本日の調理を担当する私、落下の悪魔と申します
地獄の皆様よりリクエストを受けて参上しました
尚…料理を残された方は死を味わう事になるのでご注意ください
概要
『チェンソーマン』第二部にて登場した新たな根源的恐怖の悪魔。
キガ曰く、ノストラダムスの大予言においてこれから世界を最悪の恐怖に導く一人目の悪魔。
地獄から来た料理人であり、人間の魂を調理し地獄に送り込むことを目的に行動していると思われていたが…。
- 第122話での登場時には裸体で人間の女性に近いフォルムで登場。人間で言う肩の位置に一対の人間のものに似た(ただし肘の関節が2つある)腕、背中からは更に複数の腕と、鳥の前肢の骨格に似た肢が生えている。飛べない翼は落ちるしかないということだろうか。頭部に相当する部位は無く、腹部からは触手のような質感の、へその緒のようなものが生えているのが確認できる。足首から先は人間の手に似た形状。目的失敗後に去った跡にはこの形態のミニチュアのようなものが残された。
- 第123話で名前が判明、コックコートに前掛けエプロンと長手袋、コック帽というコック風の姿に変化した。死体からもぎ取った首を人間で言う頭の位置に掲げることで発声を行う。口調は謙譲語で、同格であると思われる闇の悪魔の印象とは対照的に饒舌。
- 情報提供の見返りに助命し、「意味のない殺生はしたくない」と発言するなど、これまで登場した悪魔とは一線を画す態度も覗かせている。食材の鮮度保持目的だろうか。(あるいは料理人としての矜持故に、食べる目的以外の殺しをやりたくないのか。)
- 着衣形態では掲げた生首の髪をポニーテールに整えている。生首は瞼が閉ざされ一見安らかな仏像のアルカイックスマイルめいた死に顔を浮かべているものの、目鼻、口、首の断面からは血が流れ落ち続けている。感情の変化によってはこの流血が増減したり飛び散ったりとえらいことに。
- 第131話では貴重な背面からのカットも描写。素手2対、手袋の長い腕1対、鳥の羽状の腕1対、脚1対が確認できる。
裸体を恥じる発言をしたり、スーパーで台車やレジ袋を使って食材を探したりしており、マキマやキガらと同様、小物悪魔とは異なる高い知性や精神性が感じられる言動が多い。
『地獄の料理人』という肩書も擬態などではなく『愛を込めて作って』いるとのこと。料理をぞんざいに扱われれば平時のすました物腰も一転、激情を顕にする。かわいい。
根源的恐怖の悪魔という大物でありながら現世に出現しているが、地獄の悪魔同様に現世と地獄を自由に行き来できる能力があるのか、生贄によって呼び出されたのかは現在のところ不明。
落下とは人間が生まれた時から備えている根源的恐怖であることから、強力な悪魔だということだけは間違いない。
能力
「落ちる」という概念全般を司る悪魔であるらしく、物理的・精神的問わずに「相手を落とす」ことで攻撃を仕掛けてくる。
落下の悪魔の名に恥じず重力を操る攻撃もできるが、本人は『心に傷を抱えた人間のトラウマをフラッシュバックさせ、気持ちが落ち込むほどに身体が上空へと落ちる』という攻撃を好んで使用する。人間が最も落下の恐怖を感じる瞬間である『投身』とかけているのだろうか?(余談だが、投身を自決手段として選ぶのは、男性よりも女性の方が圧倒的に多いと言われている。)
空に落ちる攻撃を受けた人間は虚空に浮かぶ白い扉へ誘導され、落下の悪魔の固有空間(地獄?)の内部へと引きずり込まれる。落とされた人間はそこで『お客様』である悪魔達の餌食にされてしまう。落下の悪魔がその場にいない街中でも多数の人間が能力を受け『落下』していることから、射程範囲も広いようだ。
単純な膂力・再生能力にも優れており、人間と大差ない体躯ながら近接戦闘も強く、インファイターであるチェンソーマンの執拗な攻撃も軽くあしらってしまう。
何より重力を操る能力は強力そのもので、その気になれば13階建てのビルを基礎ごと引っこ抜いて投げ飛ばすこともできる。
退場後の第132話では落下の悪魔が出現しただけで、広範囲に重力異常をもたらしたとされている。
作中の動向
東区玉野集合団地にて突如発生した大量の飛び降り自殺者、その死体が寄り集まり形作られた小山の中から音もなく出現。
通りすがったアサはヨルと入れ替わり臨戦態勢に入るも、圧倒的な力の差を感じとり逃亡。
落下の悪魔はそんなヨルを歯牙にもかけず、能力によって多数の人間を地獄に送り始める。
イモムシのような巨大な悪魔に調理した人間を饗し、メインディッシュとしてアサを標的に定める。
