時の君
ときのきみ
なぜ、私の『時』を動かした……?
数あるリージョンの中でも特殊な部類に属する「時間妖魔のリージョン」に居を構える上級妖魔。
下記の「努力」に起因するのか、基本的に中性的な容姿である上級妖魔としては珍しく、はっきりと男性的で筋肉質な容姿が特徴。
彼は、劇中ではその力を「上級妖魔」として扱われており、戦闘中も上級妖魔として扱われるため概要ではそのように表記した。
しかし、上級妖魔であるヴァジュイールは彼を評して「術を極める努力など上級の妖魔がすることではない。おそらく、下級妖魔だろう」と発言しており、その一方で下級妖魔であるメサルティムは彼を「高貴なるお方」だと認識している。
このため、発売当初はファンの間で彼が上級妖魔か下級妖魔か意見が割れていたが、後に攻略本『裏解体真書』にてディレクターの河津氏が「下級妖魔」であると断言し、以下の理由を述べている。
妖魔の位は基本的に生まれつき決まっており、時の君は下級ゆえに上級妖魔がしない「努力」をしている。特に彼の場合はその度合いが半端なものではなく、資質(上位の術を覚える才能)を1人しか持てない貴重な「時術」という術系統をマスターしてしまうほど。それゆえ、上級妖魔と同じランクの力を持った「特別な下級妖魔」というのが真相である。実際、位がかなり高い者にしか付かない「君」という名前がついており、本来上級妖魔の証である精神耐性等が付いているあたりに、その並々ならぬ努力の跡が窺える。
ただしそれは客観的な力量の話であって、妖魔社会では生まれ持った力で地位が決まるため、努力で伸ばした分に関しては評価されていない。
もし妖魔の位を身分に例えるなら、上級妖魔は貴族、下級妖魔は平民のような立場で、その中にあって時の君は貴族に匹敵する高貴さと財産を得た平民、といったところだろうか。
多くの主人公では、時術を求めてヴァジュイールを訪ねた後、転送されて彼の住む「時間妖魔のリージョン」に足を踏み入れることになるだろう。
しかし彼が覚えている「時術」は、その名の通り、時間を制御する術である。想像の通り、極めて危険な使い方ができる系統なのである。
それを危惧するあまり、自身はリージョンの奥へと隠れ、リージョンごと発生させた時間停止に自らを巻き込む形で封印している。
それを解除するために必要なアイテム「砂の器」は、主人公の最大LP(戦闘不能の耐用回数の最大値)を1ポイント減らさなければ手に入らない。
ここで言うLPとは人間のLPを求めている為、T260G編では砂の器を売っているゴサルスが「機械か……」と拒絶してしまうため残念ながら入手出来ず、時間を動かす段階まで進められない。
因みにクーン編ではそもそもヴァジュイールに会う目的が指輪関連となっているため時間リージョンそのものに行けない。
しかし、そうまでして手に入れる価値が確実にあるだろうと思われる術のため、彼のリージョンへと足を踏み入れ、時を動かすプレイヤーは後を絶たない。そうして彼に出会うと、2つの選択を提示される。
- 1つ目は「彼を仲間にする」。この場合、時術を使えるメンバーは時の君ただ1人になるが、全ての時術を扱える、発動後に自身のWPやJPを全消費するが、自分の時間を無限に加速させ、時間停止を引き起こす究極時術「オーヴァドライブ」や、パーティキャラをノーコストで連続二回行動させる「タイムツイスター」等まさにチートな戦術を使用出来る。
- 2つ目は「彼に時術を販売してもらう」。この場合、時の君を仲間にすることはできず、上位の時術を使えないが、複数のメンバーに時術を覚えさせることができる。仲間を増やしすぎてパーティーに空きがない場合でもこちらを選ぶ事で、発動ターンだけ未行動の敵の行動を強制的に終わった事に出来るチート技「タイムリープ」や、高確率で敵を石化させるため使いやすい「時間蝕」等が購入可能なため、こちらの選択もかなり有効である。
···しかし、3つ目の選択を採れる主人公もいる。ブルーである。彼は、故郷の学院マジックキングダムの命令で、あらゆる術を究めるよう言い渡されている。究めるとは、すなわち資質ごと覚える、ということである。
さて、上記をお読みになればお判りの通り···時術の資質は、1人しか持てない。それを手に入れようとするブルーは、なんと時の君に戦いを挑むことになる。
時間を自在に操る彼を敵に回すとどうなるか。生半可な戦術やメンバーでは、彼が本気を出した瞬間に太刀打ちできなくなるだろう。当然、それ相応の対策を練っておく必要がある。
ブルーにはもう1つ選択肢があり、時術と対をなす「空術」を手に入れるために麒麟を同じく倒すことも可能。
この場合時の君とは戦わずに済むが、その場合麒麟を倒した直後に新たな時術の使い手と戦うことになるため、どちらにせよ苦しい戦いが待っていることになんら変わりは無い。正に資質を集めるために用意された、修羅の道と言えよう。
その手間と苦難の先は、それ以上の対価になる事は間違いないだろう。
- タイムリープ:時の流れを歪め、指定した行動前の敵のそのターンの行動を強制的に無かったことにして終了させる。先手を取るために術者の運動性を予め高めておく必要があるものの、通常のスタンと違い発動さえすれば確定。ただし、外野からの援護射撃や、オルロワージュの攻撃=ほぼ全て背景の寵姫の行動扱いのようにターゲット本人の行動ではない場合には防げない。
- ディレイオーダー:敵のQUIを大幅に下げるが、ランクの高い敵にはまず効かないし効いたところで…という印象。
