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センシティブな作品

概要

この世界を裏で操っていると言われる存在。便宜上「組織」と呼ばれるが、その実体は組織と言うより中枢(アクシズ)と呼ばれる存在によって統制された「システム」と言った方が正しい。

世界中のあらゆる場所、政治経済エリートから地域社会の隅々に至るまでに端末と呼ばれる構成員をおく。また地球外生命体であるエコーズを捕獲・研究することで、合成人間という人造超人を開発しかつその製造技術を実質独占する。このことによって質、量ともに地球上のいかなる政府・組織も組しえない戦力を誇る。

構成員は中枢の名で発せられる命令に従って動き、MPLS(いわゆる異能力者、またその能力)の探索、および危険と判断された場合の排除を主な活動内容とする。構成員の黒田慎平によれば、その活動目的はMPLSを進化した人間であると仮定し、その進化に現在の人間種の特性を可能な限り残すのが目的という。そのため、作中でその存在意義を表す際には「未来に抵抗する現在」とされていた。また黒田によると「人類を創造・進化させた何者かを調べる」意味もある模様。

彼らが“敵”と定める判定基準はMPLSが主であるが、その中には世界の敵として覚醒しているものが含まれていることがある。この点でブギーポップの目標と交差していることが幾度かあった様子。

霧間凪の父・霧間誠一飛鳥井仁の父を殺害したのもこの組織である。

構成員がブギーポップと交戦することもあるが、統和機構自体が世界の敵として認識されているわけではない。曰く「自分のセンサーに引っかかりやすいのが統和機構に多いだけ」で、実際直接敵対したのは組織から抜け出した者や他の世界の敵のオマケで戦った者がほとんど。場合によっては共闘もするし、そもそもブギーポップに影響を与えたのも(裏切り者として処刑されたが)組織が作った黒田である。

第1作目「ブギーポップは笑わない」にてマンティコアこと百合原美奈子を造った組織として存在を示唆されているが、「統和機構」の名が出たのは2作目「VSイマジネーター」からで、他の上遠野浩平作品にも登場している。

第4作目「パンドラ」以降、様々な反統和機構組織が登場する。しかし、反抗組織は何れも小規模なものであり、統和機構に真っ向から立ち向かう戦力が備わっていないのが実情である。

統和機構自体はあくまで「今いる人類を護る」を目的とした組織であり、基本的に表世界の政治経済、戦争や自然災害に関して干渉することはない。

裏返せば、その強大な力が表の政治と無関係である故に、統和機構の活動は巻き込まれた多数の無関係な人々に被害を及ぼす事にもなる。彼らは人類に有害ではないが、統和機構の目的上その救済は統和機構にとって必要事項ではないからだ。そんな救われない彼らをどうするべきかはやがて作中課題の一つとなっていく。

統和機構の構成員で、宇宙から飛来した「エコーズ」を元に統和機構が研究した結果、生み出された人造人間改造人間に当たる存在。

見かけは普通の人間と変わりないが、老化が遅く超常能力を持つなど、人間離れした要素を持つ。

その能力に応じて戦闘用や暗殺用などに分類され、中には寺月恭一郎のように会社経営を任務にしている者もいる。

大半が統和機構の命令に忠実に従うが、自由意志がないわけではなく、統和機構に反しないレベルに私欲を満たす者、己の信念に従って反旗を翻す者、そして他者(人間、合成人間に関わらず)に恋をする者など、その生き方は多様である。

構成員(離反者含む)

合成人間たちに指令を送っている統和機構の中枢は、個人、もしくはスーパーコンピューター、もしくは権力者たちの会議であるともいう。その真相を知ろうとすること自体が反逆行為に認定され、ただちに処分の対象とされる。それでも真相を知りたいか?

