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小夜の中山

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さよのなかやま

静岡県掛川市と島田市の境にある旧東海道筋の中山峠を含む山地。峠の標高は約240m。

概要

静岡県掛川市東部にある山地で、旧東海道の難所の一つ。佐夜とも書く。古くは「さやの中山」とよばれた。

民話の『夜泣き石伝説』で知られる。また、『古今和歌集』など多くの紀行に登場し、とくに西行法師の歌によって有名になった。

現在の東海道北側を通り、子育観音がある久延寺や、子育飴を売る茶屋などがある。

地名の由来

坂路がに挟まれ、両側が狭いであるため、元々は「狭谷(さや)の中山」と呼ばれており、それが後に佐夜、小夜に転じたといわれている。これは地形に由来して地名が付けられたとする説である。

また、もう一説として、サヤはサヘに由来する語と考えられている。

サヘとはサヘギル(サエギル)のサヘである。古来より、村境などには、侵入する災い悪霊を遮る目的として、サヘの神が祀られた。一方で、サヘの神(賽の神)はの安全を守る道祖神でもあった。この事から、サヘ、サイ、サヤ、サヨの名のつく地名は日本全国に非常に多く存在する。

そして「中山」は、もともと「峠」や「交通上の境界」を指す言葉で、国境などののことである。

つまり、「小夜の中山」という地名は、「災いを遮り、旅人の安全を守る神を祀る峠」を意味するという。

『小夜の中山』を詠んだ代表的な和歌

東路(あづまぢ)のさやの中山なかなかに何しか人を思ひそめけむ紀友則

東路の小夜の中山ではないが、どうせ遂げられはしないのに、どうして恋をし始めてしまったのだろう。

(難所として知られる小夜の中山と、恋の成就の難しさとを重ね合わせて詠んでいる)

年たけてまた越ゆべしと思ひきや命なりけり小夜の中山西行法師

年老いてから、この山をまた超えることができる(旅ができる)と思っただろうか、いや思いはしなかった。こうやって難所(小夜の中山)を再び越えることができるのは、命があるからこそだ。

表記揺れ

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