曖昧さ回避
- 1962年に東宝で製作された喜劇映画
- 吉岡平のライトノベル『宇宙一の無責任男シリーズ』の通称
本項では両方を解説する。
東宝「無責任シリーズ」
東宝が制作した「クレージーキャッツ」のメンバーが出演する「クレージー映画」の中でも最初に制作された、植木等主演の喜劇映画。
植木演じる「正体不明の無責任男」が、会社の中でとんとん拍子に出世していく物語。
元々はフランキー堺主演の喜劇映画『無責任会社員』として企画されたものだったが、クレージーキャッツ主演映画の企画を探していた安達英三郎プロデューサーの目に留まり、主演を植木に変更して制作された。
東宝はサラリーマン喜劇映画を数多く制作していたが、そのほとんどが会社に忠実で真面目なサラリーマンが主人公であったため、そのアンチテーゼとして企画されたものが始まりだった。
監督は「パレンバン空挺降下作戦で一番乗りした」と自称し「パレさん」の愛称があった古澤憲吾。1959年に監督デビューを果たしたばかりの若手だったが、「向こうはクロサワならこっちはフルサワだ」と豪語して妥協を許さない制作姿勢が評価されていた。
シリーズの代名詞ともなっているほどに有名なシリーズであるのだが、藤本真澄プロデューサーの「マジメな人間こそ幸せになって欲しい」という意向と脚本の田波靖男の「これ以上シリーズ化するとマンネリになる」という意向から以下の2作のみで打ち切りになってしまった。
ちなみに実際の植木は「無責任男」とは正反対の人物で、当初は古澤に降板を申し出ようとしていた。
しかし古澤のキャラクターにかける意気込みと、植木の隠れた才能を見抜いていることに感服し出演を承諾したという逸話がある。
ただ唯一「香典泥棒」という設定だけは変えさせてもらったという。
植木はなかなか古澤からOKが出ず、しびれを切らした古澤から「植木君、君の演じようとしているこの男は異常なんだよ!」と言われたことから吹っ切れてキャラが出来上がったと回想している。
田波靖男によるとなんと平均は実在の人物がモデルとなっており、その人物は東宝の社員でもないのに会議に出席して発言する謎の人物だったが、最後はハイジャック犯として逮捕されたらしい。
幻の新作
『ゴジラ』や『帰ってきた若大将』など、1980年代になって東宝はかつての人気映画シリーズの新作を数多く制作していた。
当然クレージー映画の企画もあり、『帰ってきた無責任男』というタイトルで企画されたが実現には至らなかった。
その後1990年代に植木が再ブレイクしたのを機に『平成無責任男』として企画が再始動するがこちらも実現には至らなかった。
最終的に無責任シリーズの流れをくむ新作は2011年に公演された舞台『ニッポン無責任新時代』を待つことになった。主演はネプチューンの原田泰造が務め、平均の孫の百均(くだら ひとし)という役柄だった。
『宇宙一の無責任男シリーズ』
1989年1月より富士見ファンタジア文庫より刊行された『無責任艦長タイラー』を初めとする吉岡平のライトノベルの総称。詳細な解説は作品記事参照。
「平均がスタートレックのような宇宙船の艦長になったら」というコンセプトで始まった作品であり、主人公の名前「ジャスティ・ウエキ・タイラー」は植木等と平均から取ったものである。
そのほかにもヒロインの「ユリコ・スター」、惑星連合軍の高官「セッシュウ・ミフネ」、「ススム・フジ」のように東宝の俳優を名前の由来とするキャラクターが多く登場する。
本来のシリーズ名は『宇宙一の無責任男』であるのだが、シリーズ第1作のタイトル『無責任艦長タイラー』の名前で1993年にアニメ化したこともあって、本シリーズもまた「無責任シリーズ」と呼ばれるようになった。
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同じタイトルで「喜劇」ということを除けば全く違うジャンルの作品が誕生するという正直なところかなりややこしいことになってしまっているのだが、なにしろ自然にこうなっちゃったんで、今のところはこれどうにもこうにもどうしようもないので、まあ、そのうちなんとかなるだろう(笑)
ということにしておいて下さい。