皆でミヤコビトになろうぞ
概要
物語において最後に訪れる隔離集落。
九郎の不死を断つのに必要な『竜の涙』を得るため、この場所に赴くことになる。
葦名の高い山々を越えた遥か頂きに存在し、雲一つない快晴に満月が浮かび、水没した雅な寝殿造の建築物や枯れることのない満開の桜、一面に広がる澄んだ水辺など、平安の情景が残る幻想的な場所。
山場にある丹塗りの建築群は高床式で遥か高層に建てられ、そこには鼉太鼓や高舞台が設置されており、『対い浪に三つ巴』の神紋が日月旗や鼉太鼓などあらゆる所に描かれている。
時は戦国の世にありながら古い時代から時が止まっているかのような空気が漂い、雅楽を元とする音楽も相まってその雅さを一層引き立てている。
葦名の水や不死を巡る謎の核心に迫り、物語の根幹を担う重要な場所でもある。
*以下、ゲーム内容のネタバレを含む*
各エリアの詳細
到達まで
他のエリアと道は繋がっていないため、ここへ来るには大忍び梟撃破後、香炉の香気を身に纏った状態で葦名の底にある『輿入れの岩戸』に置かれた輿に入ることで移動イベントを発生させる必要がある。
朱の橋
宮に入る門の前には紅葉で彩られた橋があり、ここを渡ろうとすると最初の関門となるボス『破戒僧』との戦闘が開始される。
水生の御屋敷
ステージを道なりに進み続けると大きな寝殿造りの屋敷に行き当たる。
中庭の前で老婆に助言される通り大量の敵がいるため、外周を通りステルスアクションを駆使して屋敷の突破を目指すことになる。
敵配置さえ覚えれば殲滅も可能なので、経験値マラソンの会場として使われることも。
屋敷の裏手には宮の桜牛がいる。
花見舞台〜大桜
屋敷の対岸には、沢山の舞台と廊下で構成された大規模な神殿のような建造群がそびえ立っている。柱の下にある地面も含めマップが複雑に入り組んでいて迷いやすく、敵の数も多いため地味に苦労しやすいエリア。途中の小さな洞窟を抜けた先には壺の貴人・維盛がいる。
道中にある滝の下には七面武者も出現。
鬼仏『大桜』のすぐ側には淤加美の長 静が待ち構えており、倒すことで湖の中を泳いで進むことができるように。
湖の中
湖に浸水した屋根にいる老婆からヒントを貰い、内裏を目指すべく湖の奥にあるぬしの色鯉の寝床を潜り抜けることに。
枝垂れ桜と藤の花を合わせたような水中植物が美しく花を咲かせる湖には多くの建物やその残骸が沈んでおり、底の方を見に行くと2体の首無しやかつてのぬしの色鯉と思われる巨大な死骸、それにまとわり付くやたら生々しい芋虫のような生き物などSAN値が激しく削れる光景が待ち構えている。
宮の内裏
建物の裏手から内裏に入ると宮の貴族たちが淤加美の武者とおぼしき遺体に群がり一心不乱に共食いをしている衝撃的な現場に遭遇してしまうこととなる。
部屋の隅に目をやるとこれまで犠牲になった淤加美の武者のものと思われる山積みにされた仮面が。
この時点でも十分すぎるほど源の宮のおぞましさと闇を象徴する場所なのだが、ここでさらに内裏の扉を開けておくと…
餌やり場
内裏の屋根から枝を伝っていくことで辿り着ける寄り道エリア。
