ゲーム内容
オリジナルは1994年12月23日にスーパーファミコンで発売され、各ハードで続編が発売される息の長いアクションゲームシリーズ。開発元や発売元を転々としており、第1作はTNN、続編はエクシングエンタテイメント、マーベラスエンターテイメント、デジカなどほとんど1作ごとに発売元が異なっていたが、Nintendo Switchで発売された『Fresh!』以降の作品はサクセスから発売されている(サクセス以外はほとんど倒産してしまっているが…)。
主人公の海腹川背さんを操作して、出口のドアを目指すのが基本的なシステム。ゴムのように伸縮するロープのついた「ルアー」を壁や天井にひっかけて、ラバーリングアクションと呼ばれるターザンのような動きを駆使しながらフィールドを進んでいく。ルアーによる奥深く多彩なアクションとそれによる攻略性の多様さ、ルート分岐やタイムアタックといった幅広い楽しみ方ができるゲームである。特にファンの攻略ビデオに収録された、ルアーを使ったロケットダッシュやロケットジャンプは多くの反響があり、続編の旬からはそれを使わないとクリアできないドアも登場した。
フィールドの背景には実写の写真を配置し、足の生えたお魚が徘徊するなど、シュールでアクの強い世界観を作り上げているのも特徴の一つだったが、最新作の『Fresh!』ではかわいらしいグラフィックとファンタジックな世界観を採用し、独特のアクを抑えている。
また、評判が高いのがBGMである。立川伸治や本山淳弘が作るガールズポップ(インタビューによると、80年代アイドルソングB面曲をイメージらしい)のような軽快なBGMは至って好評であり、今まで何度もサウンドトラックアルバムが発売されたり、ゲームの封入特典だったりしている。
主人公
「海腹川背」という19歳の女の子。流しの板前である。「海の魚は腹に、川の魚は背に脂がのっている」という板前用語が基だが、用語としては本当は川背海腹が正しいとか。
説明書などでは「海腹川背さん」と呼ばれており、ファンの間でもその呼び方が浸透している。
ボーイッシュな童顔だがけっこうな巨乳。特徴のアホ毛は作品生みの親、イラストレーター近藤敏信の照れ隠しらしい。
シリーズ
海腹川背
1994年にスーパーファミコン用ソフトとしてTNNが発売。ファミリーコンピュータマガジンが作品に目をつけていた。なお、深夜枠などにCMを流しており、ナレーションは久川綾が演じていた。なお、この作品だけ、『Pas de Chat』の中野雅仁が作曲にかかわっている。また、この作品だけ30分ルールというのがあり、F10以降、一部のボス面以外で30分が経過すると、自動的にエンディング面のF28に転送される仕様となっていた。
海腹川背・旬
1997年にPlayStation用ソフトとしてエクシングが発売。続編的な作品であるが「『海腹川背2』とはちょっと違う位置付けのもの」ということでこのタイトルとなった。
海腹川背さんの声(企業広告中のみ)とテーマ曲を小森まなみ氏が担当しており、ゲームオーバー時に「ときめきが目を覚ましてる」が、ゲームクリア時に「空の青さ」が、特定の面をクリアした際に玉露園や釣具のミッチェル、開発元の「ジャックポット」などの企業広告が流れる。ムービーも存在するが、これはネームエントリー時の小さな画面に映されるのみであり高解像のものは後のリメイク作品まで見ることができなかった。タイムアタックが公認されるようになり、各フィールドのクリアタイムが記録されるようになった(このときはまだ分秒のみ)。
廉価版として、2000年に『海腹川背・旬 ~セカンドエディション~』が発売された。劇中CMがカットされ、代わりに描き下ろしイラストの表示や新フィールド(F56~F58、いずれも今までのフィールドとは比較にならない上級者向け難度)が追加された。2012年にはゲームアーカイブスとして配信もされている。また、クリアタイムも分秒に加え、コンマ2桁まで記録されるようになった。
海腹川背Portable
2008年にPlayStation Portable用ソフトとしてマーベラスエンターテイメントが発売。オリジナルスタッフの手から離れた『海腹川背・旬』の移植・リメイク作。
