概要
初登場は『スマッシュ!』の76話(第9巻冒頭)と物語も後半に突入した頃で、主人公の翔太がアキレスけん断裂から復帰して最初の大会で、翔太と亜南が富山帝東高校とのダブルス戦で戦っていた時に美羽に声をかけたのが初出である。
ギャルっぽい風貌をしているが実は純粋であり、性格は天然。遊んでいる風に見えるが本人はそれを嫌っており、むしろバドミントンに関しては真剣である。バドミントンの試合はダブルス専で、女子バドミントン部の新部長になった高柳とパートナーを組んでいる。体形は身長170cmと女子バドミントン部で一番大きいが、それ以上にバドミントンやるのに邪魔にならないかと思うものをつけている。その豊満な体形の通り後衛からの強打が武器で、全国大会でも通用するレベルである。
本作はバドミントン漫画の一方でラブコメも展開しているが、ヒロインの優飛が大阪へ転校し、遠距離恋愛になってしまったためラブコメ要素が薄くなってしまい、またラブコメ要素の強かった2つ上の先輩達も卒業してしまったため新たなラブコメキャラクターとして登場させたのが彼女である。そのため登場当初から翔太が大好きで、積極的にアプローチを行なっている。翔太も蛯沢を気に入っており、買い物の誘いに乗ったりしている・・・というか翔太も蛯沢に思うところがあり、度々意識する描写がある。一方で蛯沢も翔太と優飛が付き合っていることは知っており、叶わぬ恋であることは自覚しているが、あまりの辛さに泣き出すこともある。
呼ばれ方は高柳からは「すず」と呼ばれているが、読者からは「エビちゃん」と言われていた。
登場以降の評価
彼女が登場して以降そのギャップ萌えにやられる読者が続出。2ちゃんねるのスマッシュ!スレッドは蛯沢が出る回でスレが5倍以上伸び、ブログでも『スマッシュ!』の話題の時は蛯沢が取り上げられることが多く、mixiの作品コミュニティは蛯沢の話題で埋め尽くされていたほどである。作者の咲香里もこの状況を察したのか学園祭の喫茶店でバドガールにするという読者サービスを行なったり(最初はウエイトレスも嫌がっていたが、翔太が来るということでノリノリでバドガールになっていた)、ダブルスの試合でライバルキャラも用意されたりしている(相手は因縁を感じていたが、当の蛯沢は天然ということもあり忘れていた)。
そしてなにより(丁度北京オリンピックが盛り上がり始めた時期で、その前後にオグシオが本作を紹介したというのもあるが)彼女が出てきてから単行本の売上が急伸。前の巻と比較して5割増になったとされており(その後アニメ化された『ベイビーステップ』より売れていた)、北京オリンピック直後に連載終了と言われていた本作が2010年まで連載されるまでになった。まさかモブキャラ、まして主人公とヒロインのかませ犬に近いキャラがここまで作品に貢献するとは思わなかったであろう。
ちなみに「『スマッシュ!』でキャラクター投票をやらなかったのは女性部門で優飛や美羽をぶっちぎってしまうことを編集部が危惧した」という噂もあったがさすがにそれはないと思われる。別に蛯沢が1位でも大抵の読者は「知ってた」となるだろうし、そもそも作品自体がキャラクター投票やるほどの人気があったかというのもある(今でこそ人気作家のこの方がデビュー当時に描いたバスケットボール漫画のキャラクター投票の投票数がある意味伝説になっていることもあるし)。
結末
このように『スマッシュ!』の延命に貢献してきた彼女であったが、さすがに漫画を終わらせる時期が来たことと蛯沢自身も卒業を迎えることになったため、162話(最終巻である18巻の冒頭)で学校の屋上で蛯沢が翔太にキスをして押し倒し、「あたしと付き合って」と告白。翔太は「世界戦でメダルを獲りたい」との想いからそれを断りつつ「バドミントンがなかったら先輩と付き合っていたと思う」と内情を言いその場を去る。そして蛯沢は「好きになってよかった」と涙を流しここで退場となった。
それから7話後に『スマッシュ!』は連載終了を迎えている。
関連項目
大年寺三郎太:同じ「週刊少年マガジン」で連載していた『将太の寿司』のキャラクター。全国大会編へのテコ入れとして登場させたが、作品を間違えてるレベルの超人っぷりが人気を博し、作品記事では書ききれないため(主人公を差し置いて)単独記事化された。こちらも作者である寺沢大介のお気に入りで、自身の他作品にスピンオフで度々登場している。