ぬしの世話係がおり、鐘を鳴らすとぬしの色鯉に手持ちの餌を与えることができる。
神域
内裏の更に裏手を上がった先には、質素な鳥居が立ち並ぶこれまでとは空気の異なった一本の坂道が続く。
淤加美の武者の精鋭と思われる3体の紫衣が道中を守っており、道を登っていくにつれ雷が降ってくるなど文字通り神の領域に近づいていることが肌で感じさせられる演出となっている。
終点にはしめ縄の渡された巨大な石柱を背後にした小さな穴ぐらがあり、奥の岩の前で静かに眠る巫女の遺体らしき姿の前で祈ることで最終目的地、仙郷に移動する。
登場する敵
宮の貴人
京の水を飲んだことにより、その姿は首が長く伸び、腕が四本あり、足が根のように広がり完全に異形の怪物と化している。
宮の貴族・赤衣
宮の内裏にいる、赤い縫腋袍に懐中高烏帽子姿の貴人。
雅楽である蘭陵王の一節を奏で、精気を吸うことはない。
霧ごもりの貴人と格好が似ているが、烏帽子を被っていない。
宮の貴族・青衣
宮の中庭にいる青い束帯姿の貴人。
人から吸い取るほどに若い精気に渇いている。
腰に刀を差しているが抜くことはない。
- 横笛
宮の貴族が持つ赤竹の和笛。
奏でる音によって幻術を発動させたり、人の精気を吸い取る際にも使用し、吸われた相手は『年寄』という特殊な状態異常にかかり、回生の力を封じられるほどに年老い精魂尽き果てる。
掴みかかった際は笛を直接相手に突き立てる。
淤加美の武者
貴人よりも人の形を留めた異形の女武者たち。
袖と袴の緒を絞り直垂に胴丸と大袖、素顔は面で隠され、雅楽装束の前天冠と折烏帽子を被っている。
一部の者は酒を飲み蹴鞠に興じ、また一部の者は竜に奉納するため蘭陵王の舞の如く舞っていた。
青錆の毒に弱く雷を扱うあやかしの女武者として、源の宮が登場する前から掛け軸や古文書などの記述でその存在を仄めかされていた。
淤加美の武者・刀
太刀を差した女武者。
緩急のついた剣戟が特徴で、慣れないうちはそのテンポの掴みにくい攻撃に苦しめられる。
連撃の最後を弾くと後ろに跳び、空中忍殺のチャンスが発生する。
- 太刀
金地螺鈿毛抜形太刀。朱塗の鞘には金蒔絵で竜が描かれている。
淤加美の武者・薙刀
薙刀を装備した個体。
他の淤加美の武者の例に漏れず絶妙にディレイのかかった緩やかな動きで刃を振るう。
突きや回転しながらの連続下段など危険攻撃を繰り出すことも。
淤加美の武者・弓
和弓を装備した個体。
遠距離から矢を放って攻撃する。
こちらが近づくと飛び跳ねながら矢を放ち続けるため、距離を詰めるのに手間取りやすい。
淤加美の武者・蹴鞠
鞠を小脇に抱えた個体。
遠くから鞠を蹴り飛ばして攻撃するという異色の遠距離タイプ。鞠は直撃するとかなり痛い。
滞空時に空中忍殺を狙うことができる。
淤加美の武者・雷刀、淤加美の武者・雷薙刀、淤加美の武者・雷蹴鞠
淤加美の武者の中でも紫の衣を着た強化個体。
それぞれ繰り出す技に雷攻撃が追加されている。
当然雷返しも可能なのだが弦一郎などの雷攻撃と比べて攻撃の発生が遅いため、焦らずにタイミングを見極められなければ難しいだろう。
宮の犬
青白い毛並みをした異形の犬。
