概要
アセルス編限定のダンジョン「闇の迷宮」でたった1体佇んでいるモンスターで、仲間メンバーにすることが可能。初期形態はマンドレイク。本作のほとんどのモンスター同様、性別は無性。
経緯
幽閉されると「誰かが大切な人を置き去りにしない限り」出られないという闇の迷宮にどういうわけか閉じ込められていた。アセルス一行がオルロワージュによってここに送られたことで出会うことになる。結果、アセルスは脱出した時に白薔薇姫が迷宮に残る形となるが、その代わりとして赤カブが脱出することができる。そして、迷宮内でアセルスが赤カブに話しかけていれば、白薔薇姫の代わりに出られたから、立場が入れ替わったという義理によって、パーティに加入する。
アセルス「君は行かないのかい?」
赤カブ「白薔薇姫さんが迷宮に残ったから私が外に出られた。
姫さんと私の立場が入れ替わった。だから、お前さんの側にいるよ。」
アセルス「君が白薔薇の代わり?フッ、フハハハ」
赤カブ「ワハハハハハ」
それまでの白薔薇姫のキャラクター性から、反動であまり人気のないキャラクターではあるが、そもそもこうなったのはオルロワージュがアセルス一行を迷宮に閉じ込めたのが全ての原因であり、赤カブに何一つ非は無い。それどころか、義理で命掛けの戦いに付いてきてくれる分、かなり良いヤツである。
初期の形態が弱いゆえに、白薔薇姫の代わりになるか疑わしく思っているプレイヤーも多いが、モンスターの強化は「技リストにどんな能力を並べたか」で決まるため、強いモンスターになるため必要な能力を集めれば、誰でも同じように強くなれる。特にアセルス編では、状態異常を多用するボスが序盤から終盤まで多く、不死族系・魔生命系・無機質系などの状態異常に強い系統の形態に変身できれば、場合によっては切り札にすらなる。
モンスターの育成は、手持ちの能力の組み合わせによる「変身」と、吸収した能力の種類が増えることによるHP上昇なのだが、主に難しいのは後者。しかしこの赤カブ、吸収の難しい技を最初から多数吸収済であり、育成のイロハを知っているプレイヤーだと意外と早く一線級に育てることができたりする。……問題はとっくにモンスターの仲間がいる可能性も高いのに後半参戦のコイツをわざわざ使うのかという事だが。
なお、裏解体真書の小説では闇の迷宮に飛ばされてしまったヒューズを喜々として犠牲にして脱出しようと試みるという本編での人の好さからは考えられないクソ野郎になっていた。結局ヒューズに先手を取られて先に脱出されてしまったのだが、オルロワージュが逮捕された後に闇の迷宮から救助されていたらしく、アセルスの従者として彼女と共に最終決戦に駆け付けている。
実際に育成するには
まず、モンスターは敵を倒した際にその敵を吸収することで敵の技一つを入手できる。(最大8つ)
そしてそれまで吸収してきた技の数×4のHPが初期HPにプラスされ、技の組み合わせによって様々なモンスターに変身できる。
赤カブの特徴としては、8つの技術スロットすべてが加入時から埋まっており、結果としてマンドレイクの姿に収まっている状態である。
しかしながらマンドレイクのままでは「VITが低く物理攻撃に弱い」「炎攻撃に弱い」などのデメリットが多く、まず戦力にならない。
そのため、まずは残す技と捨てる技を分け、吸収したい技をピックアップしてその技を持つ敵を倒すことになる。
因みに赤カブの初期状態で所持している技は以下の8つ。
- 吸血
- ブレインクラッシュ
- 催眠ガス
- スクリーム
- 牙
- シードバルカン
- スミ
- エルフショット
ここで注目したいのが「スクリーム」。
「超音波」の強化版で入手確率の低い技の一つであり、植物系で一二を争う「シュリーカー」に変身するための必須能力である。これは絶対残しておきたい。
まずマンドレイクの状態を解除するところから始めていく。
マンドレイクは特定の技術をそろえているときにのみ変身できるものであり、その組み合わせは以下の通り。
- 吸血
- ブレインクラッシュ
- 催眠ガス
- スクリーム
- エルフショット
つまりこの5つの内一つでも上書きして消してしまえば、マンドレイクにはならないのである。
吸血かエルフショットが上書き候補だろう。どちらも序盤から吸収可能で、かつ弱いモンスターの変身条件にしかならない。
代わりに入手したいのが、以下の能力である。
- マジカルヒール
