葦名の国は、斜陽にあった。
概要
フロム・ソフトウェアのアクションゲームSEKIROの舞台となる国。
戦国時代後期から末期にかけての日本をモデルにした架空の国であり、日の本の一地方として葦名の国がある。
かつて若き日の剣聖葦名一心が国盗りによって興したとされるが、数十年の時を経て国も衰退を始めており、内府と呼ばれる勢力からの侵攻を受け、滅亡の瀬戸際に追い詰められている。
一方で、葦名の国は『水』を通して様々な不思議な現象が古来から伝わる土地であり、その『水』の影響が良くも悪くも葦名の各地で現れている。
地理・気候
基本的には、峻険な山脈に各地が阻まれた厳しい山国である。
見渡せばそこかしこに険しく切り立った山々と深い渓谷が目につく。
一方で水に恵まれた土地でもあり、葦名家が拠点としている葦名城はその潤沢な水を活かした造りとなっている。
葦名城本城を取り囲む堀には水が溜め込まれており、鍾乳洞を利用したと思しき捨て牢や、水手曲輪の古井戸にも水路を作れるほどの水が存在している。
葦名城以外では、金剛山仙峯寺の境内や奥の院に滝が流れ、菩薩谷には葦名の水が流れ込んだ水辺がある。
気候的には雪国に分類される土地であり、作中の時間軸では秋の終わり頃となっている。
各地に紅葉した紅葉が自生しているが、特に仙峯寺のある山にかなり多くの楓の木々が生えている。
生き物
フロムソフトウェアのファンタジー世界には珍しく、基本的には葦名の国には妖怪や魔物の様な存在はいないとされており、怨霊や祟り神と言ったある種の神々を除いて、基本的には犬や猿と言った現実の日本でもごく一般的な生き物が暮らしている。
しかし、一般的とは言うものの、一部の生物を除いて基本的には巨大な姿をしており、人間に対しても非常に攻撃的である。
一方で、ゲームのシステムもあってか、耐久力自体は然程なく、手裏剣や刀の一撃で死亡することが多い。また、義手忍具には対獣に特化した忍具として笛と爆竹が存在しており、笛によって同士討ちを行い、爆竹によって獣が一時的に行動不能になる。
その一方で、一部の生き物の戦闘力は高く、真面目に中ボスに匹敵する強さを持っている。
また、神というべき巨大な体格をした生物も混在しており、それらはぬしと呼ばれている。
ヤモリ
主に葦名城や源の宮、金剛山仙峯寺に生息している。
いわゆるヤモリと言うが実際には、サンショウウオほどの大きさをしており、毒を吐く生物である。
犬
フロムゲーにお馴染みの生物。しかし、厄介な強さを持っているこれまでの犬系エネミーに比べて、本作では手裏剣の一撃で死ぬ為に、経験値と回生の回復用のタンクとなっている。
しかし、常に複数で行動する上に、葦名兵と共に各地に生息しており、正面からぶつかれば厄介なエネミーであることは変わりない。また、葦名兵とは別に孤影衆が使役する忍犬も存在しており、こちらは常に相手の笛の音に応じて多対一を強いてくる。
谷猿
主に落ち谷の近辺と金剛山仙峯寺周辺に生息している猿。
基本的には素手で狼に襲い掛かる獣の一種に過ぎないが、落ち谷から蛇の社に生息しているエネミーに関しては、素手だけでなく、銃器や刀を扱い襲ってくる為、非常に厄介。
特に、白い体毛の猿は二刀を持って、非常に洗練された剣術を使ってくる。
軍鶏
主に葦名城の周辺と平田屋敷に生息している。
軍鶏とは言うものの、人間大の大きさを持っている。
源の宮の生き物
源の宮に生息する生き物は、概ね他のエリアに生息する生き物とは違い、体色が白、もしくは白っぽくなっている。また、魚類だけは他のエリアと体色に違いがない。
概ね、ヤモリや犬が生息している。
水中の生き物
概ねエネミーとしては鯉が生息している。
しかし、ドロップアイテムとして、貴い餌と言う名前でナメクジが、またオブジェクトとしてナメクジと魚の中間をした奇妙な生物が存在している。
人喰い鯉
水辺の中で襲い掛かってくる鯉。
宝鯉とは違い、特にアイテムを落とす事はない。
宝鯉
特別な鱗を落とす鯉。葦名の水 水辺には必ず生息しているが、源の宮の湖には特に多くの宝鯉が生息している。
壺の貴人と呼ばれる謎の人物が集めており、物々交換を行うことができる。
銭やスキルポイント以外で技を習得したり、特殊なアイテムを入手したりすることができる。
ぬし
葦名に生息している生物の中でも、特に大きな体を持っている存在。
ゲーム本編にて「ぬし」と呼ばれているのは、ぬしの白蛇とぬしの色鯉の二体しか存在していない。
地理
山と谷の入り組んだ地形であるだけに、険しい道のりが多く、高低差の激しい地形になっている。
一方で、それらをつなぐように各地には川が流れており、中には大きな池や湖も存在している。
それらの水辺を泳いだり、潜ったりすることで、アイテムを獲得したり移動の危険性を減らしたりできる。
