満足町とはアニメ『遊戯王5D's』に登場した町『Satisfaction Town(サティスファクションタウン)』の日本語訳、および通称である。
登場までの経緯を解説するとクラッシュタウン編の全編を解説する必要があるため、実質的にクラッシュタウン編の解説記事となっている。
クラッシュタウン編の概要
クラッシュタウン編は遊戯王5D'sの86話~92話にかけて全7話で放送された。
鬼柳京介が再登場し、重要なポジションを担っている。
クラッシュタウン
本編の舞台であるネオドミノシティの外に存在する街。
不動遊星と仲間達はDホイールで来たので、そこまで離れてはいない模様。
ゲーム『タッグフォース6』ではサテライトの中でも未開発の地域という扱いになっている。……ということはあの孤島のどこかにあの荒野があるのだろうか?
作中でも重要な役割を担っているDホイールだが、その製造には「ダイン」と呼ばれる鉱石が必要不可欠とされる。
クラッシュタウンはダインの鉱脈が発見された事で一挙に人々が押し寄せ、さながらゴールドラッシュのように栄えた鉱山街である。
町並みや人々の暮らしぶりなどはアメリカの西部開拓時代そのもので、なぜかタンブルウィードまで転がってくる。本当にこのような場所が日本にあるのだろうか?
一応セキュリティの管轄内である事が窺えるシーンがあるものの、街はラモングループとマルコムファミリーに牛耳られた事実上の無法地帯であり、夕暮れ時になると鉱山労働者を賭けて、それぞれのグループに雇われた用心棒による文字通りの決闘(デュエル)が行われる。
デュエルにも独特の様式があり、銃型のデュエルディスクを用いて行われる。
先にデュエルディスクと手札5枚を構えた方が先攻を取れる早撃ちルールが採用されている他、同作ではあまり描かれる事のなかった多対一デュエルが行われるシーンもある。
近未来という設定を差し引いてもぶっとんだ舞台設定と展開に目が行きがちであるが、サテライトと同じくネオドミノシティの発展の影で犠牲になる名もない人々を描くなど、ストーリー自体はそこそこシリアスな要素もある。
登場キャラクター
この章では実質主人公を飾る。ダークシグナー編で敵として登場した凄腕のデュエリスト。
昔はチーム・サティスファクションのリーダーとして活躍していた。
クラッシュタウン編では髪を長く伸ばし、ハーモニカで自分のテーマソングを吹き鳴らしながらクールに登場する。
冥界の王が倒されたことにより彼も復活し旅に出ていたが、クラッシュタウンに流れ着いた。
ダークシグナー時代と同じくインフェルニティデッキを駆使する。
以前とは違い言動に覇気がなく、どこか投げやりな雰囲気になっている。一体彼に何が……?
このアニメの主人公。
鬼柳の親友かつ元チーム・サティスファクションのメンバーであり、彼自身も超一流のデュエリスト。
物語は彼の元に一通の手紙が届いた事から始まる。「鬼柳を救ってほしい」と記されたその手紙により、愛用のDホイール『遊星号』でクラッシュタウンに向かう。
いつもとは違った雰囲気の町だが、どこから調達したのかポンチョを着て登場したり、 銃型ディスクを華麗にホルスターに収めたり、銃型ディスクを手入れしたり「だが俺はレアだぜ」「俺たちの絆パワー」と言ったり割とノリノリであった。
花屋を営む黒髪色黒の妙齢の女性。遊星に手紙を送った人物。
遊星と共に鬼柳を救出する作戦を立てる。