首に勾玉を下げた個体は雷の球を飛ばして攻撃してくる。
白ヤモリ
身体が真っ白な大ヤモリ。
毒ではなく残留する霊属性の液体を吐き出してくるが、そのダメージは微々たるもの。
このヤモリに血煙の術や血刀の術を使うと体力回復の効果がある白い血が発生する。
宝鯉、人食い鯉
『宝鯉の鱗』を落とす魚とその取り巻き。
このステージの湖だけで6匹もの宝鯉が泳いでいるので、鱗を集める場合はしっかりと倒しておこう。
ボスキャラクター
淤加美の長 静
湖を見渡す大桜の大枝の上に立つ中ボス。
狼が湖を泳ごうとすると、雷鳴とともに雷を纏った鞠を蹴り飛ばしてはるか遠方だろうが水中にいようが正確無比に狙撃してくる。彼女に見張られている限り湖をまともに進むことはできないため、ステージを攻略するためには基本的に必ず倒す必要がある。
ボスとしてはやはり蹴鞠による攻撃を得意とし、某超次元サッカーの如く雷を鞠に纏わせ派手に蹴り出す雷攻撃は多くの初見プレイヤーの度肝を抜いた。
…のだが、忍殺ゲージが1つしかなく耐久力も低いため接近して殴り続けるだけであっさりと倒せてしまう。
おまけに滞空中は手裏剣などで撃ち落とせるうえに空中忍殺まで可能なので、慣れたプレイヤー相手だと開始数秒で文字通り瞬殺されることもザラ。
これらの理由から作中最弱クラスの中ボスと言われてしまうこともしばしばだが、その初見殺しなギミックと強烈な第一印象から源の宮を象徴する存在の1つとしてもよく挙げられる。
宮の桜牛
花見舞台の鬼仏からすぐ近く、水生の御屋敷を裏手に回った所から歩いてくる火牛と同型の中ボス。
白骨化したような外見の頭部には神ふぶきに似たエフェクトを纏う折れた桜の木が括り付けられており、炎の代わりに霊属性の貫通ダメージが攻撃に上乗せされている。
火牛と同じく爆竹に弱く、落下忍殺を仕掛けると仕留められこそしないが体力をある程度削ることができる。
七面武者
葦名の地に複数体存在する怨霊系の中ボスのうちの1体で、この源の宮に何の執念があるのか花見舞台から大桜までの道中に出現している。
倒すと貴重な素材アイテム『源の瑠璃』を落とす。
首無し(水中)
湖の底にいるこちらもお馴染みの怨霊系中ボス。
ここでは本体と同時に幻影の首無しが出現しており2対1の戦闘を強いられることとなる。
倒すと『夜叉戮の御霊降ろし』をドロップ。
ぬしの色鯉
湖に生息する途方もなく巨大な鯉。
花見舞台から対岸に渡ろうとすると水面からド派手に飛び出し橋を破壊してしまう。
湖の奥に沈む洞窟を寝床にしており、内裏へ向かうために侵入した狼を激しく攻撃してくる。ぬしの白蛇と同じく普通に攻撃しても倒すことができないギミック的な存在であり、安全に進むには建物の残骸に隠れながら見つからないように行動する必要がある。
ぬしの餌場で『貴い餌』を与えることができ、ここで餌付けをした後は攻撃されることがなくなる。
『まこと貴い餌』を与えると姿を消してしまい…
宮の破戒僧
源の宮の入り口にて番人を務めるボス。
まずは彼女を撃破することで初めて、晴れて源の宮内部へと足を踏み入れることができる。
詳細は個別記事にて。
???
