神無木登和
かんなぎとわ
「私はここにいてやらなければならないことがあるんです」
CV:島本須美/土井美加(OVA版)
「人魚の森」に登場するゲストキャラクターで本作のキーパーソン。
名家・神無木家の令嬢。神無木佐和は双子の妹。ミステリアスな雰囲気を漂わせた美少女。神無木家は人魚の存在を知る一族であり、当主は代々その秘密を引き継いできた。
本来の神無木の次の当主は登和だったが、不治の病に冒されたため、妹の佐和が人魚の秘密を引き継ぐことになった。しかし、登和を助けるために(真相は後述にて解説)佐和が持ち出した秘伝の人魚の生き血を飲んだために、登和は生き永らえる。しかし、人魚の生き血の副作用で髪は白髪になり、右腕だけが異形(なりそこない)になった。それ以降、世間では病死したことにされ、実父が死去するまで神無木屋敷の座敷牢に幽閉されていた。
実父が死んだ後、佐和に座敷牢から解放されたが、死人扱いとなっている以上、外に出ることはできず、神無木屋敷で佐和と二人で暮らしていた。
本人も異形となった右腕の苦痛から、屋敷から遠く離れて一人で生きていける状態でもない。
主治医の椎名は婚約者であり、椎名は老人となった今も登和を愛して寄り添い、鎮痛剤や彼女のために死体の腕を切り落としてすげ替えることで、彼女の苦しみを少しでも和らげようと支え続けていた。
人魚の生き血を飲んでから60年が過ぎた現在、姿は少女のままだが、肉体は衰弱しており、寿命は残り少ない。佐和曰く「中身は私と同じ老い先短い老婆」とのこと。
ある目的のために、神無木家が代々秘密にしてきた人魚がいる人魚塚の場所を突き止めて、人魚の肉を手に入れようとしている。
人魚の血を飲む前は穏やかな性格だったようだが、現在は淡々としていて、目的のためなら手段を選ばない冷酷な性格となっている。
それでも、自分が落とした人魚の生き血を舐め、なりそこないとなった飼い犬のしろにのみ、情を垣間見せる。
※以下物語のネタバレあり。
登和が冷酷に徹して人魚の肉を求めたのは、妹の佐和に食べさせるためだった。
若き日の佐和は不老不死に憧れていて、自分が人魚塚を引き継いだら人魚の肉を食べると登和に話していた。姉の代わりに人魚塚の秘密を受け継いだときに、人魚の肉を食べた者の末路(人魚塚にはなりそこないとなった者が共に封印されていた)を知った佐和は、言葉巧みに登和に人魚の血を飲ませてその効果を試した(登和は双子の姉であり同じ人間だったため、どうなるか実験台にした)。
登和は佐和が人魚の肉を食べた人間の末路を知っていたこと、自分を人魚の血の効果を試す実験台に使ったことを知り、佐和に人魚の肉を食べさせ、年老いて不老不死を与えるか、なりそこないに変えるべく、復讐しようと企む。
湧太と真魚を巻き込んでようやく人魚塚を突き止めて人魚の肉を手にした登和は、佐和に長年の恨みを告げて食べるよう強要する。しかし、佐和はそのときショックを受けたために心臓発作を起こして急死した。佐和が自分と違って人間として死んでしまったこと、自分の復讐が成し遂げられなかったことに絶望した登和は椎名に自分を含む人魚塚にかかわるものすべてを燃やしてほしいと頼んで自ら焼死されることを願った。
OVA版では椎名と共に人魚塚に火を放った後、椎名に別れを告げて、燃える人魚塚に自ら飛び込み焼け死んだ。
身勝手で冷淡に振る舞いながらも、炎に飛び込んだ際は真魚から案じられていた。
ちなみに恋人で主治医の椎名の末路も原作とOVA版では違っていて、原作では登和の願いで彼女と人魚塚を燃やす役目を受けて生き残り、死んだ登和のことを悲しんでいたが、OVA版では登和の後を追って共に焼け死んだ。