この記事は漫画『チェンソーマン』第二部第173話並びに174話以降に関するネタバレが含まれます。
アニメ並びに原作を未読の方は注意してください。
※以下ネタバレ注意
「なぐれ・・・?」
概要
「—現在老いの悪魔と公安は友好的関係にあります
根源的恐怖を持つ悪魔ですがコミュニケーションも円滑に進みとても有益な提案を受けました—
—老いの悪魔は生に執着がなく契約の内容次第ではチェンソーマンに食べられ消失してもいいそうです—」
「老いの悪魔がこちらに提示している契約の条件は?」
「老いの悪魔は無抵抗で食べられることを条件に—
—日本国籍を持つ0〜9歳児を1万人鏡の前で殺してほしいそうです」
「老いの悪魔」とはチェンソーマン第二部173話に登場し174話で正体の明らかになった根源的恐怖の悪魔の一体。地獄で一度も死を経験してない程の絶大な力を持ち、敵意を向けるだけで相手を殺すことのできる「超越者」として悪魔にも恐れられる根源的恐怖の名をもつ悪魔として、闇の悪魔、落下の悪魔に続いて三番目に存在が明らかになった。
老人の顔を半分に割りその中にのっぺらぼうの顔があり、身体は骨だらけでまるで老いて肉が薄くなったかのよう。また鏡の中、または地獄に住んでいるようで椅子に座っており、その椅子は2人の人間が4つんばいとなり椅子の脚になり、背もたれには無数の指が装飾としてつけられている。
173話では公安の3人の人間が指を鋏で切り、その指の断面で鏡に「ナグレ」と書きながら「頸律、頸、推骨」と唱える(おそらく捧げるもの)と、鏡の中の謎の悪魔が鏡の中から外へ向けて黒いチェンソーマンを殴打した。
174話では名前とその正体が判明。
生きることに執着のない珍しい悪魔。
公安に対し友好的であり、ある取引を持ちかけた。
その取引とは日本国籍を持つ10歳未満の子供1万人を鏡の前で殺したら、チェンソーマンに無抵抗で食われ、「老い」の概念をこの世から消し去ってもよいというもの。
173話までの耳の悪魔が捕食されたことによる耳の消失と、吐き出されたことによる復活、それに関する様々な公安の工作などをみるに、公安は「老い」をこの世から消すために一連の行動をしていたものと思われる。
性格
「老い」の悪魔なだけあって、良く言えば老成した、悪く言えば活力のない性格。
悪魔の例に漏れず人間に対して悪辣ではあるものの、自分から人間を襲撃したりすることはなく、あくまでも契約を通した上なら公安からの命令にも素直に従い、黒いチェンソーマンから手痛い反撃を受けても特に逆上したりはしなかった。
「生きることに執着がない」を通り越して「希死念慮」すら抱いている節もあり、1万の子供達の命と引き換えに自分が消滅することを「ロマンチック」とさえ称している。
能力
鏡を通して、地獄(だと思われる場所)から地上の様子を観察することができる。
また空中に鏡のようなポータルを出現させて、自身の身体の一部を召喚したり、遠隔通信のようなものができるようだ。
また老いの悪魔の名に恥じず、時間停止や物体の風化のような時間を操る類の能力も使用できると思われる。
そして最大の能力として、鏡を通して対象を自分の作った世界に閉じ込めることができる。老いの悪魔の作った世界では「死」という概念がないらしく、腹は空かず喉も乾かない。そして自殺もできず肉体成長も止まるので老衰もしない(契約したという中年男性は82年もの間閉じ込められているにも関わらず、肉体に大きな変化がない)。一度閉じ込められてしまえば、永遠に死ねないままの生き地獄を味わうことになり、何人もの閉じ込められた人間が発狂して正気を失っている。
また、他の悪魔の能力も封じられてしまうらしく、老いの悪魔の実力が窺える。
しかし、一応出る方法自体はあるらしく、過去に脱出した人物がいたというが、その方法が老いの悪魔の世界で1000年間生きると樹木と一体化するので、樹木が腐り精神と肉体が自然と一体化した時に元の世界に戻れるというあんまりな方法。仮に戻れたとしても、ただではすまないことになっていることは想像に難くないだろう。
余談
・173話では鏡の中に住んでいること、鏡でコミュニケーションをとることから、鏡の悪魔なのではないかという説が流れた。
・年老いた政治家達が日本の未来のためと言いながら日本の未来を築く子供達1万人を生贄にしようとする様は「若者の未来を潰す老人」という現代日本への風刺とも取れる。
・人間にとって老いは、容姿の衰え、体力や知力の低下、病気のリスク増加など、様々な不安や恐怖と隣り合わせで、最終的に死へと繋がるものであり、死に対する恐怖も老いの恐怖と密接に関連しているとされている。これまで登場した根源的恐怖の悪魔達の中でも、特に「死」という事象に関連の深い恐怖の対象であるため、死の悪魔の眷属、或いはなんらかの交流関係のある悪魔の可能性がある。
・鏡での対話に関しては自身の姿を映し出すものであり、老化による変化を否応なしに突きつける存在でもあり、鏡を見ることを通して自身の老いを実感し、恐怖を抱く人も少なくないことへの表れともされる。また初登場の際に座っていた椅子も、車椅子や安楽椅子など人間の老いを象徴する家具である。