概要
古代中国でライオンを元に想像された存在で、ライオン自体の呼称としても用いられる。
獅子は百獣の長であり、西域に生息し、その容姿は姿形は虎に似ているが小さく、猱狗(むくいぬ)のような黄金色の体毛を帯びた、頭が大きく尻尾は長いとされる。また体色が青いものもいるといわれる。
胴の頭に鉄の額、鉤の爪、鋸の歯、垂れた耳、盛り上がった鼻を持ち、その眼光は稲妻の如く、吠える声は雷鳴の様であるという。
牡は尾の先に一斗升ほどの毛が生えており、1日に五百里(約1964km)を走る事ができ、怒ればその威は歯に現れ、喜ぶときの威は尻尾に現れるといわれている。
また、禽獣を食べる時に獅子が気を吹きかければ、その羽毛は皆落ちてしまい、獅子の毛を牛、馬、羊の乳の中に入れると、それらは皆たちまち水へと変えてしまうともいわれており、虎をとりひぎ、豹の一種である貔(ひ)を吞み、犀を裂き、象を真二つにする程の力を持つという。
そして虎や豹は死んだ獅子でさえ敢えて食べ様としないといわれている。
西域では獅子を飼うことがあり、生まれて七日以内のまだ目が開いていない赤子を捕獲し、これを調教する事で飼育ができるようになるが、これより成長してしまうと調教は難しくなるという。
この様に猛悍な獅子にも天敵がおり、『博物志』には魏の武帝が白狼山に登った時にタヌキの様な動物が獅子の頭に飛びつき殺した記述があるほか、『唐史』高宗の時代に伽毘耶国から「天鉄獣」という獅子を捕らえる獣が献上されたとする記述が記載されているという。
その他の詳しい詳細については唐獅子の記事も参照されたし。