このステージにおける実質的な最終ボス。
源の宮、ひいては葦名の地全体に広がる尋常ならざる力の元凶とも言える存在である。
登場NPC
壺の貴人・維盛
「また鱗、持っておいでや…」
ステージの離れにい2人目の壺入り貴人。
平田屋敷の壺の貴人・春長と同様に鱗を集めており、宝鯉の鱗をアイテムと交換してくれる。
一定数アイテムを交換すると「秘めごと」として『まこと貴い餌』を託してくる。これをぬしの色鯉に与えると壺と『源の瑠璃』を残して姿を消してしまうが、壺が倒れた先にある崖下を見ると…
春長について「一族の恥者」などと語り、もし彼に会うことがあっても願いを聞かぬように頼んでくる。
ぬしの世話係
「ヌシ… ヨロコバレ… タリ…」
ぬしの色鯉の世話をしている大柄な貴人。
餌やりをすると『宝鯉の鱗』をくれる。
ぬしの色鯉が姿を消した後は岸辺でぬしを探し嘆いているので、鯉の行方を示すあるアイテムを渡そう。
攻撃を当てると敵対するNPCの1人。
世話係の妹娘
「どうか父を、鯉の呪縛から解き放ってください」
水生の御屋敷にて狼に声をかけ、屋敷を突破するヒントをくれる老婆。
ぬしの世話係の娘であり、永遠に鯉の世話を続けるだけの異形と成り果てた父を案じ、狼にその引導を渡すよう頼んでくる。
ぬしの世話係のイベントを最後まで進めると餌やり場に現れる。
世話係の姉娘
「お若いお人、もしや、内裏に行かれるのですか?」
湖に水没した屋根の上に1人立っており、宮の内裏への脇道を教えてくれる老婆。
内裏に大切なお使いがあるため、閉ざれ続けている内裏の扉を開けて欲しいと狼に頼んでくる。
頼まれた通り内裏の扉を開けると衝撃の展開に発展することとなる。
実態
建築様式や敵の衣装、小物に至るまで平安時代後期を彷彿とさせるものが多いが、どの建物も外観、内装ともに長い間まともな手入れがなされていないのか、あちこちが朽ち果て屋根は苔むしており、中には湖に沈み倒壊している建造物も少なくない。
インパクトの強い敵やギミックの存在も相まって、幻想的で優雅ながらもソウルシリーズらしい異様さと退廃感が同居した独特の雰囲気を醸し出している。
ゲームクリアのためには必ず攻略しなければならないステージのひとつで、厄介な敵やポイントは少なくないものの、全体的な敵の強さと言う点ではラストダンジョンながら難易度を低めに設定されていると言ってもよい珍しいゲーム構成。
(敵の強さの集大成という意味ではこの場所の攻略後に戻ることとなる別のステージがその役割を担っているものと思われる。)
実態は「綺麗なテクスチャを貼り付けたブラボの漁村」などと形容される程におぞましく、美しい景色に見惚れながら足を踏み入れたプレイヤーに対して強烈な印象を残すこととなる。
余談
他のステージとの関わり
源の宮へのアクセス手段である「輿入れ」が行われていた水生村との間には浅からぬ関係が示唆されており、水生村の神主は「ミヤコビト」となりその末座に加わることを夢見ている。
源の宮で入手できる『京の水』というアイテムをこの神主に渡すと発生するイベントから、異形の宮の貴族たちの正体についてある程度察することができる。
また、源の宮がある場所は葦名の地全体に流れる特殊な水の源流であると考えられるが、少なくとも落ち谷にある『獅子猿の水場』は明確に源の宮の下流に位置するらしく、宮の建物の残骸らしきものが漂着しているのが確認できる。
そして源の宮でNPCイベントを進めるととある物もこの場所に流れ着くこととなる。
巴流
仙郷から降りてきたという丈の従者であり、弦一郎の剣の師でもある人物・巴は、舞のような剣技や雷を使った異端の技・巴流の使い手だったとされる。
これらの技は淤加美の武者たちの十八番でもあり、両者は同じ流れを汲む存在であることが仄めかされている。
それを裏付けるかのように、巴に縁の深い記述のある『奥義・浮舟渡り』『秘伝・渦雲渡り』『秘伝・桜舞い』の流派技イラストには烏帽子を被った首の長い人物の姿が描かれている。
舞楽
源の宮の大桜方面には大太鼓を備えた雅楽の舞台が複数あり、淤加美の武者が舞楽を舞っている姿が見受けられるなど雅楽が盛んである描写がなされている。
また、一部の宮の貴族が吹く笛の音色は「蘭陵王」の一節なのではとの推測がなされており、源の宮で淤加美の武者が舞を捧げたとの記述のある『竜の舞面』もまた蘭陵王で使われる仮面を彷彿とさせる造形であったりと、源の宮と雅楽にスポットを当てた考察は多く存在する。