概要
てんとう虫コミックス11巻、藤子・F・不二雄大全集3巻に収録。
タイムマシンの一種であり、現代のお金(硬貨や紙幣)を使用して過去や未来の商品を購入する事ができる自動販売機型の道具。
年代(西暦)をダイヤルで指定し、希望する商品を音声入力で伝えた後、お金を入れてレバーを引くとシャッターが開いて商品が出てくる。
お釣りは出ず、投入額が販売価格の倍以上だった場合は、投入した金額で買える分だけ商品が出てくるため、指定した時代の物価が極めて安価な場合、商品が大量に出てくる。
また、過去の商品を購入しても、現代では使用不可能な場合もある(カメラを購入しても、現代ではそれに合うフィルムが絶版で売られていない、など)。
当然だが指定した年代に目当ての商品がそもそも存在しなかった場合は、購入できないばかりか返金もされない(水田版では「料金返却ボタンは無い」とドラえもんは明言している)。
未来の商品も購入可能だが、実際に販売されている価格に忠実な価格を要求されるため、所持金には注意しなければならない。
代金の支払いは先払いでも後払いのどちらでも可能だが、後払いを選んだのに支払わなかった場合、商品取り出し口よりロボットアームが出てきて支払いの催促(及びレシートの提示)をし、踏み倒そうとする者に対し服などを掴んで攻撃する。
ストーリー
カメラが欲しいのび太は、おつかいの度にお釣りを誤魔化して貯金していたが、まだ目標金額には程遠かった。そこへパパが現れ、150円で煙草のチェリーを1つ買ってきてほしいと頼まれるが、お釣りが出ないので1万円出すなら喜んで行くと返すも、当然のび太は怒られてしまい、無意味と分かってても行かなければならなかった。
しかし定休日だった事から家に引き返すも、パパは横に自動販売機があるからそこで購入しなさいと言われ無駄な労力を使いたくないのび太はドラえもんに行かせようとするが、ドラえもんはおらず、自室に自動販売機らしき道具が置かれていた。
早速150円を入れてレバーを引くと、現行のものとはデザインが異なっているチェリーの箱が大量に出てきので驚きながらもパパに渡すと、パッケージデザインの違いから「こんなチェリーがあるか」と言われたがデザインが新しくなったということで一応納得してもらえた。だがすぐに、100円でこんなに大量に買えたことを尋ねられたため、のび太は「僕に聞かれても困る」と言い部屋に戻りこの機械はタバコを買うための道具でドラえもんが出した物だろうと予想。
するとそこへ今度はママがやってきて、万年筆用のインクが切れてしまい大急ぎで買って来るよう頼まれる。そこで今度は250円を投入して、出鱈目にダイヤルを弄ってレバーを引くと、「30銭」という値段と、山のような大量のインク瓶に対して指摘するも、のび太は理由は何故なのかは分からなかった。
更に続いて来客の男性が先程のチェリーの箱を見て、パパに対し「昭和の初めごろのタバコですよ」「確か1個10銭でした」と語ったことで、のび太はあの自動販売機は一種のタイムマシンであり、昔の物価が安かった時代から商品を購入できるのだと理解。早速大昔にダイヤルを回して所持金を投入してレバーを引くが、カメラは出てこなかった。
するとそこへドラえもんが引き出しから帰ってきたため、カメラが出てこなかったことを説明すると、原因は、のび太が741年に設定していた為であった。そして「奈良時代にカメラがあると思う?」と指摘され、あまり大昔過ぎても駄目である事を理解したのび太は、残りの所持金25円で、且つカメラがある時代で購入する事となる。
しかし、1925年にダイヤルを調整して再度購入したカメラは、フィルムが既に絶版で何処にもない事が判明。尤も、自動販売タイムマシンを使用して買い物をしているとそういう事もあるとドラえもんは諭し、「それで、欲しい物なんでも買っていいけどね」「お金儲けのために使っちゃいけないよ」と言い再びタイムマシンで出かけに行った。
するとこれを聞いたのび太は皆から前金をもらい、その金の半分以下の値段で菓子や鉛筆を販売することを思いついた。そしてキャラメル1箱10銭、万年筆1本40銭、チョコレート1枚30銭、鉛筆1本10円で購入し皆に販売すると、デザインが変わっているけど安いなど大好評で、皆が喜び自分が儲かることにのび太自身も満足し億万長者も夢ではないと胸を躍らせていた。
そこで儲けたお金で未来のお菓子を購入してお祝いしようと思ったのび太は、自動販売タイムマシンで100年後のお菓子を購入。出てきたお菓子は宝石箱のようなケースの中にキラキラ光る飴玉の様なお菓子が入っており、食べると1粒毎にジーンと心にしみる味わいだった。
すると自動販売タイムマシンからロボットアームが出て来て、そのお菓子の領収書が出てきたが、その価格はなんと23万円だった。完全に予算オーバーしてしまい、のび太は「そんなに払えるもんか!助けてえ!」と叫びながらロボットアームに服を掴まれながら催促される羽目になったのだった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1979年10月18日に、水田版は2013年1月18日にそれぞれ放送している。
1979年版
- パパがチェリー代としてのび太に渡したのは150円だった
- のび太がカメラを買おうとして後に残っていた金額は30円だった。
- のび太が販売した鉛筆は1本1円になっている。またジャイアンは大量の菓子に対し「こりゃ食べきれねえや」と言っていた。
- ラストの場面で「23万円出して」と言うのび太に対し、ドラえもんは「知らない」と言っていた。
- 本編終了後のショートアニメは、この販売機から大量のどら焼きが出ることを期待して取り出し口の前でドラえもんが大口を開けて待っていたが、出て来たのは1個の大型だったため口が塞がってしまい後ろに倒れるというものだった。
2013年版
- サブタイトルが「時代を越えてお買い物」に変更
- 冒頭のび太はカメラ店のショーウィンドウをのぞき込んでいて、7千円の中古のカメラを買おうとしていた。そしてこのためにもう6775円貯める必要があった。
- パパがのび太に買ってくるよう頼んだのはコーラで、渡したのは120円だった。また家を出た際ののび太の台詞は「あんなに怒らなくてもいいのに」になっていた。
- 瓶のコーラを見たパパは、復刻されたのかと思っていた。
- ママがのび太に買ってくるよう頼んだのは風呂掃除ようの洗剤で、のび太が販売機で購入したのは箱入りの洗濯石鹸だった。
- のび太がカメラを買おうとした際に販売機に設定した年代は752年だった。またのび太は奈良時代のことを理解しておらず、「奈良漬ができた時代?」とトンチンカンな回答をしたため、ドラえもんは奈良の大仏ができた時代と説明した。そしてこの後ドラえもんは1銭が今の100円に相当することも説明していて、のび太は残金の25円が25万円になると聞かされ仰天していた。
- ドラえもんはどら焼きを買いに行ったため、普通に部屋のドアから出て行っている。
- のび太が商売を始めると、ジャイアンは携帯ゲームを注文していて、1960年製の物をのび太から渡されると初めは怒っていたが遊んでみると案外にそのシンプルさにドはまりした。そして皆も色々なレトロなおもちゃで遊んでいる。