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人類が手にした最初の武器 神話の時代から人間は拳で争って来た 最古の格闘技 それが拳闘だ


概要

古代ローマ時代の拳奴をテーマとした技来静也漫画作品。


ヤングアニマル』(白泉社)にて1997年23号から2009年6号にかけて連載された。単行本は全15巻。


その後『拳奴死闘伝セスタス』とタイトルを改めた上で引き続き『ヤングアニマル』2010年11号から2014年12号まで掲載された。さらに『ヤングアニマル嵐』→『マンガPark』(Webコミック誌)を経て、『ヤングアニマルZERO』にて2020年11月号から掲載されている。


基本的にはボクシング漫画なのだが、舞台が古代ローマ帝政期という類を見ないものとなっており、主人公も対戦相手も奴隷という事で、敗者はほぼ処刑されるという暗黒伝のタイトルに恥じない物となっている。他にも主人公達の思春期的な精神の不安定さや過酷な運命に襲われても生きようと成長する姿、詳しく描かれた当時のローマの生活も見どころである。


物語

紀元54年10月13日正午、豪雨の中で後世暴君と呼ばれる17歳の少年ネロがローマ皇帝に即位した。同時刻、ローマ郊外の奴隷拳闘士養成所では拳闘選手として戦う奴隷、拳奴となるための最終選考として少年二人が戦わせられた。明らかに筋量、体格が違う二人であったが体格に劣る少年の方が桁違いのスピードとテクニックで勝利する。だが敗北した少年は殺されてしまい彼は涙する。少年の名はセスタス。身分の底辺に身を置く15歳の奴隷拳闘士。

拳奴として皇帝主催の拳闘試合に参戦したセスタスは途中で同じく試合に参戦するルスカと出会い、大人の相手をやはり芸術的ともいえる戦い方で勝利する。その事でネロの目に止まり、謁見を許されるが、それを契機としてセスタスは運命の渦の中に巻き込まれていくこととなる。

身分を含めた全ての枷から解放された真の自由を求めるセスタス、父と自由との葛藤の中でもがく天才格闘家ルスカ、皇帝としての宿命で自由と不自由双方の苦悩を背負ったネロ。そしてセスタスの師ザファルとルスカの父デミトリアスとの過去の因縁。ネロの母アグリッピーナの息子へかける過剰で歪んだ愛憎。物語は帝政ローマ時代を生きた3人の少年たちの運命を軸に進んでゆく。


古代ボクシングについて

古代ボクシングに階級制、ラウンド制は存在しない。時間無制限で相手を完全KOするかまたは相手の降伏で試合が止められる。ダウン後の追撃は反則にならず、打つ場所も上半身前面のみに制限された現代ボクシングと違い、目潰し、近的以外は背面、延髄打ちなどもOK。打ち方も現代ボクシングのようにナックルパートだけではなく、裏拳、掌底、鉄槌、平手など手首から先ならどんな打撃でもルールに接触しないのなら許された。

古代拳闘士は初期の段階では現代のバンテージのように拳を保護するためヒマンテスという牛革製の紐を拳に巻いていた。

やがて厚手の皮バンドをナックルパートに巻き、打撃力を高めた硬質グローブ、ミュルグレスが開発され、試合でも使われるようになった。

ローマ時代になると固めた皮バンドに鉄鋲を打ちこんだ装甲グローブが発明された。殺傷力はさらに高まり試合で死者や障碍を残すものも少なくなくなった。セスタスとは、この武器の名称である。


主要登場人物

セスタス

CV:峯田大夢

ローマ帝国最下層の身分である15歳の少年拳奴。

当初はヴァレンス奴隷闘士養成所に所属していたが、拳奴達の反乱により養成所が崩壊。その後一時ネロに買われたが真の自由を求め決別し、ローマを離れる為ドリスコ拳闘団へと所属させられる。