以下「ジンクスショップへようこそ」「ビートのディシプリン」ネタバレ

現在の統和機構の中枢はオキシジェンもしくは柊と呼ばれる個人である。運命の糸を見る能力やその糸を断ち切る能力を持ち、他人の運命を操る神のような能力を持っている。その正体は腹心の最高幹部であるカレイドスコープしか知らなかったが、最近は少しづつ知る者も出てきている。その命令は「勅命」と呼ばれ絶対であり、カレイドスコープすら異を唱えることは許されない。中枢からの命令は出所が曖昧な通達として構成員に伝わり、不服従や悪用は全統和機構を敵に回す事を意味する。

これは表向きは絶対服従を余儀なくしている組織体制に思えるが、実際は“異を唱えることに許しを求めない反逆者の出現を加速させる大きな要因”となっている。

この現状に対してフォルテッシモは「反逆者がわざと生まれやすい体制にしているんじゃないか?」「統和機構が作る合成人間こそ人類を滅ぼす可能性の一つじゃないのか?」と疑問を述べている。

また“最強”である自分を統和機構が仲間に引き込んだのは、“最強”である自分に組織を滅ぼしてほしいからではないかという一つの大胆な仮説を導き出している。

この仮説に行きついた要因として、フォルテッシモ一人のMPLSとしての力が統和機構という組織全体の力と比較して釣り合っておらず、この世の誰もフォルテッシモの反抗を止めることができないという事実がある。実際、命令違反を当たり前のように行うフォルテッシモに組織から粛清が下ったことが一度も無いという事実がその仮説を裏付けている。

統和機構が何時出来たのかは不明である。そういうものが「ある」という認識が生まれ、その認識から巨大な組織が広がっていった。それを作ったのは誰かって?そんなことに興味があるの?

以下、「ヴァルプルギスの後悔」「製造人間は頭が固い」「憎悪人間は怒らない」ネタバレ

統和機構の成立を裏で操っていたのは、氷の魔女アルケスティスである。そしてそれは、いずれ訪れる炎の魔女ヴァルプルギスとの対決に備えた準備のごく一部に過ぎない。

しかし、これは魔女たちの目的であって統和機構という組織の目的ではない。

統和機構の真の目的とは「この世界全体の運命の観測と制御」である。統和機構という組織はこのシステムの完成を目的のために成り立っていており、運命の可能性を観測するために運命的な不確定要素を多く持つMPLSという存在を組織に取り込み、合成人間を製造し、敵となる反逆者や反抗組織を育てるという行為、エコーズを始めとする宇宙人(虚空牙)の捕獲を行っているのである。

これがフォルテッシモの疑問の答えであり、フォルテッシモの運命(意志と可能性)もまた統和機構に観測と制御が行われている……………のだが、

統和機構という組織の目的には大きな穴が2つ存在する。

1つ目は近年頻発する「世界の危機」に対して統和機構側の対応が間に合っていない、つまりシステムが完成する前に世界が滅んでしまう可能性が存在する。現にイマジネーターや歪曲王に関連の事件に関しては統和機構は対応するどころかその運命を感知すら出来ていない。

2つ目はそもそも人類の脅威・世界の危機とは何か?その明瞭な判断が付いていない点である。これはブギーポップも明確な答えを持っていない事実であり、運命の死神であるブギーポップ自身もまた「人の運命の善悪や安全性は誰が分かるものでもない」と述べている。

これは霧間誠一が著書で述べた「四月に降る雪」に通ずるものでもある。

大切なのは四月に雪が降るという未知の出来事ではなく「その事実をどう受け止めるか」である。

統和機構の観測する運命から外れた存在の一例

  • マンティコア(死亡した事実)
  • 早乙女正美(世界を滅ぼす可能性があるという事実)
  • 水乃星透子(存在そのものが観測外)
  • 飛鳥井仁(本編中の行動全て)
  • スプーキーE(自殺するという運命)
  • 谷口正樹(ペイズリー・パークに辿り着いたという事実、水乃星透子との接触)
  • ユージン、海影香純、七音恭子、神元功志、辻希美、数宮三都雄、キト(本編中の行動全て)
  • 寺月恭一郎(ムーンテンプルの建造目的の秘匿、その他置き土産の存在目的の秘匿)
  • 歪曲王(生まれるという事実)
  • ムーンテンプル事件に関わった全ての人々(その日その場所に居合わせるという運命)
  • 来生真希子(進化薬を拾い、自分自身に投与するという運命)

その他、ブギーポップシリーズやその外伝作品に登場する人々のほとんどが統和機構の観測外の運命を辿っている。

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