クーロンの自然洞窟最深部にいる「ワームブルード」から吸収できる、数少ない回復技。
ファストトリック効果もあり、敵の追撃を受ける事無く回復できる優れた技。
「角」と組み合わせれば獣系で強力な「ユニコーン」に変身できる場合がある。
- グランドヒット
「ナイトスケルトン」や「アクスビーク」など、パワー系の敵から入手しやすい範囲打撃技。追加でスタン。
STRの高い「トリケプス」などの状態で繰り出せば軽く2000〜3000のダメージを叩き出す。
打撃最強クラスのマイティサイクロンの弱点である投げ技耐性をカバーして入る点も長所。
因みにトリケプスに変身するには他に「電撃」が必要。
- マイティサイクロン
「クラーケン」から入手できる単体投げ技。追加でスタン。
投げ技だが盾を併用できる反面、相手の盾にも防がれる特徴がある。
打撃系では最強クラスのスペックを持っているほか、同一連携が出来る点もよい。
ヨークランドの沼地では終盤になるとクラーケンしか出ないため、この能力は終盤になっても割合狙いやすい。
- ヒートスマッシュ
「ファイアクリスタル」などから入手できる熱属性を含んだ打撃攻撃。
突き・射撃攻撃に鉄壁の耐性を持つ「リキッドメタル」の変身条件であり、後に不死族系最強の「デュラハン」を目指す際にも必要になる技術。
- アイススマッシュ
「フューズクリスタル」「雪の精」などから入手できる冷属性を含んだ打撃攻撃。該当敵の出現率・能力の吸収率から考えてもヒートスマッシュより優秀。
ヒートスマッシュ同様、リキッドメタルの変身条件になることがあり、同時に物理攻撃に強い昆虫系No.3の「コスモデバウアー」や、不死族系「デュラハン」の変身条件でもある。
- サンダーバリア
「ゼラチナスプランター」から入手できる雷属性のバリア技。
同モンスターの変身条件でもあり、敵にバリアで反撃できるようになる。
プログラムミスで「雷属性をほぼ完全に防ぐアクセサリがない」という事情もあり、この技の重要性を偶然にも高めている。
- スフィンクスリドル
「スフィンクス」から入手できる即死技。見切られない限り確実に効くため、ザコのみならず巨人も瞬殺出来る可能性すらある。入手すると無条件にスフィンクスに変身できる。
単純な防御力なら「コスモデバウアー」か「デュラハン」がいい。
特にデュラハンは概要にあるとおり状態異常に強い側面があり、敵の攻撃はほぼ受け付けない。
しかしながらこれらの変身には様々な技を吸収してHPを底上げしておく必要がある。
そのため、最初から変身するモンスターを固めてしまわずに、多様な変身を繰り返してその時のアセルスたちに合致する技術を見つけていこう。
スクリームさえ残しておけば、どこかのタイミングで「シュリーカー」に変身できるはずだ。
リキッドメタルといえども突き攻撃に強いということは金獅子姫の稲妻突きやラスタバンのランス攻撃に滅法強いということになる。
理想的なのは相対するボスに合わせて技術を入れ替えていくスタイルなのだが、前述の技術を網羅しておくだけでも、十分な戦力といえるのではないだろうか。
ちなみに初期状態では吸収しやすいコモン技への吸収経験がなく、吸収経験はレア技が中心になっているため、終盤から育成を始めてもある程度までHPが伸びやすい設計になっている珍しいモンスターでもある。敵ランクの上限が抑え目のクーロンのお陰である。
しかし、リマスター版ではちょっと不自由な事態に…
リマスター版の悲劇
リマスター版では仕様変更のあおりをちょっとだけ受けたキャラクター。
アセルス編では「イルストーム」という能力を吸収できる相手がフルドの工房の「フルド」しか居ないのだが、今回リマスター版ではアセルス編の没イベントが復活した影響でフルドとの戦いがアセルスとの一騎打ちになってしまったため、追加要素ありに指定すると赤カブはこの能力をどうやっても獲得できない。そして、引継ぎをしてのニューゲーム+時は必ず追加要素ありで固定され、そのうえヒューズ編で仲間にできるのもアセルスルート限定かつ最終ボスのオルロワージュ戦直前というタイミングで絶対にフルドの工房に行くことができない(というか育成自体ができない)ため、これを回避するには引継ぎなしの初周ニューゲームでアセルス編の「追加要素なし」モードを選択し、フルドから逃さずこれを覚えるまで粘るしかなくなっている。
