輝鎚
かぐつち
コトブキヤにて展開中のオリジナルタイトル・「フレームアームズ」第14弾目の機体である。
担当デザイナーはホビーメーカーのPLUM発祥にして、同本社のある長野県諏訪市公認マスコットでもある「諏訪姫」をデザインした稲葉コウ(現:稲葉航)氏。
「人型の内部骨格であるフレームアーキテクトに装甲を着せていく」リアルロボット然とした従来の機体が多く登場する中、「幅広の股関節による四股を踏んだ相撲取りスタイル」が特徴的な機体である。奇抜なデザインでありながらフレームアーキテクトには全く手を加えられてないことから、フレームアーキテクトの汎用性の高さも窺い知れる。
既に重装甲路線を貫いていた轟雷シリーズをも置き去りにする独特の超重装甲スタイルは、ボトムズやヴァンツァーといった往年の戦記モノに魅了された人にとって「空戦寄りのラインナップに偏重しかけたシリーズに一石を投じた機体」として認知されている。
月面陣営が投入した新型機・NSG-X1「フレズヴェルク」の登場により、既にロールアウトしていたSA-16「スティレット」では空戦能力に劣り、SA-17「ラピエール」はそもそも配備数が足りず対処が困難。
月面側FAの登場に対して反攻に出ていた防衛機構はあっという間に防戦に逆戻りしてしまい、フレズヴェルクに対抗できる機体の開発に着手する一方、急場凌ぎの防御特化機を短期間で開発する事態となった。
与えられた開発期間の短さと「装甲を増せば良いんじゃね?」という上層部の短絡的思考から、当初は三二式一型「轟雷」に追加装甲を施す程度と考えられていたが、フレズヴェルクの持つベリルウェポンに耐えるには「最低でも轟雷の4倍以上の装甲が必要」という試算から、このプランでは体積比的に轟雷では耐えられず実現困難と判明。
物理的な事情で開発が袋小路に入りかけた時、轟雷と陸戦型FAの制式コンペを競った「試作二八式」という試作機の存在が開発陣の目に留まる。轟雷よりもコストがかかる事で制式化されなかった「胴体の天地を逆転させた」設計がペイロードの高さと低重心構造を生み、開発陣に求められていた重装甲化に耐えうる事が判明。試作二八式のフレームに4層構造の複合装甲と機体各所の増加装甲を組み合わせた結果、ベリルウェポンを始めとする敵光学兵器の直撃をも耐えられる防御特化FA・四八式一型「輝鎚・甲」が誕生することとなった。
なお、轟雷同様開発スタッフに日系人がいたことから漢字のペットネームがつけられており、英名は「グスタフ」となる。
なお、防御に特化しすぎた代償として機動力は「轟雷の派生機である防衛型、榴雷・改の半分以下」という凄惨な数値となってしまったが、「防御特化なら別に問題はないんじゃない?」という判断からブースターとランディング・ギアのみという最低限度の割り切り方をされた。
しかし、轟雷から配置転換されたパイロットの一部に「瞬発力に優れる本機のブースターを使って跳躍する」という、本来の用途を超えた運用を行う者が少なからず存在しており、防衛型から一転主力戦闘へとそのポジションを変えていった機体となっていった。
・腰部ショックブースター
股関節に1基、スカートアーマーに2基備える本機の推進器。熱効率の問題で噴射時間は短いが超重量の輝鎚をジャンプさせるほどの推力を発生させる脅威の代物。
・グラインドローラー
脛裏に装備されるランディング・ギア。掘削機の原理を応用した構造で、地表を削る反動で機体を推進する。
・腕部サブアーム
可動範囲が狭くなる輝鎚の装備換装を容易にするために装着される副腕。メインマニピュレータと併用して武器を保持し射撃安定性を向上させることも可能だが、サブアームでの格闘戦は構造的に非推奨。
・試作三式光学障壁
胸部コンテナから散布される金属粉末を、頭部の磁界発生装置を用いて機体周囲に展開させ、光学シールドとする防御システム。防御性能・減衰性能ともに良好な結果が得られたものの、「起動に時間がかかる」「障壁展開中は自機を含め周辺に電磁波障害が発生する」等のデメリットがある。
- 試作二八式
轟雷と陸戦主力機を競った原型機。形式番号はKi28。あくまで試作機・開発テスト止まりのため最低限の武装に留められており、ショックブースターも非搭載というまさしく「歩く鉄塊」という有様だが、この当時の装甲でもNSG-X2「フレズヴェルク=アーテル」のベリルスマッシャーによる一撃を受け止めるほどの強度を有している。
- 四八式一型 輝鎚・甲
輝鎚の基本モデル。武装は30mmチェインガンと小型ミサイル6基からなる「百二式機関砲・火引(ひびき)」とブロック単位でダメージコントロールが可能な「九五式多連防盾・巌戸(いわと)」。
- 四八式一型 輝鎚・甲(後期型)
上記輝鎚の後期生産モデル。前期型の運用データを元に試作三式光学障壁を撤去。「ブースターを使った立体機動はマニュアル制御故に困難ながらも目立った」ことから、ブースター機動のプログラムを新たに搭載したことで練度に関わらず立体機動が可能となり、「主力戦闘型」とその位置付けを変えた。
- 四八式二型 輝鎚・乙
輝鎚の強化プランの一つで、「水を充填したリアクティブアーマー」を配置したことで、万が一着弾しても内部の水が飛散することで機体へのダメージを抑えることが可能。反面、増加装甲分だけ機動力が更に悪化している。
輝鎚・甲の武装をそのまま使用でき、更に強化センサーを組み込んだことで長距離狙撃も可能となっており、高射砲を装備転用した「百拾式超長距離砲・叢雲」を運用する「狙撃仕様」と、ブースター付きハンマーである「試作三式破城槌」を装備する「白兵戦仕様」の2種類が存在する。
- 四八式三型 輝鎚・丙
輝鎚の強化プランの一つで、乙とは逆に機動力を獲得させたモデル。輝鎚・甲の下半身をマスアームドユニット・EXU-05に換装することで、この機体となる。
元々重量のある本機を支えるため、フレームアーキテクトを1機丸々消費させることで強度と装備重量の確保に成功。計16基のブースターによって得られる突撃能力を、輝鎚本来の防御力を維持したまま獲得することが出来たものの、必要とされた作戦の完遂とともに解体された。
島田フミカネや駒都えーじがフレームアームズを擬人化したプラモデルシリーズであるフレームアームズ・ガールにて、2018年に商品開発がスタートした。
開発開始当初は原型機と同じく稲葉航氏が担当していたが、2022年のオンライン展示イベント・コトコレ2022 Winterにてどぅーゆー氏にデザイナーが変更された。
轟雷:試作機で制式化を競った勝者。最近では妹の方が輝鎚の機能を流用したとの噂。
バーゼラルド:急場凌ぎの本懐。ロールアウト後は継戦能力の低さを輝鎚がカバーすることに。