まだ成長期とあってかなり小柄な体格だが、天性の動体視力と反射神経を生かしたスピードと師ザファルより伝授された現代ボクシング理論のようなオーパーツじみた拳闘術で、体格に優る強敵達と渡り合う。窮地の中でも他人の心を慮れる純真で繊細な優しさの持ち主。まだ思春期だけあって精神的に脆く、弱い部分も多く見られるが、ザファルの指導や対戦相手とのやり取りの中で徐々に成長していく。


ルスカ

CV:小野賢章

ローマ帝国徒手格闘兵団衛帝隊(現実には存在しない、皇帝との個人契約の護衛隊)に所属する衛士。総合格闘技パンクラティオンの使い手で、わずか16歳で格闘者としてほぼ完成している天才。金髪と胸の傷が特徴の美男子で「黄金のルスカ」「ローマのルスカ」の異名を持つ。

普段は知的で誠実な好青年だが、闘いでは躊躇なく腕や足を極めて折る容赦のなさを見せる。自分や母ルクレティアを蔑ろにし、子供の頃自身をネロの影武者にしたてた結果、刺客に襲われ重傷を負った事で母を狂気へ追いやった父デミトリアスを深く憎んでおり、自らの手で倒すことを生涯の目標としている。

幼くして戦いの世界に身を置かざるを得ないセスタスに共感し、身分の壁を超えた友情を育んでいたが、養成所の奴隷反乱の中で拳奴に婚約者ヴァレリアを殺され、拳奴に対する憎しみが抑えられなくなり決別。


ネロ

CV:上村祐翔

ローマ帝国の第5代皇帝。後世に暴君の悪名を残したが、その素顔は争いを嫌い、美術や音楽、詩を愛し自ら作り演奏する繊細な少年だった。

セスタスやルスカのある種の芸術的な闘いぶりに感動し、特にセスタスに対しては『皇帝』という地位しか他人に見られていない自分の孤独感を明かし、共にいるように求める。しかし、絶対強者の立場であるネロにはセスタスが求める自由の意味が理解出来ず、次第にすれ違うようになってしまった。

セスタスに去られた後は、さらに孤独を深め、母のアグリッピーナとも対立し、その過程でアグリッピーナがネロを廃嫡し自身の義弟ブリタニクスを擁立しようとした時にはブリタニクスを暗殺するなど徐々に心が歪み始めている。


他の登場人物達

ザファル

CV:小山力也

セスタスの師匠。デモクリトスから教わった現代ボクシングに通じる科学的なトレーニングと合理的な試合運びをセスタスに伝え、ザファル自身の経験を織り交ぜた拳闘士としての心構えを叩き込む。

かつては「ヌミディアの拳狼」と呼ばれた最強の拳奴であったが、ルスカの父親であるデミトリアスとの試合で左膝を破壊され、選手生命を絶たれた。それ以降は後進の育成に力を注ぎ、愛弟子セスタスを男手一つで育て上げた。

彼がセスタスを庇護する理由は謎に包まれている。


アグリッピーナ

CV:井上喜久子

ネロの母親にしてローマの女帝。薄幸な生い立ちから皇后にまでのし上がった女傑であり、目的のためなら手段をさらさら選ばない毒婦である。

性格も苛烈でサディスティックだが、一方で母親としての自分に葛藤を抱えている複雑な人間である。一人の母親として息子を案じているが、それが行き過ぎて過干渉になってしまっており、ネロからは愛想を尽かされることになってゆく。


ドリスコ

拳闘試合の興行を生業とする『ドリスコ拳闘団』の団長。ヴァレンス養成所が奴隷反乱によって解散してから行く宛の無くなったザファルとセスタスを買い取った新たな雇い主であり、興行のためにローマ帝国各地を転々としている。

抜け目の無い商人で搦め手も平気で使う食えない男だが、一方で拳闘奴隷達とも分け隔て無く接する公平な人物でもあり、妙に憎めない。


デミトリアス

CV:東地宏樹

アッティカの金獅子」の異名で呼ばれる家総合格闘家。ルスカの父親であり、皇帝の身辺警護の為に組織された私兵集団「ローマ帝国徒手格闘兵団衛帝隊」の隊長。

かつてザファルとの戦いで右目を失ったが、その戦闘力は今なお健在であり、劇中でも最強クラスの闘士である。性格は傲慢で大変に自分勝手であり、家族に対しては冷酷そのものであったため、ルスカからは蛇蝎のように嫌われている。


