概要
ウィザーディング・ワールドにおける究極の魔法具であり、死がこの世にもたらしたと言われる死の秘宝。
三つの秘宝全て揃えた者は「死を制する者」とされる。
かつてのゲラート・グリンデルバルドやアルバス・ダンブルドアの野望であり、悲願。
不可能のない杖を武器に、石で死者の軍団を呼び起こし、マントで永遠に姿を隠し不慮の死から逃れる。
これが「より大きな善のために」マグルを支配する魔法族の帝国をつくるための兵器となると二人は考えていた。
真実
アルバス・ダンブルドア:「真の死の支配者は、『死』から逃げようとはせぬ。死なねばならぬということを受け入れるとともに、生ある世界のほうが、死ぬことよりもはるかに劣る場合があると理解できる者なのじゃ」
そう、本当の意味は死を支配するという意味ではなかったのだ
ニワトコの杖をダンブルドアの死後に手にしたヴォルデモートは、最大の禁忌分霊箱を作成し続けた結果、外面内面共に人間性が損傷された挙句、結局は全てを壊され永遠の狭間に閉じ込められた。
また、グリンデルバルドもニワトコの杖を入手したにもかかわらず、ダンブルドアとの決闘に敗北し革命の夢は潰える。
秘宝という幻想から自分をずっと戒めていた改心後のダンブルドアでさえ、家族に再び会って今までの愚行について謝罪したい一心で蘇りの石の誘惑に屈し死に至る呪いを負った。
このように、完全性や永遠性を求め生死の理想へ縋り付いた者は、尽く不幸な末路を辿っている。
そもそも秘宝を受け取った、あるいは作成したと言われるペベレル三兄弟も、ただ寿命を迎えるまでの間マントを着た三男を除いて破滅していた。
つまり、死を制する者というのは、死の秘宝で生死を制する者ではなく、死の秘宝を制することができる人間である。
ニワトコの杖で力をひけらかし驕り「死」に捕まるでもなく、透明マントで「死」に怯え隠れ潜んで逃げ惑うでもなく、蘇りの石で死の世界に思いを馳せ過ぎて魅入られ自ら「死」に飛び込むでもない
「死」をただいずれ来たるものであると受け入れられるものをこそ死を制する者と呼ぶのである。
「きちんと整理された心を持つ者にとっては、死は次の大いなる冒険にすぎないのじゃ」
ホグワーツの戦いの終盤、「自らが死なねばならない」ことを悟りその運命を受け入れたハリー・ポッターは、石を「死への覚悟を決めること」それだけのために使った。
ここでハリーは真に死を制する者となったのである。
これは命に縋るヴォルデモートとは対極であり、作品冒頭のエピグラフや作中の墓碑が示唆する「死を超えて生きるとは何か」という命題を問い掛けている。
戦局を取り巻く様々な人間の愛憎が招いた因果により、ハリーはヴォルデモートの魂のみを死の世界に置き去りにして現世に帰ってくることに成功し、さらにニワトコの杖の所有権も手に入れた。
これにより、ハリーは名実ともに死を制する者となった。
そして死と出会った三兄弟の末弟と同じく、杖と石を欲さず、マントのみを老衰して子供に譲る時まで持ち続けるのである。
余談
ペベレル3兄弟の物語の登場人物とハリーたちには似通った点が存在する。
・長男=ヴォルデモート卿、ゲラート・グリンデルバルド
長男とヴォルデモートはニワトコの杖の力に酔いしれ、自惚れていたが、最終的に敵にあっさりと殺された。グリンデルバルドはダンブルドアから命までは取られなかったものの、第二次魔法戦争の最中の1998年、監獄にヴォルデモートが訪れるまで刑に服することになった。
・次男=セブルス・スネイプ
次男とセブルスは共に愛する者の死に打ちひしがれ、セブルスはリリーの死に絶望し自殺を考えるが、ダンブルドアからハリーを守るように約束させられ、次男は愛する者と一緒になるべく自殺した。
・三男=ハリー・ポッター
三男とハリーは共に死の秘宝を手に入れても決して私利私欲の為には使わなかった為に、死を制することができた。
・死=アルバス・ダンブルドア
死は三男が年老いて、死期が近くなった時に現れ、三男が死を古い友として受け入れた事であの世へ行くこと決意し、全ての真相を知ったハリーは自身の死を受け入れた為に、ヴォルデモートに分霊箱破壊の為に殺される事でキングスクロス駅に似た白い空間に飛ばされ、ダンブルドアはそこでハリーを歓迎し、この後起こる決戦のアドバイスをした。