概要
「サガフロ」こと『サガフロンティア』の主人公の1人。ヒューマンの青年。22歳。術士のリージョン「マジックキングダム」出身。双子として生まれ、キングダムの掟で弟ルージュを殺さなければならないという使命を持つ。冷静沈着で、術のためなら殺人も厭わない冷徹さを備える。ただしそれは「キングダムの命令」を忠実に実行しているだけであり、それだけ一本気な性格とも言える。そこに感情が全くないわけではないようで、麒麟を殺した際に彼に匿われていた年端の行かない子供達まで犠牲になってしまい、パーティーの女性キャラに「そこまでして資質が必要なのか」と非難された際には「これでいい、これでいいんだ」と自分に言い聞かせている描写もある。そして、終盤では……
一人称は「私」か「俺」が基本。おそらく「俺」が素の一人称なのだろう。しかしある事情で終盤は「僕」の一人称も混ざるようになる。(序盤でクーン相手にも「僕」を使う)
他主人公シナリオではある特例を除き仲間にならない。
レッド編で登場自体はするのだが、そのときも「お前の名前が気に入らない」(レッドは英語で、宿敵ルージュはフランス語でそれぞれ「赤」という意味)と言われてしまい仲間にすることはできない。
また、基本的には誰に対しても敬語を使う反面、内心ではよく毒を吐いている。
例えば術イベントで仲間になるエミリアに対しては「頭の悪そうな女だな」、T260Gに対しては「使えない機械」など。
術の資質獲得のためにあちこちのリージョンを回り、ある時は試練や事件に打ち勝ち獲得し、ある時は資質の持ち主を倒して奪い、数多の資質を集めた末にルージュとの決着をつける。しかしそこで彼を待っていたのは「勝者がどちらでも結果が同じようになる」という仕組まれた結果だった。
勝負の果てに待っていた「結果」とは、二人の融合。
本来陰と陽、印と秘、魔と妖、心と邪、時と空のような相反する術の資質は同時に獲得することはできない(幻術と命術のみ反術が存在しない)が、各々が相反する資質を一つずつ獲得し(後述の誕生経緯によりブルーとルージュは同じ資質を獲得できないため、ブルーが陰術の資質を獲得した場合ルージュは必然的に陽術の資質を得ることになる)、決闘の勝者が敗者を吸収して一人となることで、本来不可能な「全術の資質を獲得した人間を誕生させる」と言うのがキングダムの狙いであった(ちなみにここでルージュに負けるとブルー側が吸収され、外見上はルージュが主人公になる)。
そして一人になったブルー(orルージュ)は悟る、自分たちは元々一人の人間であり、双子などではなかったのだと。
意図的に二人に分けられ、先述の目的のために騙されて育てられ戦わされたーそう知った彼は、今まで足を踏み入れる事を拒んでいた故郷キングダムへと戻り、事の真相を暴こうとする。(以降ブルーはルージュと人格が混ざった状態となり、一人称が「僕」であるルージュの人格も度々表に出るようになる。一方ブルーの人格もキングダムへの怒りからかこれまで他人に取り繕うために演じていた冷静な一面がなくなり、一人称が「俺」の激情家な性格が出てくる。おそらくこれがブルー本来の性格だったのだろう。)
だが、故郷へと舞い戻った彼を待っていたのは、瓦礫の山と化したマジックキングダムだった。
無数に術士が倒れている中、まだ息のあるものに話を聞くと、「地下に封印されていたバケモノがあふれ出してきた」という。地下にそんなバケモノが封印されているとは聞いたことも無かった彼は、いよいよもって自分の知らないところで大きな計画が動いていたことを察する。
そして、ついに全てを知るときがやって来た。
マジックキングダムに建てられた女神像の内部に侵入した彼が見たのは、対になるようにカプセルに入れられた大量の新生児だった。
先述のような企みは何もブルーとルージュに限った話ではなく、キングダムでは新生児を人為的に双子に分割してそれぞれを別の場所で育て、学院卒業時に互いに殺し合わせて融合させ、元は一人であった事を悟らせて戻ってくるように仕組んでいたのだ。
その目的とは、地下にある「地獄」の封印管理。全ては強力な術士にしか務まらないこの役目を課す者を誕生させるためだった。
「地獄」とは、元々人類が夢見る楽園を創造するためにマジックキングダムが魔術の粋を集めて作った人工リージョンであった。