ドライゼン

ローマ帝国徒手格闘兵団衛帝隊の副長。ルスカの上司であり、良き理解者である。

デミトリアスとは古くからの付き合いであり、兄弟のような関係だが、彼の家庭人としての冷酷さには難色を示している。それ故に、彼の子息ルスカを公私ともにサポートしている。


エムデン

CV:竹内良太

ポンペイ最強の拳闘士。前人未踏の50連勝の記録に挑み続ける愚直な男であり、主人である名士サビーナの不興を買ったセスタスを拳闘試合で打ちのめすべく対決することになった。

他人に心を開かない偏屈な頑固者であり、狂気にも似たストイックさで自らを鍛え込む一匹狼である。絶世の美女であるサビーナに心を尽くすも一顧だにされず、鬱屈した想いを胸に抱え続けている。

かつてザファルの師でもあるデモクリトスに指導を受け、彼から仕込まれた格闘術と不屈の闘志で最強の座にのし上がった。


サビーナ

CV:遠藤綾

ポンペイ屈指の名家の令嬢にして絶世の美女。竹を割ったような小気味よい気質と女神の如き魅力で周囲を虜にする生まれながらのスターである。

非常にワガママで気まぐれなお嬢様であるが、一方で身分に関係なく真っ正面から人と向き合う公正な人物。しかし、相手が自分の意に沿わないと容赦の無い仕打ちをする理不尽な人間であり、ある意味貴族という人種の光と闇を象徴している。


イオタ

CV:三上哲

マケドニア出身の解放拳奴でデモクリトスの弟子。痩身で拳闘士らしからぬ貧弱な体格。

荘園農奴だったが反抗的とみなされて追い出されて拳奴となり、他の拳奴たちのかませ犬となっていた。

デモクリトスから速い軽打でのヒットアンドアウェイを延々と続ける戦法を指導されて連勝を続け、自分に金を賭け続けることで解放拳奴となった。

常に客から罵声を浴びる不人気拳闘士。


デモクリトス

カディス出身の初老の男。

優れた知能と巧みな弁舌で弟子を教え導くトレーナー。かつては才能ある者をさらに成長させる方針だったが、あらゆる面で群を抜く天才だったザファルを指導した後は、才能に恵まれない人間を戦術で勝たせるという方針に変え、苦境にあえぐ数多の拳闘士たちに救いの手をさしのべてきた。しかし、その本性はあふれ出るアイディアを弟子の指導を通じて実現することに喜びを感じる”好奇心の怪物”であり、単純に善人とは言い難い。

ザファルからは好奇心を満たすことしか頭にないエゴイストと嫌われていたが、実際は指導者としては真摯で弟子の成長を何よりも尊ぶ一面があり、再会した際にザファルはその真意を聞いて認識を改める。自身も元拳闘士だったが、三流のまま終わったという。


アニメ化

自由は、苦しい。


「セスタス -The Roman Fighter-(ザ・ローマン・ファイター)」として、2021年4月から同年6月にかけてフジテレビ系列の基幹局(ただし仙台放送テレビ静岡テレビ新広島除く)とBSフジの「+Ultra」で放送された。また、1クール遅れながら高知さんさんテレビでも放送された事がある。

配信に関しては、これまで「+Ultra」作品の配信を一手に引き受けていたNetflixではなく、フジテレビによる動画配信サービスのフジテレビオンデマンドのほか、TVerやGYAOで行われている。


制作はバンダイナムコピクチャーズ。同社にとっては初の青年漫画原作アニメとなる。


関連タグ

技来静也 ヤングアニマル


外部リンク

アニメ「セスタス -The Roman Fighter-」公式サイト

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