「それはもう、人間では無いのかもしれない…」
「いや、大人ですらその存在を世の中から隠してしまいたい程の超現実的恐怖…。それを人々は『妖怪』と呼ぶのかもしれない…」
概要
赤いマントを羽織いシルクハットを被った仮面の紳士という風変わりな姿をしており、逆さ十字の首飾りを首にかけ、死神を想起させる大鎌を手に持っている連続殺人鬼。
下校中の子供ばかりを狙って殺害を繰り返し、出会った子供には「赤が好き?青が好き?白が好き?」と尋ねてくる。
- 赤と答えた子供は、血塗れになって殺される。
- 青と答えた子供は、水に沈められ殺される。
- 白と答えた子供は、血を抜かれて殺される。
40年近くもの間、童守町を恐怖に沈めた恐ろしい存在で、表向きは「既に逮捕され死刑になった」とされていたが、実際は事件を起こし尽くした末に姿を消していただけで、その消息は不明のままとなってしまっていた。
しかし、Aの存在は子供たちに消えない傷跡を刻んでおり、このままでは子供たちの心が壊れかねないと判断した当時の大人達の判断によって「もうAはいない、二度と現れない」とする為に上記の「Aの末路」が創作されたのである。
その後、Aに関しては徹底した戒厳令が布かれ続けた。
劇中での様相
地獄先生ぬ~べ~
第24話「『A』がきた!」で初登場。犠牲になった人間は約4人(冒頭で既に犠牲者が1人出た様子が描かれている為)。
何時になく厳しいぬ~べ~達大人の対応に不満を抱いていた立野広、稲葉郷子、細川美樹3人の前に姿を現し、「赤が好き?青が好き?白が好き?」という言葉をかけながら現れる。
「口紅か何かのキャンペーンでは無いか」と勘違いした広、郷子、美樹の三人は、思わずそれぞれ「赤」、「白」、「青」と応えてしまい、それを聞いたAは美樹を連れ去ってしまう。
話を聞いたぬ~べ~達教師はすぐに警察に連絡し、ぬ~べ~はAの恐るべき正体を広と郷子の二人に教えた後、鍵をかけて誰も入れない様言い渡し、美樹を探しに向かう。
学校の屋上にある貯水槽の所で立っていたAを発見したぬ~べ~は、Aによって「『青』と答えた美樹が、貯水槽の中で大量の重石を括りつけられた姿」を発見。呼吸が止まって間もなかった事が幸いし、ぬ~べ~の蘇生措置によって美樹は助かる事になった。
その後、学校の一室に閉じこもっていた広と郷子の二人を襲撃。「『白』と答えた郷子を拘束し、首に刃物の如く鋭い筒を数本突き刺して大量失血死に追い込もう」とし、更には「持っていた大鎌で、『赤』と答えた広を血まみれにする形で殺そうとする」が、そこへぬ~べ~が駆け付けて対峙する。
ぬ~べ~の攻撃を物ともせず、更には「赤が好き?青が好き?白が好き?」と言いながら首を180度回転させる等、人間ではありえない動きに、広も「こいつやっぱり妖怪なんじゃねーか」と叫んでいる。
もはや、生半可な方法では倒せないと悟ったぬ~べ~は、鬼の手を解放。相手に地獄の苦痛を与える「幽体摘出」を実行し、その魂を地獄へと送ろうとするが、Aは必死に抵抗した末、近くにあったストーブの火にマントが引火。悲鳴を挙げながらも外へと落下していった。
事件の終わった後、童守病院で治療を受けた広達から「あいつは本当に人間だったのか?」と尋ねられたぬ~べ~は、「わからんな…だが、人間もあまりに心が醜くなると妖怪と化すのかもしれないな…」と自分の見解を語るのだった…。
そしてその頃、死んだはずのAは再び動き出し、そのまま何事も無かったかの様に何処かへと去るのだった…。
なお、単行本のAの紹介ページでは、「SEE YOU AGAIN」のメッセージが刻まれており、後にそれは現実となるのだった。
地獄先生ぬ~べ~NEO
ぬ~べ~「この世には、俺にも…わからん存在はある…」
19話『”A”再来』にて、再登場。犠牲者は約3人。
