概要
『忍者と極道』の外伝作品である『獅子の華』に登場する〝獅子口の極道〟の字名を持つ極道。語尾に常に「よう」と付ける癖がある。
二丁の機関銃を手足のように操り、また極道技巧"【超絶対味覚】"で半径約50mを味覚によって感知し、さらに共感覚によってそこに秘められた人間の感情を味として見抜くことで忍者の不意打ちすら受けないという凄腕の殺し屋。現在の極道のように「地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)」の服用等による忍者と渡り合える身体能力を有しているわけではないが、覚醒剤(ヒロポン)によって忍者の一撃に耐えられるだけの耐久力は得ている。
活躍
物語序盤はとにかく無愛想で笑顔を見せない人物であったが、偶然出会った若かりし頃の璃刃壊左が提供したタンポポ珈琲(タンポポの根を乾燥させた後に焙煎したモノ。珈琲の代用品として戦後の日本やドイツでよく飲まれた)が自らの追い求めていた貧しい頃に母が淹れてくれたものだと知り、以降は笑顔を見せるようになり思い出の味と再会させてくれた壊左と友情を結ぶ。
しかし実は彼こそが東京大空襲の際に米軍と結託して忍者を大虐殺した主犯格であり、壊左の仲間や思い人を皆殺しにして彼の右目を傷つけ視力を低下させた因縁の相手であった。
忍者の長である神賽惨蔵に正体を見破られ、目をつけられたことで、彼が化けた悪徳商社の社長に壊左を殺すように依頼され、仕事と友情の狭間で揺れ動くも「他の奴に殺される位なら」と意を決して依頼を受ける。時同じくして獅門こそが東京大空襲のときに自身を返り討ちにした「獅子口の極道」であると知った壊左に襲いかかり、因縁の対決と相成った。
戦闘では壊左の感情を自身の極道技巧で察知することで、彼に対して優位に立つ。しかし壊左が一瞬の隙を誘うためにばら撒いたタンポポの根のチップにより動きが止まり、そこを彼が新たに編み出した銃弾を模した音速を超える拳「暗刃」を受け敗北した。
戦いが終わり、壊左はタンポポの根のチップで獅門が止まった理由を「母の味を思い出したから」と考えていた。
しかし、彼の腕の中で獅門が呟いたのは…
「お前また…チップの煎りを2秒…サボった…ろ」
という言葉だった。それを聞いた壊左は獅門を止めたのが「母の味」ではなく「自分の味」だったことを悟り、事切れた獅門を抱きしめ泣くのだった。
殺された忍者達の無念を晴らすため、壊左を成長させるためとはいえ、無二の親友となった獅門をけしかけた惨蔵はその非道を正直に告げるも、全てを呑み込んだ壊左は惨蔵を許している。
そして、舞台は変わって現在。
車の中で祖父の日記を読む極道(きわみ)。その日記には笑顔の獅門とその妻、そして彼らの息子の清一が写っていた。
しかし、彼はその写真を無言で破り捨て、窓から放り投げるのだった…