特に竜泉川と呼ばれる川は、作中世界でもかなり特別な川である様で、竜泉詣と言う祭りもしくは儀式が行われており、それにより年が分かる。
荒れ寺
荒れ寺の仏師が過ごしている寺。
本作の拠点の一つでもあり、義手忍具の強化を行うことができる。
また、死なず半兵衛や取りこぼしたレアアイテムの回収を行える場所でもある。
葦名城
主人公である狼が最初に目を覚まし、幾度となく訪れることになるエリア。
特に葦名城本城は、時間の経過によって三回、ルートによっては二回訪れることになる。
時間経過によって、出現するエネミーの種類が追加される上に、様相も徐々に変わっていく様になり、習得したスキルによって行ける場所も増えるようになる。
また、この葦名城は複数回に渡って訪れるだけでなく、複数のエリアで構成されており、作中における最大のエリアとなっている、
本城
最も狼が足を運ぶエリア。
特に、本城に存在する「御子の間」は荒れ寺に並ぶ本作の拠点であり、荒れ寺とも隠し通路によって直通経路がつながっている。
本城の中心部である天守閣は吹き抜けの造りとなっており、中心部には巨大な鐘が設置されている。
葦名城本誌の最上階である天守は畳こそ敷かれているものの三方に壁がなく、半ば展望台となっている、
城下
本城に繋がる大手門は鬼刑部によって守護されており、時間軸が夜に変わる事で隠しボスとも言える怨嗟の鬼が出現する様になる。
水手曲輪
葦名城本城の一部であり、葦名城から抜け出る為の抜け道がある。
一種のチュートリアル地点であり、ゲーム開始時はここで基本的な動作を一通り覚えていくことになる。
また、ゲームを進めていくことで、最低でも一回は訪れる事になるエリアでもあり、同時にバッドエンド以外の全てのルートにおけるラスボスとの決戦地点につながるエリアでもある。
ゲーム全体を通して、システム的にもストーリー的にも重要な場所であり、本作においてある種の象徴とも言える場所である。
捨て牢
葦名城の地下に存在する牢獄。一応は重罪を犯した人間を捕らえる牢獄であるが、どうやらそれ以外の複数の目的で使われていたらしく、本作における闇深スポットの一つ。
また、ここを通して葦名城と金剛山仙峯寺は繋がっており、所々に両勢力の闇が垣間見える。
名残り墓
ゲーム終盤では城下への直通経路がつながり、隠しボスである怨嗟の鬼と戦う為のルートとなる。
先代竜胤の御子、丈とその従者、巴の墓がある。
白蛇の社
落ち谷に通じるエリア。名前からしてぬしの白蛇を祀るお寺の様だが、仏像などの寺らしい要素はない(鬼仏はあるが)。天狗イベントを進めていれば天狗が、忍軍襲来以降は中ボス槍足の正長がいる。
金剛山仙峯寺
捨て牢から繋がっている寺院。険しい山脈に築かれた寺院は、本堂へ至るまでの修験道を通らなければならず、道中待ち構える僧侶やらっぱ衆が厄介なため、初見では中々大変な道のりとなる。
平田屋敷
竜泉川の沿岸に建てられている屋敷。葦名の重臣平田氏の屋敷であり、親族のいない九郎が引き取られた家。3年前に野党に襲われ壊滅、屋敷は燃やされ家々は荒らされた。
葦名の底
水手曲輪の身投げ場から飛び降りることで行ける場所。毒だまりには落ち谷衆が待ち構えており、そこを抜けると獅子猿のねぐら、隠し森、水生村へと繋がっている。
隠し森
葦名の底から獅子猿のねぐらを越えると到達する森。濃い霧に覆われており、幻影の敵で溢れている。廃寺にいる霧ごもりの貴人を倒すと霧が晴れて幻影の敵が消える。
水生村
源の宮に通じる特別な村。川と湖のほとりに民家が建ち並び、奥には輿入れの岩戸がある。
落ち谷
鉄砲砦
毒だまり
菩薩谷
源の宮
源の香気を纏い、輿入れの岩戸にある輿に入ることで行ける隔離集落。平安を思わせる寝殿造の建物や於加美の武者や宮の犬といった他では見れない敵がいるなど一風変わった場所である。
詳細
まず、最初に断っておくこととして、現実の日本史にも北国に葦名氏という戦国大名が存在していたが、本作に出てくる葦名の国や葦名家とは一才関係ないことが公式から明言されている。
その為、葦名の国、という名称をそのままの意味で受け取ってはいけない。
あくまでも、架空の国で起こっているファンタジー設定である。
その上で、葦名には多くの不思議な現象が古来より伝わっており、その大元は『竜胤の御子』と呼ばれる存在と、その力の源である『神なる竜』に集約する。
一方でそんな『神なる竜』とは別の小さな神々とされる存在も葦名の土地には古くから存在しており、この二種類の神々がもたらす現象に、葦名の土地に住まう人々は振り回されていたらしい。
余談
SEKIROの次回作であるエルデンリングには、侍という職業が設定されているが、その侍の設定の中に、葦の国からやって来たと言う一文がある。
関連項目
- 東北勢⋯「蘆名」姓の戦国大名がいるが、どこまで関係あるか不明。