しかし計画は失敗、実際に出来た楽園は「見た目はまるで御伽噺の天界」といった様相だが、その実「天使のような姿をした魔物」が勝手気ままに暴れ回るという、正に地獄のような世界であった。
こんなものを放置するわけにもいかず、マジックキングダムは地獄を隔離。さらにその完全な封印のために非人道的な手段で最強の術士を作り出す…その計画の最中に化け物が中から漏れ出てきてしまい、魔術の総本山の術師達も地獄の魔物には勝てず、学院は瓦礫の山となってしまったのだった。
大義のために子供達を二つに分け殺し合いを行わせていたキングダムの所業をブルーは「キングダムは悪魔の巣窟か!」と、ルージュは「自分では何も決められず、キングダムに犠牲を押し付けられた」と激怒し、施設を破壊しようとするがそこにもバケモノが侵入しキングダムの術師達は殺されてしまう。
「この子達を守って」と言って事切れた術師達に「どうすればいいんだ」と苦悩する彼だったが、もはや彼には目の前の子供達を見殺しにするという選択肢はなかった。
そうして彼は、初めて自分の意思で、地獄へと突入する。
地獄に蔓延る天使(まもの)を蹴散らし、最深部にたどり着いたブルーは天使に守られた卵のような物体から、地獄の君主が誕生する瞬間を目撃する。
地獄の完全な封印、そして何より子供達を守るために、彼は誕生した地獄の君主に戦いを挑む。
これまで学院の決まりしか知らなかった彼が、やっと、自分の足で生き始めた瞬間だった。
ブルー編においては、その結末が明かされないまま物語が閉じる。
比喩ではなく、地獄の君主に一定のダメージを与えた瞬間に画面にthe endの文字が表示され、そのまま〆となる。
結末は自由に想像してほしいというこのエンディングは多くの波紋を呼び、中にはバグやフリーズと勘違いしたり呆然とした人もいたとか。
ただしルージュとの決着後にいきなりスタッフクレジットが流れること等から、一連の真相解明と地獄封印自体がエンディングという説が最も強いようだ。
その結末が判明したのは、リマスターのヒューズ編(後述)。
作中の性能
術師らしく、技は全体的に苦手としている。
閃き適正が少ない為、大人しく剣技・体術は使わない方が良いだろう。
ステータスの成長率もINT・WILがトップ、続いてPSYが高めという完全な術師タイプ。
術を使わせるだけで術の威力がどんどん上がり、仲間内では真っ先に学習をし始める。
ただし、HPとVITの成長率が非常に低く、とても打たれ弱い。
術の学習をし始める頃になったら銃を少しずつ交えると、耐久力の足しになる。
元よりWILが非常に高い為に銃の威力が非常に高く、INTも高い為にどんどんと技を編み出す。
剣技・体術は偶然に閃いた際は使うかもしれないが……これが、実はルージュ戦で思わぬバランスブレイカーと化す。どういった光景が待ち受けるのかは、習得して使用した者だけが知る。
また、魔術の反術は妖術であり、魔術の資質を失う代わりにブルーもファシナトゥールで購入することができるのだが、合体前にブルーが妖術を購入しておくと合体後も妖術を使用することができる。
だからなんだという性能の術しかないが、術コンプ勢は試してみよう。
余談
ルージュとの決戦でブルーが敗北しても主人公のグラフィックが、ルージュとなるだけでストーリーはそのまま進行していくのだが、ルージュが敗北した場合は「信じられん…」と呆然と死ぬのに対し、ブルーが敗北した場合は「この私が…お前より…劣るとでもいうのか〜」と妙に気の抜けた台詞を吐く
「いうのか…」でも「いうのか!」でもなく「いうのか〜」である、なんでこんな台詞になったのだろうか?同じ一文字のはずだが
融合後は勝利した方のステータスをもとに術関係ステータスが2倍になる。
ブルーが勝利した場合は他のステータスもそのまま――時術を選んだ場合は砂の器を買うためにLPが減少するが、LPもそのままである。ブルーで進めたい場合は空術を選ぶか、余計な買い物は控えた方がよいだろう。
ルージュが勝利した場合は術に関係ないステータスは初期値になるが、LPも7に戻る。もちろん融合後もステータスは普通に成長するので融合後に鍛えれば融合前のブルー並に育てる事も可能である。
