概要
なお、幻に終わったオリンピックとして、1940年の東京オリンピックと共に冬季の札幌もあった。
アジアで初めて開催された冬季オリンピック大会。1972年2月3日から同年2月13日までの10日間行われ、35の国と地域から選手1128人が参加した。競技では、スキージャンプ70m級(現ノーマルヒル)で、日本人選手3人が表彰台を独占。のちに日本のジャンプ陣が「日の丸飛行隊」と呼ばれるきっかけとなった。また、フィギュアスケートで尻もちをつきながらも銅メダルを獲得したアメリカのジャネット・リンが、「銀盤の妖精」と呼ばれ人気を呼んだ。
また、オリンピック開催をきっかけに札幌の名が国際的に知られるようになったほか、インフラ整備が進み、地下鉄の開通やメイン会場となった真駒内地区の再開発等、世界的に珍しい豪雪都市札幌の都市化に大いに貢献した。
裏話
- 札幌大会の次の76年大会は、アメリカのデンバーに決まっていて、閉会式でも次回はデンバーと紹介され、アメリカ国歌も演奏された。ところが、デンバー市が財政難を理由に大会を返上。オーストリアのインスブルックに変更になった。このため、開催都市の引継ぎが出来なくなり、通常閉会式で行われるフラッグアンドオーバーセレモニー(大会旗の引継ぎ)がインスブルック大会の開会式で改めて行われた。
- スキー滑降の競技会場になった千歳市の恵庭岳では、競技のために木々が伐採され、「オリンピックのための環境破壊」と一部から批判が上がった。このエピソードは漫画『ブラックジャック』のストーリーのモチーフにもなった。なお、会場は大会終了後、植樹が行われ、コース跡が分からないほどに回復されている。
- 札幌の国際的な知名度が上がったことに着目した三菱自動車(および三菱自動車と提携していたクライスラー)が、北米大陸で「プリマス・サッポーロ(またはミツビシ・サッポーロ)」という名のハードトップクーペを売り出した。
オリンピックよもう一度?
2014年、札幌市は2026年の冬のオリンピック・パラリンピックの開催都市に立候補すると表明した。その後2018年に胆振東部地震が発生し、震災の影響などを踏まえ市は2030年大会の招致に方針転換したことで五輪誘致活動が長期化。
2018年と2022年の会場がアジアで行われていたことから、「冬季五輪のアジア開催を連続でやるのは困難」との見方があったほか、ネット上では「多額の費用がかかる」「東京オリンピックの汚職事件問題が解決されていない」ことへの批判が出ていた。
IOC(国際オリンピック委員会)は2023年12月、2030年・2034年の2大会の開催地を同時決定する方針となり、札幌市の五輪誘致活動は「間に合わない」として事実上の凍結となった。
関連動画
テーマソング『虹と雪のバラード』