概要
アニメ版『ウマ娘プリティーダービー』シリーズに登場するチームスピカのトレーナー(通称沖野T)と、チームメンバーの一人であるサイレンススズカの組み合わせ。
ゲームアプリがリリースされるまでは「ウマ娘サイレンススズカの担当トレーナー」と言えばアニメ版のスピカトレーナー(あるいはリギルの東条トレーナー)くらいのものだったが、アプリのリリース後はいわゆるトレウマ(トレスズ)と区別するために「沖スズ」が用いられている。
アニメ第1期
生まれ育った北海道を離れ、トレセン学園へ通うべく上京してきたスペシャルウィーク視点で描かれる激動の第1話。
初めて目にするトゥインクル・シリーズの興奮、遭遇した謎の痴漢、1番人気サイレンススズカへの憧れ、リギルの選抜レース、学園内誘拐と不審なチームからの勧誘 etc.……視聴者さえも置いてきぼりにしかねない展開の裏で、沖野Tはレースを控えるスズカにあるアドバイスをしていた。
当時のスズカはチームリギル所属。担当トレーナー・東条ハナからの指示は「勝つために、前半は抑えて差す」というもの。しかし前走(香港国際カップ)で見せた逃げっぷりに大きな可能性を見出していた沖野Tは、本番直前のスズカを呼び止めると「自由に走ってみろ!」とけしかける(なお、この時点でのスズカは彼のことをハナのストーカーだと思っていたらしい)。
トレーナーの熱意に触れ、ハナの指示に反して大逃げを打ったスズカは快勝。リギルの方針から逸脱したことで脱退――という体で円満にスピカへと送り出され、トレーナーの指導下で「人に夢を与えるウマ娘」を目指すようになる。
序盤では走ること以外への関心も薄く、提示される出走予定を淡々と受け入れるスズカだったが、好きなように走れるスピカの気風はもちろん、個性豊かなメンバーにも愛着を抱いている様子が見られ、自身を引き入れてくれたトレーナーへの感謝も口にしている。
故障を乗り越え、情緒の振れ幅も増した終盤近くにはトレーナーをからかうような素振りも見せており、チームメンバー相手には基本的に泰然としている彼を珍しく狼狽えさせる小悪魔めいた言動が「沖スズ」という概念に与えた影響は計り知れない。
“先頭”を愛するが故か、トレーナーが運転するワゴン車での定位置は助手席。劇中では寝入ったように見せかけて、運転席のトレーナーにこっそり流し目を送ったりしているが、気持ちを言葉にすることにさして躊躇しない様子の彼女が、あえて遠回しな感情表現をした場面であるだけに、視聴者に残した印象も強く、その視線に込められた意味合いについても解釈は観る側に委ねられている。
トレーナーからすると、序盤でこそレースへの熱意が今ひとつ読み取りにくいスズカの性格を掴みあぐねていた感こそあるものの、彼女の走りに夢を見る者として付かず離れず向き合いながら、時に暑苦しく、時に真摯にエールを送っている。
良くも悪くもスキンシップにあまり抵抗のないところがあり、安心させたり激励したりといった場面で頭を撫でることも。スピカのメンバーそれぞれと対等に接し、誰かを特別扱いするようなことは無いが、ウマ娘との独特な距離感ゆえに蹴られたり技を掛けられたりといった反応には慣れっこになっており、劇中でトレーナーを蹴飛ばしていないメンバーはスズカくらいである。
故障をきっかけに全力疾走を恐れるようになってしまったスズカ(と、彼女の回復を願う余りトレーニングに身が入らなくなっていたスペシャルウィーク)を叱咤する熱さや、復帰戦を走り抜いた彼女の姿に涙ぐむ一面など、やや曲者ながらも担当想いの好漢として視聴者には概ね受け入れられている。『ウマ娘』における“トレウマ”の源流を形作った、二次創作におけるキーパーソンとも言えるだろう。
スズカがリギルにてスランプであった頃、トレーナーはゴールドシップとチームを再建中であり、トレーナーとして腐っている時期であった。しかし、スズカの練習での走りを観て指導者としての熱が再燃。トレーナーに競技者として救われたスズカも、実はトレーナーを救っていたのであった。
沖スズの作品の特徴として、二人の救われ合った強い信頼関係を活かした作品が多く、コメント欄などで「沖スズはいずれ癌に効く」「沖スズからしか取れない栄養素がある」など多くのトレーナー達がコメント欄で尊死している。ちなみにスペシャルウィークが沖スズの間に挟まるとただの親子にしか見えなくなり、さらに微笑ましく見えるという。
余談
2月4日に行われた5thライブDAY2にてサイレンススズカ役の高野麻里佳さんがウマ娘のライブに復帰したが、実はゲストには「チームスピカ」トレーナー役の沖野晃司さんも登場した。そして、ライブの途中にはウマ娘1期の主要キャストであるスペシャルウィーク、トウカイテイオー、サイレンススズカの3人とトレーナーがMCで登場。トレーナーが冒頭で「お帰り、スズカ。」の言葉に「ただいま、トレーナーさん。」と返し、舞台上の3人も含め会場全体が涙が止まらない状況に。沖野さん曰く、実は沖野さんも3人が並ぶ姿に涙が出そうになったがなんとか我慢してMCを遂行した。思い出話に花を咲かせ、「ぱかラジ」を茶化しつつ4人のMCが終わるとライブは過去最高の盛り上がりを見せる1時間を迎えるのであった。
余談の余談ではあるが、トレーナーの「お帰り、スズカ。」は沖野さんのアドリブであったことをスズカ役の高野さんは明かし、トレーナー達に「ただいま」を言える機会を作った沖野さんに感謝を伝えるツイートをしたのだが...。沖スズを推している人はただでさえライブの会話で消し飛んでしまい、それぞれ墓に入っていたが、そのツイートで墓すら消し飛んでしまう事態に。
沖スズ村はその日2度消滅したという...。
ちなみにこのカップリングは沖野・高野両氏にも認知されているらしい…
備考
アプリ版『ウマ娘』のメインストーリー第5章では、サイレンススズカがチーム<シリウス>の一員としてシリウストレーナーの指導を受けることになる――のだが、沖スズ愛好趣味者の中でも思想が強めのトレーナーからは「他のトレーナーと夢を追うスズカをどう受け止めたらよいのか」という予期せぬ苦しみにぶち当たってしまった困惑の声がチラホラ……。
このあたりにも「トレスズ」から「沖スズ」タグが独立している理由が垣間見えるだろうか。
アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』サイドストーリー第1R~第3R
関連項目
スペスズ… 二人の交わした「約束」が第1期を強く牽引しており、沖野Tまでも奮起させた。ある意味では三角関係の筆頭候補。