…というのはPS版の話。
リマスター版ではステータスが引き継げるのだが、ここでルージュが勝利した場合は「術関連のステータスのみ合体され、肉体能力は引き継いだルージュのもの」になる。つまりムキムキに鍛えたルージュを持ち込んでルージュに勝たせると合体後もムキムキになるわけである。
厳密な仕様としては「ブルーとルージュはそれぞれ別のキャラクター」として扱われているのだが、「双子対決時に二人の術関連のステータスのみ同期されて倍加融合する」というもので、これはどちらが勝利しても二人同時に適用されて、勝ち残った方をパーティーに残すという処理になっている。
そのため、ブルー勝利ルートでクリアして引き継いでも他編で仲間になるルージュが術マスターになってたりするわけである。
ブルー編クリア後に開放されるヒューズ編の「双子の術士事件」ではオートで合体イベントが起こるため、繰り返していけば術関連のステータスが倍々増加してあっという間にカンストする。
ただし肉体能力は個別に鍛える必要があり、また対決前の資質集めとは関係ない心術と妖術はそれぞれが個別に習得する必要がある。特に心術の修行はリマスター版で他編のルージュだけ何故か修行できたバグが修正されてしまったため、合体後にそれぞれ一人ずつ二周掛けて修行する必要が出てきてしまった。
地獄へと突入する直前、虫の息の術士が「お前達は本当の…」という言葉を言うのを最後まで聞くことなくブルーは地獄に飛び込む。
本当の…なんなのかは言及されておらず、本当の英雄であるという自分勝手な賞賛であるという説や、ブルーとルージュは分割された人為的な双子ではなく本当の双子であったという説(この場合心が不完全だから合体するまで心術を獲得できないという設定が矛盾するが)等様々な説が唱えられているが、結局説止まりになっている。
裏解体真書に掲載された河津神こと河津秋敏氏によるQ&Aでは、「本当の双子だったんだ」が正解であると語られている。
派生作品
ヒューズのクレイジー捜査日誌
裏解体真書のヒューズが主人公の小説では冒頭部分に登場。女の子と思って近付いたヒューズを落胆させた。京で「心が分かれている」事を理由に心術の修行を受けられない(実際のゲーム中でもルージュと融合するまで心術の修行は受けられない)事にショックを受け錯乱気味であった。
なお、この小説で地獄が開放されつつあるマジックキングダムに帰還したのは
「おかげさまで僕のままですよ。俺でもあるけれど……」との発言からルージュの方。
麒麟や時の君と出会う事がなく、ルージュが秘術を選択していたので、「塔」や「死神」を食らって負けたのだろう。
主人公なのに死んでしまう扱いを受けてしまったものの、彼と融合したルージュはこの後、ヒューズが生還を信じてくれた事で感動の帰還を果たす事になる。
インペリアルサガ/エクリプス
最初の舞台となるディスノミアでは、邪神陣営との戦いに備えつつもルージュとの決着をつけるため、原作よろしく互いに鉢合わせしないよう術の修行に明け暮れていた彼だが、キューブの力で地獄の君主が現世に直接現れようとしていた場面で折り悪く両者が激突。地上への脅威をそっちのけで決闘を始めてしまうが、周囲の説得でなんとか矛を収め、地獄の君主を討伐。
この時、彼ら2人は「自分たちが(原作で)辿り着く結末はこの君主の討伐にあった」ことを悟り、決闘をせずとも目的を達したことを第六感で察していた。そして、十分なチームワークを見せていたことを評価され、邪神との決戦の時まで決闘を禁じられ、互いが個別に生きることになる。
のちにエクリプスの舞台ディミルヘイムでは、新たな脅威に備えるためあらためて決闘に向け術の資質を磨くべく各地を旅していたが、修理中のステスロスのワープ実験の事故に巻き込まれ、地獄の君主のホームタウンである「地獄」へと辿り着いてしまう。
再び地獄の君主と戦う一行だが、本拠地での力は比較にならず、初撃をしのぎきれず皆殺しにされてしまう。かろうじて仲間がタイムズ・ギアで過去に遡る奇策を用いたことで、決戦前の時間へと訪れた仲間の口から、今すぐ融合をするよう言い渡され、やむなくこの場で決闘をすることに。
上記の小説と逆にブルーが勝者となり、融合した力で状況を打開。
