CV:子安武人
『姫ちゃんのリボン』の登場人物。
姫子をはじめクラスメートたちからは有坂くんと名字で呼ばれる(大地など一部の男子は「有坂」と呼び捨て)。
成績は優秀だが生来の病弱を抱えており体は弱く体育はいつも見学している。そのため母性本能をとてもくすぐりやすい線の細いイケメンであり、女性への物腰や扱いも柔らかい、いわゆる王子様キャラであるため、瞬く間にクラスのほとんどの女子を味方につけてしまった。ファンになった女子たちからは「静(セイ)さま」と呼ばれるようになる。
しかし、それは自身にはコンプレックスでもあり、いつも元気な姫子のような健康優良児には憧れがあるという。
そして、昼休憩の最中、ついに姫子にその想いを告白してしまい、二人は交際(と言うには程度の浅い可愛い「おつきあい」だが)をする事となった。
……の、だが……。
※以下、ネタバレ
正体(以下ネタバレ)
その正体は魔法の国の住人(つまりは魔法使い)。
国の中でも随一の名家「アレイ家」の息子であり、エリカの幼馴染でもあるセイ・アレイ。
しかしエリカはセイとは幼い頃に会ってから長らく交流が途絶えていたため、姫子の行動範囲にセイがいてもそれがセイとは気付けなかった(あるいは気付いていても初期時にはエリカにとっての姫子のような「そっくりさん」と判断した可能性が高いが)。
実はエリカとセイ本人があずかり知らぬところで、魔法の国の王家とアレイ家が二人の政略結婚の約束を取り交わそうとしている事を知り、これをブチ壊そうと企み、姫子にちょっかいを出したのだった。
さらに、この事を知った自身の従兄弟であるカミル・ランドと「ならば徹底的に王家に嫌われるため、姫子のリボンを奪ってみようじゃないか」という賭けまでしてしまう(リボンを奪えばセイの勝ち、奪えなかったらカミルの勝ち。ちなみに賭け代はどちらがラーメンを奢るかというもの)。
結果、このために王家とアレイ家の関係がぎくしゃくしてしまい、挙げ句実家から勘当を喰らって魔法の国に帰れなくなってしまった。
最初の騒動の時、姫子怒りの「必殺!姫子キック」で撃退される憂き目に遭うのだが、そのショックでイロイロと目覚めてしまい、姫子に本気で惚れてしまった。
もちろん姫子から嫌がられる事になるのだが、本人は姫子から邪険にされる事に関してはむしろ喜んでいるフシすらある。
あと「生来の病弱」というのは単なるブラフ(大ウソ)であり、実は単なる運動音痴で、ソレを隠す(体育をズル休みしたい)ために病弱を演じていた。
本人は至って健康体そのものである。
素の性格はぶっちゃけ「うっかりエフェクト」と「道化属性」持ちのツメの甘い(そして物事の見通しも甘い)おぼっちゃま。そのために初期においては自らを高みに置いて無自覚に人を玩ぶような言動が目立っており、カミルとの賭けを原因とした姫子への仕打ちもこれに起因している。まぁ、名家のぼっちゃま故に物腰や当たりが柔らかいのは本性なので一応(残念な)紳士ではある。
一方で自身にイケメンとしてモテる自覚がある一方、名家の立場から本気で他者と接するような機会に乏しかったのか自意識過剰である割に承認欲求が激しい。
そのせいで日比野ひかるに迂闊な場面を見られるわ、煽てられて迂闊な言動をしてしまうわで姫子とエリカをピンチに追い込んでしまった事もある。
そしてエリカにブチ切れられ、養豚場の豚を見るような目を向けられる羽目になるのだが、ここで始めてエリカが本当に姫子そっくりである事を知ると共に、更に自身の業を深める羽目になった。
またエリカに「わたし、あなたにすっごーく怒ってるの」と面と向かって言われた際には「婚約を嫌がった事を責められている」と勘違いしている(本当はそれすらも生緩い事態になっていたのだが)。
その後、実家と王家に焼き土下座してエリカの婚約者候補に戻してもらい、自身も人間界で修行する(実質、姫子とエリカの修行のサポート要因として行動する)事となった。
その後は善意が空回って裏目に出たり、頑張ってはいるのだが以前の自分の諸行が祟って疑われたり(時に冤罪を受けたり)と残念度がズッコケ方向にスライドして、どんどんおぼっちゃま育ちゆえの本質的な人の好さ(善人ぶり・人間味)が出るようになり、どちらかと言えばトラブルメーカーな憎めない悪役ポジになっていった。
のちに書かれた番外編で小日向依寿(こひなた いず)という「人間界のそっくりさん」が登場した。
使う魔法
動物を操る魔法が得意。そのためにポコ太は意志を奪われてしまいセイの手先になってしまった(騒動が終わって正気を取り戻した際にポコ太は自己嫌悪に陥った)。
さすがに人間は操れないが、瞬間的かつ強制的に数分間の金縛り状態に至らしめる事ができる。
が、使える魔法(産まれ持って得た魔法)が動物を操るのみ、というのは本人的にはかなりのコンプレックスらしく、姫子のリボンを狙ったのは自分が変身魔法を得たかったからというのもある。そのために別件で姫子からリボンを本当に奪い(本人いわく「ごめんね、ちょっと借りるだけだから」)自分でつけて使おうとしたが、結果は不発であった。
エリカ「もーっ! セイってば、もーっ! リボンの魔法は魔法使いには使えないのに! そんな事も知らなかったの!?(激怒)」
チャッピー「しかも自分でリボンをつけてしまうのも、ものすごいですねぇ(ドン引き)」
実はリボンを始めとする「王家の試練」のアイテムは「人間界の人間」による使用を前提としており魔法の国の人間には使えない。これは、ある程度の知識があれば(魔法の国の貴族としての勉強をきちんとしてれば)知っている事なので、正直、人間界では優等生でも魔法の国においてはかなり残念な旨がうかがえる。