概要
CV:北原冬子
第38話『思い出は刻の彼方に…』に登場。
主人公・新橋テツユキ、ヒロイン・神田ミナヨが通う花園小学校にテツユキのクラスに転校してきた少女。紺色のロングヘア―が特徴だが、サブタイトルの挿絵では横顔で髪の色が水色になっており、あのアニメのヒロインを連想させる。
テツユキが今より幼い頃の夏に出会ったことがあるらしいのだが……?
テツユキとの邂逅
ある日、テツユキが遅刻しそうになった時に慌てて着替えている最中に、JHRのバッジが外れて机の下を探していると、「赤色の花の種」を見つける。そして、テツユキは、その過去を思い出していく……
テツユキが今より幼い頃の夏、虫取りに出かけて森の中で迷子になり泣いていた折に、ある少女と出会う。
「どうしたの? ボク」
テツユキ「”ボク”じゃないやい! ”テツユキ”だい!」
「そう、テツユキくん、ていうの。ここに外からのお客様が来たのは、本当に久しぶりだわ。でも……これを……」
そう言うと、少女はテツユキに赤い石のようなものを託す。
テツユキ「わあー、綺麗な石」
「ふふ。これはね、種よ」
テツユキ「種? じゃあ、お花が咲いたりするの?」
「ええ……昔はね。……でも、この種は、もうここでは育たない。」
テツユキ「ふーん。じゃあさ、僕ん家でだったら咲くかもしれないね。お花」
その言葉を聞いたとき、少女の瞳が赤くなり、咲いていた花の土地がフラッシュバックする。
テツユキ「わあー、綺麗だなー」
テツユキは花の種を太陽に照らして輝く種を見つめていた。
再会、そして永遠の別れ
過去の感傷に浸っていたテツユキは遅刻する破目になり、学校で罰として廊下に立たされていた。
ミナヨと校舎から出た際、テツユキは「用事がある」と言い、その場でミナヨと別れる。
ミナヨは不満気味だった。
テツユキは、校舎裏の花壇に、例の「赤色の花の種」を植えた。
そして翌日、もしくは数日経った頃、12月24日の水曜日(※後述の朝礼の場面の黒板より)。テツユキは花壇を見に行くと、花が咲いていた。
それに喜ぶテツユキ。
そして朝礼が始まる。
転校生の少女がやってきた。
彼女の名は「神無弥生」。
テツユキが過去に出会った少女にそっくりだった。
それに驚いて「着席」の合図が出たのにもかかわらず、立ちっぱなしだったテツユキは、遅刻で廊下に立たされていることから、先生から「そんなに立っているのが好きか?」と言われテツユキは笑って誤魔化し、クラスの笑い者に。
その夜、テツユキ及びヒカリアン御用達の「ヒーヒーカレー」にて、隣席ののぞみとミナヨの父に今日の出来事と、自分の経験した過去を話す。
テツユキ「ほんとにその時の女の子にそっくりなんだ! もうびっくりしちゃったよ!」
ミナヨの父「ハハハハ! そんなに素敵なお嬢さんなら、おじさんも是非見てみたいな。今度連れてきなさい」
ガシャン!