- ウエスト
鬼柳を「鬼柳兄ちゃん」と慕う黒髪色黒の少年。
鬼柳を「さすが伝説のサティスファクションのリーダーだ!」と称えるが「や め ろ」と冷たくあしらわれてしまう。そして「早くこの町を出ろ」と鬼柳に忠告される。
ウエストの姉。姉弟共に鬼柳と親しいようだ。
ニコとウエストの父。
デュエルに敗れて鉱山送りにされでも、ウェストとニコからのプレゼントであったペンダント肌身離さず持っている。
- ラモン
町を仕切る2つの組織の片方のリーダー。青黒い髪の痩せこけた青年。
無法者にしては珍しくマーカーがない。彼の一味・ラモングループは青いスカーフを巻いている。
用心棒として鬼柳を雇い、町の支配を目論む。
アニメでの使用デッキは不明だったが、WCS2011では降雷皇ハモンを軸とした宝玉獣デッキを使用し、プレイヤーの前に立ちはだかる。
町を仕切る2つの組織のもう一方のリーダー。茶色い髪と広いおでこの中年男。
こちらは無法者らしく多数のマーカーがある。彼の一味・マルコムファミリーは赤いスカーフを巻いている。
ラモングループに対抗して用心棒を雇うが、鬼柳の前に連敗が続いている。
こちらもアニメでの使用デッキは不明だったが、WCS2011ではX-セイバーを使いプレイヤーを試してくる。シナリオの進行具合を考慮すればかなりの強敵である。
- 送り人
クラッシュタウンの審判とも言える謎の2人組。
デュエルタイムで敗北したデュエリストを投げ縄で捕え、棺桶に閉じ込めて鉱山へ連行する。
連行された者に待つのは命尽きるまでの強制労働である。
修行に出ているマルコムの弟。
伏せカード1枚を墓地に送ることで1枚に付き800ポイントのダメージを与えるというカード「ガトリング・オーガ」を使った【フルバーン】の使い手。
アニメはライフ4000制なので、初期手札がガトリング・オーガと適当な魔法罠5枚だった場合、先攻1ターンキルが可能。
WCS2011ではアニメ同様クラッシュタウンシナリオのラスボスを務め、デッキも【フルバーン】を使用。
鬼柳が相方として戦ってくれる2対1の変則デュエルでライフも現実基準の8000制、更にはガトリング・オーガも投入されておらず一見弱体化しているが、原作同様手札10枚スタートからのバーン効果でライフを次々と削ってくるので対策が必要。
クラッシュタウン編のあらすじ
クラッシュタウンに到着した遊星が目にしたのは、町を支配する鉄の掟だった。
黄昏時の太陽が沈む時間帯になると2つの勢力に雇われた用心棒同士によるデュエルタイムが始まり、負けた者は死に繋がる鉱山労働を強いられるのだ。
その中でラモンの側に付き勝ち続ける鬼柳。彼を見つけた遊星が声をかけるが無視されてしまう。かつての友の奇妙な態度に違和感を覚える遊星。
蘇った元ダークシグナー達は当時の記憶をなくしていたが、鬼柳だけは記憶を取り戻していた。
些細な誤解から仲間を殺そうとした己に絶望した彼は、死に場所を求めてさまよったあげくこの街に行きついたのだ。
だが、サテライト最強チームの元リーダー、その実力は健在でマルコムファミリー相手に50連勝を達成。幕引きを望む鬼柳の意志とは裏腹に意図せぬ連勝を続けていた。
バーバラは、鬼柳をこの町から解放してあげたいが、それにはデュエルタイムで鬼柳に勝つ事が必要と告げる。鬼柳に勝利した後、送り人に連行される前にダイナマイトを使いどさくさに紛れて鬼柳を救出する作戦を遊星に立てる。