前作より約12年後、童守町郊外の山奥に存在する廃屋にて、全身を新聞紙で包み繭の様な姿で眠っていたAは突如覚醒し、再び童守町で殺人を開始する。
とある小学生が被害者となった殺人事件で、Aの手口による犯行と判明し、童守小学校でもその事について話が行われるのだが、以前に比べるとAの犯行の規模は少なくなっていた為なのか、若い教師達はAの存在を「迷信」としか思わず、それどころか事件について解説するぬ~べ~が事件を大袈裟にしようとしていると言って、真剣に聞く耳を持とうとしなかった。
前回の時に直接被害に遭った郷子も必死に訴える中、丑光が「Aは実在するが、10年おきに違う人間が模倣犯として殺人を行っている」とする事で、一応は若い教師達を納得させる。
ぬ~べ~が丑三つと共にAの拠点だった場所やそこに「スリープ」を行った形跡のある繭を発見した後、「赤が好き?青が好き?白が好き?」という質問に「赤」と応えてしまった小学生の少年とそれを庇おうとした婦警の菊池静に襲い掛かるも、ぬ~べ~の霊体強握によって魂を拘束され、警察に逮捕される。
しかし、それは丑光曰く「退屈しのぎにちょっと捕まってみた」に過ぎないらしく、童守警察署で取り調べを受ける中、刑事の尋問に何も応えようとしないAは銃で撃たれた傷が見る見る内に治ってしまうという尋常ではない回復力を見せて、割れたコップで刑事の手から出血した血を見て興奮したAは、人間離れした動きで難無く脱走してしまった。
Aが脱走した事によって童守町で特別戒厳令が出される中、Aの存在を完全に軽視していた北健斗は、橘百合愛、滝川衛、卯月星蘭の三人を半ば強引に誘って、外出してしまう。
その結果、健斗達はAに遭遇してしまう最悪の事態となり、「赤が好き?青が好き?白が好き?」というAの質問に健斗、衛、星蘭の三人が思わずそれぞれ「赤」、「白」、「青」と答えてしまった結果、Aに命を狙われてしまう。
Aに追われる中、工事現場に逃げ込んだ衛は「『白』の答えに従って、電柱に逆さに縛られた上で首に鋭い筒を数本差し込まれて失血死に追い込まれそうになる」が、郷子と百合愛の蘇生措置によって事無きを得る。
その後、「『青』と答えてしまった星蘭は、商店街の河豚料理店の水槽の中へ重石をつけられた上で沈められる」が、すぐにぬ~べ~と丑光が発見し蘇生した事で助かる。
そして、童守町の外へ逃げようとする健斗を追い詰めたAは、「赤」と答えた彼を血まみれにして殺そうとするが、実行前に駆け付けたぬ~べ~に阻まれる。
Aが拠点にしていた廃屋の壁に貼り付けてあった記事の内容から、Aの正体が昭和10年にバス事故で死んだ少女・赤間のぶ子の父親ではないかと推察したぬ~べ~は、のぶ子の魂を呼び出してAを説得させようとする。
しかし、のぶ子の魂は「お父さんじゃない」と告げた後、Aによって無残にも魂を裂かれてしまい、もはや説得は不可能と判断したぬ~べ~により、鬼の手の「霊体裂断」によって引き裂かれ、橋から転落していった。
事件後、丑光の調査によって、Aが拠点としていた廃屋はのぶ子の父親が日本全国を転々とした末に晩年を過ごした場所であった事実が判明(のぶ子の父親は、そこで病死が確認されている)。Aはただ単に、主を失ったその場所を「スリープ」の場所として利用したに過ぎなかったのだった。
また、Aの転落した川で遺体の捜索が行われたが、結局見つからず終いで終わり、Aはまたしても謎を残したまま、その姿を消すのだった。
余談
原作屈指の人気エピソードながら、アニメでは未登場。
実写判では、お笑い怪獣が演じたが……。
コミックスによれば彼のモデルとなったのは、昭和の紙芝居「怪人赤マント」。都市伝説としての赤マントではないらしい。
無印では「妖怪ではなく、超人的な能力を持つ人間」とされていたが、『NEO』では明らかに人外の存在として描かれている。果たして真相は…?