- カオスストリーム:敵全体にランダムなダメージ。ダメージの上下幅が広く、一体には三桁しか出ないのに他は3000近く等もザラ、稀に一撃死も発生。
- 時間蝕:敵単体にダメージ。たまにQUIを大幅低下か石化させる。石化の成功率はかなり高め。
- タイムツイスター:指定した味方の行動をターン終了間際にもう一度再生する。この時は術・技ポイントを消費しない。さらに、再発生させた攻撃が全体攻撃の場合、本来であれば不可能な全体攻撃同士の連携が可能になる。下記のオーヴァドライヴ無限化と組み合わせれば「超超超超風」なんかも夢ではない。
- オーヴァドライヴ:ターン開始時に発動、発動時のWIL・PSYにより術者が最大8回行動できる。普通に使用すると終了時に術・技ポイント・弾丸を全て使い尽くすが、効果中にアイテムの「万能油」もしくは印術の「停滞のルーン」を使用すると、終了後もその戦闘中行動回数を増やしたままになるバグが存在する。理由としては術の効果が「行動回数を最大8回行動にする」で、更に「ターン終了時行動回数が1回になりWPJP残弾を0にする」「ターン中使用WPJP弾数を0にする」という二つの状態異常を自分に掛けている扱いになるため(停滞のルーンの場合その状態異常が効果を発揮する瞬間は停滞のルーンの効果で「一切の影響を受けない状態」であり、タイミングを逃す上、一度効果を発揮した事で状態異常が解けるため)、後者二つが解けてしまい行動回数を修正出来ず、全消費の反動は起きないが、消費WPJPが0でなくなるという現象が起きる。事実万能油を使用してから行動した分だけは減っている。リマスター版でも修正されることなく、わざわざ正式仕様として当時のまま再現されている。
…特に強烈なのがオーヴァドライヴだろう。普通に使っても強力だし上記の方法と組み合わさるととんでもないバランスブレイカーとなる。タイムリープも使い手のQUIに依る所があるが、確実に危険な攻撃を避けられると言う点でも強い。ゴサルスにLPを1支払っても見返りは余りある。
というかパーティメンバーで最も素早い者のJPを鍛えまくっておけば死ぬまで敵を行動不能にし続けられ、ボスすら例外ではないという屈指のイカれ術である。どこが下級術だというのだろうか…。
- サガフロンティア攻略本「裏解体新書」においてベニー松山氏が書き下ろした小説「ヒューズのクレイジー捜査日誌」においては、自分のリージョンでひたすら肉体を鍛える変人だった。もっとも妖魔は大体変人なのだが。
- 上記の小説版ではヒューズに協力し、彼の希望でドールにタイムリープをかける。念願叶って豊満なおまんじゅうを揉みしだいてやろうとするヒューズだったが、時が止まっている為におまんじゅうは石のように固くなってしまっていた。それでも諦めきれずに頑張っていると、突如としておまんじゅうが柔らかくなり喜ぶが、それは時の君曰く「それはタイムリープの効果が切れたから」で、静かにブチ切れたドールによってタコ殴りにされた挙句、「セクハラ野郎」として言いふらされてしまった。
- ちなみにこの際にヒューズからつけられた愛称は「トキノ君(くん)」で、今でもそう呼ぶファンは多い。
- 何気に活躍の機会は多く、レオナルド博士ともども爆殺されかけた時には急遽トキノ君を呼び出して彼のリージョンに逃げ延びる事に成功。最終決戦では「タイムリープ実戦版」を披露、グレートモンドの攻撃を文字通り「なかったこと」にしてしまった。この時珍しく微笑んで喜びを露わにしており、たまには外に出る事も重要だと述べている。
- ゲーム本編ではヴァジュイールが上記の通り「おそらく下級妖魔だろう」と言うなど明らかに直接面識がない様子だったが、この作品の時空では独自設定でヴァジュイールとは友人同士という事になっており、クーン編の再現でアドバイザーとしてヴァジュイールとの連携戦闘に参加したヒューズへの報酬として時の君を紹介している。
- 企画段階のラフスケッチの段階では、時の君の原型となった妖魔のデザインとして「フィオロ」という仮名が付けられていた(裏解体新書p.294)。しかし製品版では彼に名前はなく、「時の君の本名を教えて下さい」という質問に対してディレクターの河津秋敏氏が「ありません。このキャラクターを作ったときから名前はつけないつもりでした。」と回答している(裏解体新書p.232)。このため公式名ではなく所謂没ネーミングではあるものの、一部のファンから「フィオロ」と呼ばれることもある。
- ブルー編で敵対した時に使ってくる技のひとつ「ポイゾナスブロウ」でロッドを構えている様子が、まるで野球のバッターのポーズに似ていることから、一部で「野球の君」と呼ばれることもある。
- 通常は一度身につけた術の資質は以降永続し、例え相反する系統の術を手に入れたとしても術を失いこそすれ資質は消えることは無い筈なのだが、時の君がうっかり麒麟から空術を買ってしまうと、時術を忘れると同時になんと時術の資質ごと失ってしまう。このため資質詐称疑惑を掛けられることも。無論、時術を捨てるメリットは全く無く、覚え直す手段も一切無いため、試してもセーブしないように。
- ……と、オリジナル版では何の意味もなかった空術購入であったが、2021年発売のリマスター版では空術を買った状態でセーブし、そのセーブデータをNEW GAME+で引き継ぐとなんと初期所持の時術が復活し、空術との両方持ちができるようになってしまった。このことから一部で「時空の君」と呼ばれている。
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