遊星は鬼柳と戦うべく、ラモンに敵対するマルコムファミリーの下を訪れる。
そしてマルコムの手下3人を瞬殺してカを示し、マルコムに雇われる。
そして遊星と鬼柳はデュエルを開始する。
全力で闘う遊星に対して鬼柳は運任せのデュエルを展開する
「お前らしくないぞ」という遊星に対して「そう熱くなるな、たかがデュエルだ。勝てばいいんだろ」、「罪という傷が俺に残った、デュエルは俺のすべてだった……。だが今はデュエルが憎い、友人を苦しめてしまったのだから、だとしてもデュエルしか頭にない、ならせめてもの償いとしてデュエルによって葬られたい、その相手がお前なら本望だ」と発言する…
以下ネタバレのため未視聴の方は注意
遊星は作戦通り鬼柳に勝利したが、バーバラの花束に仕込まれていたのはダイナマイトではなくショックガンで、遊星は背後から撃たれてしまう。
バーバラが遊星を呼んだのは町をマルコムと共に自分のものにするための策であり、邪魔な鬼柳を倒すために遊星が選ばれたのであった。
さらにそこにロットンが登場。ラモンを瞬殺して、用済みの遊星と鬼柳は彼により鉱山に送られてしまう。
鉱山からの脱出を試みる遊星だが鬼柳は一度は拒否。だがそれでも遊星に腹パンされ強引に連れていかれる。ニコとウエストが遊星号を持ってきたが、そこにロットンが現れる。
遊星は彼とデュエルし時間稼ぎを行い。鬼柳はニコ、ウエスト、そして鉱山に出会い二人の父のセルジオと鉱山を逃げ回る。
鬼柳は逃走の最中3人の活躍によりかつての闘志を取り戻していく。しかしその過程でセルジオは鉱山に落下、行方不明になった。なんとか坑道の出口に近づくがロットンは遊星とのデュエル中にダイナマイトを使用。その威力は凄まじく、使ったロットン自身を含めて全員を吹き飛ばしてしまった。
そして彼らは山の中腹から大爆発で放り出され、地面に叩きつけられる。
遊星と鬼柳、遊星号に至ってはそこからさらに崖に転落してしまった。ロットンから「この高さから落ちたなら無事なはずはない」と言われるほどの高さである。だが彼らは無傷で生きていた。鬼柳は鉱山の労働で死亡した多数の犠牲者の墓を見つける。落ち込む鬼柳の前で、墓標のデュエルディスクが突如動きはじめた。
それを見た鬼柳は彼らの遺志を継ぐ決意を固める。
墓のデュエルディスクを持ち出し、セルジオのペンダントを墓(※誰のものか不明)に掛け、ついに闘志を完全に取り戻す。そして死神と名乗り、遊星と共に元凶であるロットンと決着をつけるため町に向かうのであった。
その頃町では、バーバラがマルコムをも裏切り、ロットンと共に町を支配しようとしていた。ニコとウエストも彼らに捕まってしまっていて、さらに労働送りのために残った者同士で潰し合いを始めようとしていた。
そこに生きていた遊星と鬼柳が現れ、ロットンにデュエルを挑む。鬼柳はロットンにより1ターンでライフが0にされるが、インフェルニティ・ゼロの効果でライフ0のまま戦い続ける。その姿はまさに死神であった。遊星もそんな鬼柳を全力でサポートしロットンを追い詰める。そしてデュエルが大詰めを迎えた頃、バーバラが子供達を人質にサレンダーするよう2人に迫る。
そしてロットンも「リアリストだ」と2人に銃を突きつけ、絶体絶命のピンチになったが、そこにクロウ・ホーガンが現れBF-疾風のゲイルでロットンの銃を弾く!
