概要
演:和久井映見
「佐々木倫子」の漫画『動物のお医者さん』の登場キャラクター。
この漫画のヒロイン的ポジションに位置するキャラクターだと思われるが、ハムテルや二階堂との恋愛要素は全話通して皆無であり、二人に代わって主人公格として扱われているエピソードも多く、いわばもう一人の主人公のような立ち位置。
作者はメインキャラの誰にも恋人が居ないのは不自然だと指摘されるまで気づかなかったらしい。
獣医学部公衆衛生学講座に所属している院生。
登場時点ではハムテルが3年生の時に博士課程(ドクターコース)2年で、教授たちの会話で年齢は「25~26」と推察されている。
博士課程が過ぎてオーバードクターとなった後、大学の近くに新設された丸大製薬㈱札幌研究所に就職。
会社の行き帰りに大学に立ち寄って細菌の研究を続けている。
商品化に使える新種の大腸菌を発見したことがあるが、特許が難しくて取れずタダ同然で企業に譲っている。
非常にマイペースな性格で、当漫画では漆原教授と1、2を争えるほどの変わり者。
動作や喋りが遅く、彼女の吹き出しのみ波線で描かれている。一応速く喋る事も可能ではあるが、「口は動くけど頭が追い付かない」らしい。
登場時点ではおとなしそうな印象だったが、年下になら何を言っても許されると思っており、歯に衣着せぬ言動が増えていく。
好きな事は血液検査の後に器具を掃除する事。
検査で水っぽいところと餅っぽいところに分かれた血液の餅っぽいところをペッタペッタと掃除するのが好きで、就職では血液関係の仕事と聞いて「血が好きなことでは他の誰にも負けません」とアピールして人事部長に熱意を認めさせた。
動物のことも好きだが、マイペースな性格が災いして動物に嫌われやすい。
緩慢な動作ながら次の行動に予測がつかないからだと言われている。
自宅はアパートの一室に一人暮らしで「フクちゃん」という半ノラと化した猫を飼っている。
高級な長毛種なのに常に薄汚れているため、菱沼が麻酔注射で眠らせて無理やり洗ったことがあるが途中で目が覚めて大暴れしてしまい、以降は余計に距離を取られている。
故郷は札幌からJRで45分のところにある「港と運河と水族館のまち」とのことで、おそらくは小樽と思われる。
実家には菱沼を見ると腹を見せて降参のポーズをとる「源三」という犬がいる。
昔は菱沼を舐め腐っていた犬だったが、自動車免許とりたての菱沼が車庫入れを失敗して犬小屋を破壊してしまい、それを脅しと受け取った源三は過剰なまでに服従する犬になってしまった。
体温計で測れないほど平熱が低い、傷んだものを食べても腹を壊さない、逆に何の変哲もないビタミン剤でアトピーを起こす、不機嫌だと静電気を発生させる、季節の変わり目に親知らずが伸び出すなど、人間離れした体質の持ち主。
冷水に浸かるとどこまでも体温が下がり続ける(普通人間のような恒温動物の体温はあるラインを超えると上昇へ向かう)事から、実は変温動物なのではないかとも言われている。
痛覚も非常に鈍く、常人なら激痛が走るはずの急性盲腸炎にも破裂寸前になるまで気づかなかった。
重さを感じる感覚も鈍いのか、意外と力持ちである。
乳酸菌飲料の会社の面接に通ったことがあるが、仕事内容がウンコから腸内細菌を調べるというもので、菱沼の特異体質なら良いデータがとれるという、いわば人体実験のサンプルのような扱いであったため、憤慨した菱沼は就職を取りやめた。
パリダちゃん(梅毒の病原体の愛称。学名のTreponema pallidumが由来)の実験の際、うっかり指を切っていたが片付けにかかるまで気付かなかった事がある。
幸い感染はしていなかったものの、この時は流石の彼女も青ざめたような顔で先生に報告するが「プライベートで感染してるんじゃないんかね」とセクハラを食らったあげく、同じ講座の男子生徒達に梅毒の検査を依頼されまくり、怒った菱沼は男子生徒達に検査結果が陽性であるとウソをついてまわった。
後日訂正したものの、このことで多くの人に恨まれているのではないかと菱沼は思っている。
言動も中身も風変りだが見た目は美人でスタイルも良いため、恋愛絡みっぽいエピソードがたびたび描かれており、多少強引ながら男子高校生に告白させるエピソードもあった。
そこまで話を持っていきながら、菱沼は男子高校生をふってしまう。
その理由は1972年に開催された札幌オリンピックのテーマソング「虹と雪のバラード」を歌えなかったから。
1972年時点で男子高校生は生まれてすらおらず、菱沼はテーマソングを丸暗記できる年齢であった。
もったいないと思いつつも年の差故に話にならないと菱沼は判断したのである。
具体的な生年月日は不明だが、上記のエピソードに加えて大学2年で成人式を迎え、実家から国鉄で大学に通っていたこと、幼少時に『快傑ハリマオ』のコスプレをしていたなどの逸話から察するに、おそらくは作者である佐々木倫子と同年代に設定されていると思われる。
実写ドラマ版では要潤演じる二階堂が初めて見たときに一目ぼれするような描写があったが、それ以降は特に掘り下げられていない。
扉絵などで主人公達が連載当時一世を風靡した金子功系を着ていたりするが、作中でも彼女は衣装持ちであり、私服コレクションは一部例外を除きお洒落である。
だがハムテルには「また強烈な服を着てますね」と言われている。