真田設子
さなだせつこ
セント・テレジア学院2年生。如月修史のクラスメイトで、隣の席に座っている。
お淑やかでとても優しい完璧なお嬢様で、普段下僕扱いされている修史にも親切に接する。そのためか本来女性が苦手であるはずの修史も設子だけは当初から例外であり、彼にとってのオアシス的な存在の人物となっており、設子が護衛対象に含まれる展開になった際には明らかなオーバーワークになることを覚悟した上で設子を護り抜くことを決意している。
その上成績も首位入学者で、女子からの人気も高く下級生から告白されるイベントもある。しかし料理や演技は苦手で、調理実習でナスを薄い輪切りにしてしまったり、演劇の練習では信じられないくらいの棒読みを披露している。
好物は金平糖で、落ち込んだり疲れたりしたときのとっておきなのだという。
しかしこれは演技である。その正体はギリシャを拠点に勢力を伸ばしているマフィア組織「ファランクス」の暗殺者で、一年前から学院に潜伏中。人を殺すことになんのためらいも見せず非情な人物。
武器は銃やナイフの他、トラップを得意とする。
正体が明らかになったあとも表向きは普通にお嬢様として演じ続ける。
なお、ファランクスは物語当初から始まる陰謀の黒幕として終始暗躍しているものの、設子の潜伏任務は当初これとは直接関係がなく、あくまで「有事の際に動ける駒」としてテレジア学院に送り込まれていただけであるため、ルートによっては指令が出されず最後まで「普通のお嬢様」のまま出番を終える。
正体が明らかになるのは設子ルート、雪乃ルート、有里ルートの3つで、このうち修史と直接対峙するのは前者2つ。
設子ルートでは組織から修史の暗殺を命じられるも、修史の実力と生い立ちに興味を持ったことと、内心で本人にも理解できない感情が渦巻いていたことで、正体発覚後は修史に敢えて正面から宣戦布告を行い、正々堂々と勝負を挑む。
原典版では本来の護衛対象である雪乃、蓮、鞠奈ルートに比べるとシナリオが短かったが、2020年発売のリメイク版『恋する乙女と守護の楯 Re:boot The "SHIELD-9"』では有里ルートと共に後日談的なシナリオが追加され、一部演出の変更や設定の補完と強化が行われている。
例として、好物の金平糖については原典版ではお嬢様を演じる上でのキャラ作り程度の扱いで終わっていたが、リメイク版の追加シナリオではファランクスで訓練を受けていた幼少の頃から縁のある菓子であり、設子にとって本当の意味で大切な思い出の味であったことが明かされた。
実は物心ついた頃から孤児でストリートチルドレンとして育ち、その最中ファランクスに素質を見込まれ拾われたことで暗殺者に育てられたという壮絶な過去を持つ。
奇しくもその経緯は、同じく孤児だった所を警備会社であるアイギスに拾われたことで一流のガードとして育てられた修史の境遇と酷似しており、設子ルートではそれを知ったことで修史は設子に対して強いシンパシーを抱くことになる。
暗殺という行為にためらいや罪悪感がないことについては、その境遇から組織の中で自分が生き抜くために必要であったことや、数多くの死線を潜り抜けてきた実績と誇りから得た達観めいた結論であり、自らの境遇を修史に明かした際に「私達のこの世界に善悪など存在しない」と語り、修史もそれは渋々ながら認めている。
また、女性が苦手であるはずの修史が設子にだけは最初から心を許せたのは、本能的に設子に対して同属意識を感じていたからということが設子ルートで語られ、リメイク版の追加シナリオでは設子の方もその点は同じであったことが明かされた。
各ルートの顛末は、雪乃ルートではラスボスを務めるものの最終的に敗れてアイギスに捕縛される。有里ルートでは有里によって正体が暴かれるものの直接対決することはなく、撤退する形で学院を去る。
そして設子ルートでは終盤に突如ファランクスに裏切られて命を狙われることとなり、組織に捨てられたことで一時は全てに絶望するものの、修史に護られることで心身共に救われる。決着後は修史の誘いを受けてアイギスに入ることになり、修史の公私にわたるパートナーとなる。2人のコンビは後に「アイギスの双楯」と呼ばれ、その筋では世界的に有名な存在となった。
上述の通り冷徹かつ技量にも優れた凄腕の暗殺者であるが、子供の頃からファランクスの中だけで生きてきたことから組織への忠誠心と依存心が極めて強く、それが裏切られると文字通り「何もできなくなる」ほどのショックを受けるなど精神的に脆い一面がある。これは修史と結ばれて以降の言動からも窺える。
また、その完璧なお嬢様演技は当然組織による訓練の賜物であるが、料理や演劇での失態については訓練で習っていなかったことによる素の結果であり、このときは当人も本気で困惑していたらしい。これも含めて基本的に想定外の事態には弱いらしく、素の性格でもどこか抜けている感がある(リメイク版の追加シナリオでも顕著)。
18禁ゲーム版における設子ルートと有里ルートのエンディング曲である『wind of change』は設子の修史に対する想いと戸惑いを歌った曲となっており、後にコンシューマー版で有里ルートのエンディングには新曲『rainbow place』が設けられたことで、こちらは名実ともに設子のテーマ曲となった。