
中堅・平泉がバックホームし三象がタッチしようとするが、テイクオフスピードV3でタッチを掻い潜り生還。10-7
封鎖箇所は右翼・本吉の足(2つ目)。
二死一・二塁 10-7
4番・辰羅川:2ストライクに追い込まれたが、剃刀カーブを打つ。
打球は三塁・牛尾の頭上を越えレフト前へ。
司馬が二塁から一気に本塁へ生還。10-8
封鎖箇所は右翼・本吉の腕(2つ目)。
1年軍の粘りに鹿目が荒れるが、牛尾の叱咤で我に返る。
二死一・二塁 10-8
5番・猿野:2ストライクからの3球目を一本足打法で打ち返すが、風に押し戻されて失速しファールゾーンへ。
左翼の津島が懸命に追うが、フェンスに激突した影響でボールをこぼしファール。
そして続く4球目。ミットに収まる直前を狙って猿野は右手一本で片手打ち。
打球は右翼ファールゾーンへ飛ぶが、風でフェアゾーンに押し戻され、左翼方向への特別守備がここにきて裏目に出る形となった。
右翼・本吉は4点分の封鎖でダメージが大きい。その間に二塁走者の子津と一塁走者の辰羅川が生還しついに10-10の同点に追い付いた。
そして猿野は三塁を蹴り本塁へ向かう。
本吉から猪里へ中継されたが、鹿目が割り込み三象へ好返球。
完全にアウトのタイミングとなってしまうが、猿野が三象にタックルする形で本塁に突っ込む。
クロスプレーの結果、ボールをこぼしており判定はセーフ。10-11で1年軍のサヨナラ勝ちとなった。
試合結果
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2・3年軍 | 0 | 2 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 10 |
1年軍 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5X | 11 |
勝:犬飼冥
負:鹿目筒良
本塁打:猿野1号満塁(1回・一宮)、牛尾1号ソロ(2回・子津)、蛇神1号ソロ(2回・子津)、猿野2号3ラン(9回・鹿目)
MVP:猿野天国(1年軍)
初回に満塁本塁打、最終回にサヨナラランニング3ランで7打点を叩き出し、1年軍の勝利に大きく貢献した。