CV:大城まつみ(1981年版「ダーリンのやさしさが好きだっちゃ…」)
石見舞菜香(2022年版「最後のデート」)
概要
病気で入院していた少女。物語登場の時点で既に故人。
入院中の病室の窓から、いつも元気に走って行くあたるの姿を眺めており、その「元気でさわやかな笑顔」(少なくとも彼女にはそう見えた)に惹かれ、片思いするようになる。
母親に彼の名前を調べてもらい、「四丁目の諸星あたるくん」という事はわかったが、どんな人かと尋ねても、母親は当然ながら笑って誤魔化すのみだった。
「病気の自分とは釣り合いがとれない素敵な人だから」と前向きに解釈し、せめて自分の気持ちだけでも伝えたいと恋心を募らせるも、クリスマスの日に亡くなってしまう。
だがその恋の未練ゆえに成仏できず、幽霊となってこの世に留まり続けていた為、不憫に思った両親がサクラ先生に相談し、彼女からの依頼を受けて、あたるはラム公認のもと、彼女と真夏のデートを行う事になった。
相手が女であれば幽霊だろうがお構いなしのあたるであったが、真夏だというのに望ちゃんから手編みのマフラー、毛糸の帽子、手袋、レッグウォーマーをプレゼントされ、彼女の喜ぶ顔を見ては断りきれず、汗をダラダラ流しながら着る羽目になる。さらにセーターを差し出されるに至って逃げ出そうとしたが、「それは無理に着てもらわなくても…途中で死んじゃったから…」と申し訳なさそうに照れ笑いする彼女に負けて、そのセーターも着用した。
右腕が半袖の未完成セーター、マフラー、帽子等を着け、望ちゃんの姿が見えない人々の奇異の視線も気にせず、あたるはデートを続けるが、彼女は一向に成仏する気配がない。亡くなる前日の最後の日記の「雪の中、あの方と腕を組んで歩く夢を見た」という願いが心残りになっているらしい。
真夏ではさすがに無理。あたるの体力も限界とラム達が心配した時、遊園地で打ち上げた花火の舞い落ちる真っ白な火の粉が、まるで雪のように見えた。望ちゃんはそっとあたると腕を組み、幸せそうな笑顔と共に消えていった。
サクラ先生にねぎらいの言葉をかけられ、「もう脱いでもよいぞ」と言われたあたるは、「もう少し着てる…」と寂しげな笑みを浮かべるのだった。