概要
『ブギーポップは笑わない』の登場人物。
CV:花澤香菜
早乙女正美とマンティコアの出会いの一年前に自殺した女子高生。初登場時には既に故人。
人の生き死にを自由に決定する能力<ストレンジ・デイズ>を操る少女。
力の一部を他人に授けることも可能であり、この能力で多くの仲間を従えてきた。
彼女の目的は人類の精神を一段階先に進めるための“突破”であり、それにより人類全てがあらゆる感情を共有できる優しい世界を築こうとしていた。
しかし、自分の能力の域を超えた存在である死神ブギーポップにより死の運命を決定され、自殺する未来を選ぶこととなる。
水乃星透子が目指す“突破”は歪曲王の目指す“黄金(きん)”と同じく人の精神を前に進ませる可能性の扉を開くことであるが、歪曲王と違いそこに至るまでの道筋については特にこだわりが無い。
自分の能力で今の世界には無い素晴らしいものを創るという大まかなイメージしかない曖昧で抽象的、実に危うい思考のまま自動的に目的を実行をしようとしている。
また目的達成後の世界を統治する“王”としても覚悟も備わっておらず、夢を果たした後の世界について考えるということが無い。
人を素晴らしいものにするという形の定まっていない使命を自らに課し、それを壊れた機械のように自動的に実行するだけの存在と化しているのが、彼女の実像である。
ブギーポップにイマジネーターという名前を与えられた彼女は人類の可能性を“突破”させる全体像の定まらない曖昧な計画を実行するため学校の屋上から身を投げ自殺、形のある夢を求めて街を彷徨う幽霊となる。
彷徨いの果てに自分の能力の範疇では叶わない「全人類の精神を同じにする」という夢を持った飛鳥井仁に出会った彼女は、その夢に縋り夢の実現のために彼を導く一方で飛鳥井の夢に依存することになる。
自分が選んだ飛鳥井こそが人類を素晴らしいものに変えられると信じて行動した彼女であったが、最終的に“突破”の可能性を見出したのはイマジネーターと戦うという意志を示した谷口正樹だった。
それは四月に雪が降るように、彼女にとって思いもよらない出来事だった。
各登場人物との関わり
ブギーポップと戦うに置いて「巫女」というMPLSや統和機構から引き抜いた合成人間で組織された集団を配下に置いており、能力の一部を明け渡している。
「巫女」たちは皆、水乃星の傍にいると居心地が良いというだけの理由で彼女に協力をしており、全員が全員水乃星がどのような目的を成そうとしているのかを知らない(聞いても到底我々には理解できない崇高な目的があるのだろうと勝手に都合の良い解釈をしてる)。
彼等がブギーポップと敵対する理由も水乃星を殺されたら自分の居場所が無くなるという理由であり、水乃星の為というより自分たちの安心を護る為に動いているところが大きい。
彼等にとっては水乃星は夢の中の歪曲王に近しい存在であり、水乃星が死ぬことで彼女との出会いの記憶は曖昧に霧散して記憶から消えてしまう。そのため水乃星の死後、彼女との出会いの記憶を覚えているものは「記憶操作の能力を持つ巫女」を除いて居なくなってしまった。
一時期、早乙女正美を巫女にしようと画策したが、彼が水乃星の制御できる範囲を超えた精神の変異を遂げ、水乃星自らが彼の心の闇に魅了される危険性を察知し、接触を中止した。
霧間凪は水乃星の危険性について気付いていたが、どんな脅しや拷問をしようとも死なない限りその行動をやめないということを感じ取っており、殺人をタブーとする凪のスタイルでは水乃星を止められない詰みの状態になっていた。
「ブギーポップは美少年である」という噂の発信源は水乃星であり、ブギーポップを無責任に変化する噂話の中に閉じ込めて、死神としての役割を剥奪するという攻撃の一種であったことが凪の口から語られている。
明かされた真実
彼女はエコーズを始めとする“天から降りてきた者たち”或いは天使と呼ばれる存在とも関わり合いがある。
天使たち(虚空牙)が地球に降りて調査する際にコピーした、最も自分たちに近い精神構造を持った人間が水乃星であった(厳密には数十年後の未来に生まれる彼女を予測データから割り出し、コピーをした)。
マンティコア事件でエコーズが瀕死の凪に命を分け与えて復活させられたのも、水乃星の能力であるストレンジ・デイズをコピーしていたためである。
水乃星の精神をコピーした天使たちは統和機構に捕えられ、その体液をもとに合成人間や進化薬が作られることとなる。
つまりは合成人間や進化薬の服用で生まれた怪物フィア・グールは水乃星と天使(虚空牙)のコピーということになる。