ミナヨはヤキモチを焼いていたのか、不機嫌になり皿を割ってしまう。
当然その場は凍り付き、ミナヨの父・テツユキ・のぞみは絶句する。
それを前後して、警報が鳴る。
またしても、ブラッチャー一味が襲来したのだ。
ブラッチャー一味は、ブラッチャーロボ1号改「レッドデルタ」で町を破壊していた。
それに対抗すべく、のぞみ、ひかり隊長らヒカリアン一行は、レッドデルタに立ち向かう。
テツユキも、テツユキロボを駆り出動する。
だが、その背後から心配そうに見ていた少女がいた。
――そう、転校生の弥生だった。
レッドデルタに太刀打ちできずに苦戦するヒカリアン一行。
テツユキもテツユキロボで対抗するも、レッドデルタの踏み付けを防ぐのが精一杯で危機に陥る。
だが、その時、桃色の花びらが、テツユキロボやその周辺に散りばめられる。
その矢先には、弥生がビルの上に立っていた。
それを前後して、レッドデルタも機能停止し、テツユキロボが逆転勝利を収める。
最後は、のぞみのスターダストストリームで止めを刺し、レッドデルタは爆破した。
弥生は、テツユキ・ヒカリアンの勝利を見届けた後、その姿を消す。
後日、テツユキは大雨の中、校舎裏の花壇を見に行くと、テツユキが植えた花が枯れていた。
テツユキは、落ち込みながらホームルームの時間を過ごす。
弥生は両親の都合で再転校したことを、先生が説明していた。
テツユキは、頬杖をついて、切ない気持ちになっていた。
「テツユキくん……」
余談
- 作中でも屈指の「切ない回」であり、「学園パート」でテツユキが最も悲しんだ回でもある。
- 劇中での描写から、弥生の正体は「花の精霊ではないか?」とも見て取れる(ヒカリアンにしろ、ブラッチャーにしろ、彼らは宇宙人なので、「精霊」がいてもおかしくはないのだが)。
- 名前の由来は、植物の「カンナ」と、北海道三笠市弥生町にかつて存在した幌内線の駅・弥生駅だと思われる。なお、弥生駅は『超特急ヒカリアン』放送当時から約10年前の1987年7月13日に幌内線の廃線に伴い廃駅となっている。
- テツユキにあげた花の種は「もうここ(テツユキと弥生が出会った森の中)では育たない」と言っているが、上記の「弥生駅の廃駅=その駅はもう使われない」という事柄がモデルであると仮説を立てると、テツユキと再会した時点で土地開発か何かによって花畑がなくなっている可能性がある。
- さらに、「弥生駅」は廃線より半年前の1月28日に不審火で駅舎が全焼している。過去の回想で弥生の瞳が赤くなるシーンがあるのは、「赤=火」と関連付ければ、「花畑が不審火で全焼したのでは?」と推測することもできる。
- 「ここ(森の中)に外からのお客様が来たのは、本当に久しぶりだわ」というセリフも、花畑が全焼、もしくは土地開発によってなくなり、テツユキがその森の中で迷子になるまで人が来なくなった可能性も高い。また、花畑がなくなる寸前に「最後の1つの種=神無弥生」として生き残り、それをテツユキに託していつの日か咲かせてくれることを願っていたことも見て取れる。
- テツユキにあげた花の種は「もうここ(テツユキと弥生が出会った森の中)では育たない」と言っているが、上記の「弥生駅の廃駅=その駅はもう使われない」という事柄がモデルであると仮説を立てると、テツユキと再会した時点で土地開発か何かによって花畑がなくなっている可能性がある。
- 上記のテツユキのクラスの黒板に12月24日水曜日とあるが、これはリアルタイムの放送日である(しかも二本立てであり、もう一本のサブタイトルは『ブラッチャーはサンタクロース』)。
- 上記のミナヨの父の「今度(その子を)連れてきなさい」というセリフは、「ミナヨに友達ができるな」、「ミナヨがそのお嬢さん(=弥生)と仲良くなれればいいな」と読み取れる意趣返しの発言なのだろうが、余計にミナヨを不機嫌にしてしまった。
- ミナヨがヤキモチを焼くシーンがあるが、ミナヨがテツユキと同じクラスであるかは不明な点も多く、ミナヨが転校初日の弥生本人と出会っていたのかは不明(たとえ本人に会っていなくても、テツユキが他の女の子やお姉さんと仲良くするのが気に入らないのは後のエピソードでも明確に描写されている)。
- テツユキは続編の『電光超特急ヒカリアン』にて、空白の年月に渡米して「厳しい現実」を知って以降、「不良になる→後に改心するが、同時にお金に汚くなった」のだが、実は「厳しい現実」自体はこの頃(弥生との再会と突然の永遠の別れ)に経験している。テツユキが歪んだのは、渡米後の出来事もそうだが、「弥生との別れ」も少なからずテツユキの人格形成に影響を与えているとも言える。