この事実が広まったのはリマスター版発売からおよそ10日後前後の事であり、当然発売日からやり込んでいたヘビープレイヤーも多かったため、それまでの苦労したセーブデータをリセットして再び一からやり直す苦渋の選択をした完璧主義者のプレイヤー達も一部で存在する模様。しかもやり直したところで実際に得られるものは単に「赤カブのHP+4」でしか無いため、この状況をまるで大切な白薔薇姫を失い赤カブが残ったアセルスの状況に例えられることもある。
「赤カブのせいでやり直し?フッ、フハハハ」「ワハハハハハ」
なお、他の仲間モンスターがリマスター版にて他編をまたいで吸収することが可能になったのに対し、赤カブのみリマスター版でもアセルス編内でしか育てられないため恩恵がほとんど無い上にむしろ損をしており、他の皆が124種類or123種類まで吸収できる中で1匹だけ最大吸収数が121種類(イルストームを逃すと120種類)と落ち込んでしまっているため、かなり不遇である。
もっとも、実際のところはHP補正に直すと1種類につき+4のため、最終的にはせいぜい8~16程度の差が付くのみであり、さらに赤カブをクラーケン等の元々基礎HPが多いモンスターに変身させてしまえば最大HP999でカンストするため、最大吸収数の少なさは特に関係なくなる。そのため、「どうしても完璧でないと嫌だ」というこだわりでもなければイルストームの機会を失っても実害はあまり無かったりする。
ちなみに、ヒューズ編アセルスルートでは最終ボス直前で加入すると書いたが、この加入は任意イベント(針の城の宝物庫を漁ったか否か)となっているため、ショートカット選択肢「ラストバトル前までパッと行く?」を選んでしまうと赤カブの加入自体がスキップされてしまうというさらに可哀想なことになっている。
なおこの赤カブ加入イベント、ヒューズが闇の迷宮に閉じ込められた際にオルロワージュの手下のモブ妖魔が追手として現れるのだが、手下の妖魔を犠牲にしてヒューズと赤カブが脱出するというものになっている。「大切な人を置き去りにしない限り出られない」という触れ込みの筈だったのだが……、もしかして実は赤カブの大切な人だったりしたのだろうか?
関連イラスト
余談
しかし赤カブがなぜこのような場所に閉じ込められたのかだが、オルロワージュを何らかの形で怒らせたのだろうという開発者インタビューもそこそこに、実はキャラ配置で余り物になったというあんまりなエピソードがあった。そして出番を探した結果、残り物として闇の迷宮に1人取り残されたのである。ちなみに配置したのはシリーズディレクターの河津秋敏氏(†)。どうしてこうなった。
ちなみに「名前に色が入っている」「花札でカブといえば9」ということから、一部では「赤カブが9番目の寵姫」なのではとネタにされることもある(もちろん公式設定ではない、念の為)。
アセルス編シナリオ原案担当の生田美和さんは最後まで赤カブが入ったことを知らず、後に「なんで赤カブなんかが白薔薇の代わりなの」と怒ったという有名なエピソードがある(裏解体新書p.333)。なお、初期シナリオでは赤カブではなく「紅薔薇姫」という白薔薇姫に姿だけが似た姫が加わる予定だったが都合により没になり、「紅」という名前のみ焼却炉の姫に受け継がれたとのこと。当初の予定から変更されて赤カブが入ったのを知った際、先輩に泣きついたら「生田さん、わかってないなあ。この方が絶対、白薔薇姫への愛が深まるよ」と説得された模様。現在は吹っ切れたのか「赤カブ、もしかしたら針の城の中庭にこっそり植わってたりするかもしれませんね」とコメントを残している(†/†/†)。
…と言うか、闇の迷宮に叩き込まれる程オルロワさんの逆鱗に触れるってナニをやらかしたんだコイツ。
尤も、生田氏はアセルス編の原案となる膨大な設定資料を出したに過ぎず、実際にゲーム上のシナリオとして最終的にそれらを取捨選択しまとめて構築し仕上げ、完成させたのは河津氏であるため、原案のみの生田氏には文句を言う資格は無いのではないかと言う意見もある。
さらに、リマスター版ヒューズ編での赤カブの登場においても、ディレクターの上野真史氏が「配役がもっとも難しかった」と語っており、こちらもオリジナル同様かなり配置に苦労していた模様。
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赤カブ(括弧無し記事)