いわゆる黒歴史。一部追加フィールドはあるが、ゲーム性を変えてしまう不具合が多数存在し、それらを修正しないまま強硬販売に踏み切ったことや、不具合をバグではなく「仕様」とするメーカーの対応が問題となった。また、付け焼き刃的な追加フィールドも評判が悪く、後のシリーズでは案の定、無かったことにされており、このソフトを言う時は、”なんとかPortable(笑)”などと呼ばれている。
この事件は、ソニー公式からも「愛のない移植」と言ってのけたりされるなどした。しかし、結果的にこの事件によって、大きく作品の知名度を大きく上げることになり、完全版や続編、サントラなどが販売される結果につながり、ある意味怪我の功名ではある。
なお、スーパースィープからサントラが初めて販売されたのもこの頃である。
海腹川背・旬 ~セカンドエディション~完全版
2009年にニンテンドーDS用ソフトとしてジェンタープライズが発売。『海腹川背・旬 ~セカンドエディション~』をベースにフィールドとギャラリー画集が追加されたほか、スーパーファミコン版『海腹川背』も収録されている。こちらが正統派のリメイク版である。
さよなら 海腹川背
2013年にニンテンドー3DS用ソフトとしてアガツマエンターテイメントが発売。タイトルに『さよなら』と付いているがこれが完結作という意味ではない。新キャラクター3名と特殊能力を追加し、全体的なゲーム難易度を落とす方向で調整されている。
その後2015年にSteamでの配信が始まり、シリーズとして初めて海外版とPC(Windows)版が投入された。同年にはPlayStation Vitaに移植した『さよなら 海腹川背ちらり』も発売された。サントラが同梱されており、3DSの方では今までの作品の本山、立川作曲分のアレンジ版と2つの歌のオリジナルインスト版が収録されている。
左:今回の川背さん。ノースリーブ。ゲーム進行を一時的に止める能力を持つ。正確な入力をしやすい。
中央:幼少期の川背ちゃん(右)、およびその友人江美子ちゃん(左)。チェックポイントを通過していれば1度だけミスをしてもそこから復帰できる。
右:横山埜鼓(ノッコ)。ゲーム進行を一時的にスローに出来る。停止しない分川背さんよりタイミングを取りやすいとも取れる。
海腹川背 Fresh!
2019年にNintendo Switch用ソフトとしてサクセスが発売、2020年にはPlayStation 4でも発売した。新規プレーヤーの取り込みを意識して、意欲的に新要素を盛り込んだ作品。世界観が大幅に変わり、システムもステージクリア制からクエストクリア制となった。また、作曲に益子崇徳が加わった。
海腹川背 BaZooKa!
2020年にNintendo Switch、PlayStation 4、PC用ソフトとしてサクセスが発売したいわば番外編。最大4人での対戦アクションとなっている。
配信版について
第1作、旬、さよならがSteamやAmazonで配信されている。さらに3作をまとめて『海腹川背 トリロジー』もあり、個別に購入するよりも割安になっている。
2015年12月、シリーズ発売元であるアガツマ・エンタテインメントがグループ経営環境の悪化のため解散。一時は配信停止するも、デジカに拾われ再開。
2022年5月27日、「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」に海腹川背が追加された。
自分よりも強い相手に……
2018年7月、日本でロケテストが行われ、8月8日に稼働の格闘ゲーム『Blade Strangers』にプレイヤーキャラの1人として参戦する。
ゲーム中でも、ルアーアクションが必殺技で追加されていたり、ニヤリとする様な演出も用意されているようだ。
のちに本シリーズから追加で江美子(川背と同じラバーリングアクションを使用していたが『Blade Strangers』では川背との差別化のためなのか巨大化した愛猫のシャケマルの背中に乗って戦う)&横山埜鼓もプレイヤーキャラとして追加。
しかも、この作品にはショベルナイトやガンヴォルト、クォート等の他作品メンバーも参戦している。ここにきて、まさかのお祭りゲームへの参戦には驚いた人も多いだろう。