道すがら食材となる目や耳を通行人から収集しつつ、近所の食料品店『スーパーAJI』に来店しリンゴを確保。その後公安の狙撃部隊とデンジと交戦。
激しい攻防の中でデンジのトラウマを呼び起こし落下させようとするが、デンジの精神系の攻撃を受けた時は、自分の脳みそを斬り刻んで脳を麻痺させるという奇策によって攻撃を無効化され、身体を真っ二つにされた挙げ句フレンチドック扱いされて喰われてしまう。しかし特にダメージを受けた様子もなく、即座にデンジの腹を破って復活。抵抗するデンジを軽くあしらい、アサの元に辿り着いた。
アサを唆し彼女自身の意思で落下させるが、空を飛ぶように駆け寄ったデンジがギリギリのところでアサの腕を掴み、救出を試みる。デンジは思いつく限りの言葉でアサを励ましトラウマを考えさせないようにするが、「自分はセッ〇〇だけを楽しみに生きている」というデリカシーのない発言でアサの顰蹙を買ってしまい──
「頭からチェンソー出てくる奴とセッ〇〇したい女なんているワケないでしょ!?」
というアサの反論を受けて傷つき、アサ諸共に空へ落下してしまう。
落下の悪魔の固有空間に捕らわれてしまったデンジは、気絶したアサを抱えて脱出しようとするが、扉の前に落下の悪魔が立ちはだり、アサを引き渡すように迫る。
──が、次の瞬間落下の悪魔は背後からチェンソーによって斬り裂かれる。
???「料理を残した客を落下の悪魔は許さない 落下の悪魔に殺されたくないお客は死物狂いで三鷹アサを食べようとするはずです 朝日が登るまで逃げてください チェンソーマン」
そこにいたのは、もう一人のチェンソーマンだった…。
チェンソーマンの助けを得て逃走を図った『料理』こと三鷹アサはついに正義の悪魔の口に捉えられてしまう。
落下の悪魔のアシストで二人を飲み込む正義の悪魔だったが、盛大にこれをリバース。
これを目の当たりにした落下の悪魔は激昂。一撃で正義の悪魔を微塵に粉砕。
「わっ・・・わたっ私が愛を込めて作った料理をっ・・・」
「吐くっ!なんてっ!」
「死んでくださアぁあ〜い!!」
ある人物の介入でアサを食べさせることに失敗してしまい平身低頭、自身を招いた存在に詫びを入れながら帰還するのだった。
関連イラスト
余談
- 「地獄の皆様よりリクエストを受けて参上しました」との発言から、4騎士の姉妹関係のように地獄にも何らかの社会性らしきものが存在していることが窺える。
- この悪魔が初登場した時期は3月・・・つまり受験が終わって合格発表が出る時期である。縁起が悪いどころの話じゃない。
- アサの飼い猫の名前がクラムボンであったため、戦争の悪魔のヨタカの姿等と併せコック(料理人)の姿は『注文の多い料理店』からの宮沢賢治オマージュ要素の一つではないかと目されている。また、もう一つの説として、作者がハマったと言うホラー映画「ザ・メニュー」をオマージュしているのではとも考えられている。
- 人間が生まれた時から備えている恐怖は、「高い所から落ちる恐怖」ともう1つ「大きな音への恐怖」と言われており、今後音に関係する悪魔が登場するのではと推測する声も。
- 胸部の形状がロケット型であるのはロケット≒重力に抗する存在≠落下を視覚的に現したものではないかとする推測も。
- 多腕は超越的な権能を持つことを現す、仏像などで用いられる表現技法である。『チェンソーマン』でも腕が多い悪魔は比較的強い力を持つ傾向にある。
- 異形でありながらもフェティッシュかつ美しさを感じられる姿は意外と好評。
- 手足含め五対の肢(肢4対+触肢1対)があることからモチーフの1つは蜘蛛ではないかとする予想も。
- 上述の通り複数の腕を持っているが第124話では、鳥の骨状の腕が描かれていないコマがある。作画ミスなのか形を任意に変えられるのかは不明。
- 「あれま」とちょっと懐かしいドジっ子めいた発言も。
- 第125話のサブタイトル「林檎万引き犯」は、リンゴの落下から万有引力を発見したニュートンの逸話と万引きを掛けたのではないかという考察が広がった。そのため、公開当日のTwitterのトレンドにリンゴ万引き犯があがった。
- 単行本第15巻では表紙も担当。魔人や人に近い姿の悪魔を除けば悪魔が表紙を飾るのは初となる。
- 特に関連はないが死印に登場する怪異“観音兵”に身体の特徴が似ており「切断された人間の頭を胴体に乗せて複数ある腕の一対で頭を支えている」「性別が女性」という点が共通している。