往生際の悪いバーバラはそれでもニコとウェストを人質に逃げようとするが、さらにジャック・アトラスも現れ、バーバラにツッパリをかまして二人を解放。
2人は遊星の帰りが遅いのを心配して駆けつけたのである。
そしてセキュリティと牛尾も現れ鉱山の奴隷も解放される。
鬼柳さんはかつての仲間が集まった事に興奮しチーム・サティスファクションの復活を宣言する。
追い詰められたロットンは町を爆破し、Dホイールで逃走を図る。
遊星は遊星号と決闘の決着を鬼柳さんに託すと、ロットンを追いかけデュエルを再開し勝利。
バーバラとロットンはセキュリティに逮捕される。
全てが終わった後、鬼柳は子供達に自分の生き様を伝えていくため町に残る。
そして、町には彼らにちなんだ新たな名前がつけられた。
「サティスファクションタウン」と……。
余談ですか、ニコとウエストの父セルジオ、落下後の描写一切ないのため、死ぬと思いますか…
WCS2011では記憶を失った状態で生存発覚、鉱山を彷徨っている彼に前述のペンダントを渡すと、無事に記憶を取り戻し、見事生還を果たす。
この章で産まれた迷言 ※次回予告含む
「おうおうおう! Dホイールなんか乗ってきちまってよぉ!」「えらいハリキリ☆ボーイがやってきたじゃねぇか」
「鬼柳の様子がおかしい。奴の心は目の前のデュエルにない」(町を一望できる崖の上から)
「たった1ターンで3人を!? One Turn Three Kill…」(なぜか発音が綺麗なバリバリの英語)
「だが俺はレアだぜ。報酬は高いぞ」
「ダークシグナーだった頃のお前はもっと輝いていたぞ!」
「忘れちまったぜ、満足なんて言葉……」
「さすがサティスファクションのリーダーだ!」→「や め ろ」
「そう熱くなるな。たかがデュエルだ」
「そんな事でお前に満足されてたまるか!」→腹パン
「轢き潰して粗挽き肉団子にしてくれるぜェ!」→「コイツ、こんなにイカれた奴だったのか!」
「すべてのカード、そんだけじゃねえ! お前たちも粉々に爆破してやるぜ!」→「ぬおおおおおー!?」by遊星、「ぐぬうううああああ!?」by爆弾を投げたロットン本人
「お前がいる限り、この街に満足は訪れない! 俺達の絆パワーで必ず倒して見せる!」
「正直俺も、後どれくらいデッキにモンスターカードが入っているか分からねぇ…」
「最高だぜ!チームサティスファクションの復活だ!!」
「だが、オレはこのカードを発動していた!」
「デュエルごっこはここまでだよ!」
「お前までもがそんな汚ぇ真似しやがるのか!それでもデュエリストか!」→「(悪そうな笑顔で)リアリストだ」
「これで……満足したぜ…!」
余談
当時、数々の伏線が張られていたWRGP準備編の途中でいきなりクラッシュタウン編が始まったため、視聴者が混乱したり困惑した。同時期に『劇場版 遊戯王~超融合!時空を超えた絆~』が制作されていた事もあり、主要なスタッフがそちらに注力していた為に生まれたエピソードなのではないか・・・と
噂されていた。
実際この7話は鈴木やすゆきが脚本、菱川直樹が監督、キャラクターデザインが原憲一、総監督が小野勝巳と主要スタッフが違うが、総作画監督を勤めた丸山氏によると、手の空いているスタッフが考えたからというわけではなく、大真面目に脚本を考えた結果こうなったものらしい。
その結果歴代遊戯王シリーズの中でも全編通してツッコミどころしかないとして話題になった。
制作側のエピソードとして
・鬼柳登場シーンでアフレコ現場大爆笑(あのハーモニカトンボ社のだよと話題になった)
・次回予告のセリフが色々な意味でおかしく本編にない台詞が登場する。
・92話の次回予告セリフのアフレコが一発OK
これらも含めて視聴者の間では「腹筋クラッシュタウン」と呼ばれるはめになった。
とはいえ、ダークシグナー編で屈指の人気を誇っていた鬼柳が味方サイドとして活躍し、遊星、ジャック、クロウを含めた「チーム・サティスファクション」4人の再会と絆の復活、遊戯王シリーズ屈指の外道キャラであるロットンとの対決等展開そのものの見どころは多く、鬼柳の再登場期待していた視聴者に対してそれ以上の出来で応えた内容に仕上がっている。
また、鬼柳が実質の主役を張ったことにより、彼の使用デッキである【インフェルニティ】が大幅なテコ入れを受けている。結果、OCGのインフェルニティも一気に種類が増え、環境に食い込むまでになった。
また、インフェルニティ以外にもエフェクト・ヴェーラーの登場は、OCGの環境にも大きな影響をもたらした。
関連タグ
闇ユウリ:決闘者系で扱われている場合がある