しかし、いずれ訪れる戦いではもっと大きな力を必要とすることを予感し、もっと強くなり融合することを望む。また、ディスノミアでは加齢しないながらも40年という時間を個別に生きてきたことで、もはや個別に存在している状態こそが本来の自分たちではないかと考えるようになっていた。
手立てはあった。ステスロスにある浄化マシンを使えば、無理に融合したものは分離できる。さっそく装置を利用するブルー。
サガ3プレイヤーなら誰もが思っていたツッコミを口にしつつ。
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以下、サガフロンティア リマスター版のネタバレ注意
上述した通り、結末不明・救いようがない彼のエンディングだが、なんとリマスター版のヒューズ編にてその後が描かれた。
まずヒューズ編は、一度クリアした主人公のルートにヒューズが同行する形のシナリオになるのだが、ブルー編においては彼のストーリーにとてつもなく大きな変化を齎している。
冒頭に起きたとある出来事が切っ掛けでヒューズはブルー若しくはルージュと出会い、彼等がお互いを殺す為に動いている事を知り、気にかける様になる。
その後、盾のカードの試練絡みで再会した事やヌサカーンからの情報により、ヒューズは二人が互いに対となる術の資質を集めている事を察知した。
ならばこれ以上の犠牲者を出してたまるものかと、次に彼等が求めるであろう時術・空術の担い手である麒麟と時の君を先回りして拉致……もとい保護に出る。
(その為、この両者が仲間入りするというブルー編ならばありえない光景が目に出来る)
しかし、ヒューズの健闘も虚しく、ブルーとルージュの決闘までは止めることができなかった。2人は時術・空術を得ぬままに互いに死闘を繰り広げて融合を果してしまう(時術・空術を得ぬまま融合するのは裏解体真書の小説通りの展開でもある)。この時にヒューズは二人が意図的に分かたれた事を知るが、同時にマジックキングダムからの救援信号を受ける。
そして、ヒューズ達はキングダム崩壊の原因となった地獄へブルーと共に乗り込み、無事に地獄の君主を撃破……その後、地獄の君主を倒したことで地獄の力が弱まり、ブルー編では描かれなかったキングダムへの生還を無事に果たしたのだ。
生還したブルーは、生き残ったキングダムの面々より「キングダム復興の為、我々を導いてほしい」と頼まれる。ヒューズは「自分だったらお前等撃ってるぞ」と文句を言うも、しかしブルーは「お前達の為じゃない、自分の様な(殺しあわせ融合する生い立ちを強いられる)魔術師を生まない為にキングダムを復興させる」と承諾する。
そして……マジックキングダムの復興にある程度の目途がつき、学院の再興が為されると、ブルーはその学院長に就任。
その姿はヒューズ曰く「大勢の子ども達に囲まれて、心の底から楽しそうに笑顔を浮かべていた」とのことだった。
術の資質を集める為、時には資質の持ち主やその周囲の者達の命までも奪わねばならないという悲惨な運命を辿り、エンディングでさえも報われない形に終わったブルーとルージュが、オリジナル版のサガフロ発売から実に24年という歳月を経て遂に救われた瞬間であった。
ヒューズという破天荒な介入者のおかげで、彼等の呪われた宿命は無事に断ち切られたのである(上記の通り裏解体真書の小説でもルージュの帰還は描かれたが、すべてが終わった後でルージュがどうしたのかは描かれず仕舞いだった)。
同時に、もしも地獄の力が再び溢れてくることがあればIRPOなどに協力を依頼するという手段を採ることを決めている。それは、ブルーが本当の意味での仲間と協力することに気づいた証明でもあった。
また、ブルーとルージュの性格の違いはリマスター発売前まではルージュの最期の台詞やブルーのクーンへの挨拶から「冷酷な性格も瓜二つなのでは」という意見が多く挙がったが、ヒューズとのエンディングで「一本気で責任感が強く包容力のある長男気質」が見受けられ、一人称も丁寧な時は「私」、そうでない時は「俺」と人間味溢れる性格をしている。
結末部分については、ブルーとルージュのどちらが勝利したかで異なっている。
平和が戻り、無事に帰還した後で、もしもルージュだったらどうしていたかは、ルージュの記事を参照されたい。