概要
スティレットと共にシリーズ第1弾を飾った戦車モチーフのフレームアームズ。
デザイナーは柳瀬敬之。
日本人が開発に参加したため和名が冠されており(所謂ペットネーム)、ロールアウト時の正式名称は「ウェアウルフ」。
空戦型のスティレットのような飛行能力こそ持たないものの、スティレットには装備できない大型滑腔砲やユニット化された装甲兼コ・ジェネレータを全身に配置し、脚部の履帯ユニットによる高い走破性能を有するバランスの良い機体。
現場の評価も非常に高く、装甲ユニットの換装も容易であることから、数多くのバリエーションを持つ。正規軍改良型や局地戦仕様、現地改修型も含めればその数は膨大である。
月面軍が強大な攻撃力を有するフレズヴェルクを投入してからは旧式化が否めなくなってはいるものの、個別にカスタマイズを施された機体が第一線で活躍し続けていたともいう。
バリエーション機
三二式伍型 漸雷
装甲形状の一部を変更、かつ履帯ユニットをオミットすることで、機動性を犠牲に運動性と近接戦闘能力を高めたモデル。海外名は「M32 Type5 ウェアウルフ・アヴェンジャー」。
失われた機動性は、空挺降下という運用によって補われている。
胸部形状の変更に伴い、コクピット構造もオペレーターが搭乗できる複座型に切り替えることも可能で、更に通信機能等も高められているため、指揮官機として運用されるケースが多かったという。
三二式伍型丙 漸雷強襲装備型
制式採用はされていない急造仕様の現地改修型。型番は便宜上のものである。
試作型のブースタを4基設置し、機動性を高めているものの、それによる操縦性・運動性の劣悪化が著しく、腕利きのパイロットにすら「これなら火力が多少落ちてもスティレットのほうがマシ」とまで言わしめ、まともに乗りこなせる者がほとんどいなかった。
三八式一型 榴雷・改
装甲と火器を増設した遠距離砲撃戦仕様。改となっているが、後にほぼ全ての榴雷がこの仕様となったため、単に「榴雷」とも呼ばれる。海外名は「M38 ウェアウルフ・ブルーパー」。
頭部のバイザー型センサー、肩部と脚部の増加装甲、履帯ユニットの代わりに装備された安定脚ユニットなど、遠距離での砲撃戦に特化したフレームに、大型シールドを二枚備えた鉄壁の防御に加え、「六七式長射程電磁誘導型実体弾射出機(M67ロングレンジプラズマソリッドキャノン)」を二基備えている。この内、大型シールドは評判が良かったらしく、民生用にポリカーボネート樹脂で成形された廉価版が生産されている。
プラズマソリッドキャノンは、直射と曲射の双方に対応した大威力の長距離兵装であり、後に月面軍が自軍のフレームアームズを投入してきた後も、防衛機構側が考案した迎撃陣形において重要な役割を占め、多大な戦果を挙げている。
ウェアウルフ・スペクター
CC210年12月、南米にて確認された所属不明のFA。漆黒のカラーリングに染められた轟雷で、名称は亡霊のように出現することから正規軍が名付けたもの(和名で名乗るなら『幻雷』か)。
撃墜されたはずの轟雷の識別信号が戦場で度々確認されるという「戦場の怪談」であったはずが、その正体は月面軍に鹵獲され試験運用されていた轟雷の成れの果てであった、というもの。
装甲や装備はほぼ榴雷のそれになっており、武装の配置が非常に独特なものになっているのと、この個体独自の白い頭部センサーが特徴。
月面側へのフレームアームズのデータ流出を恐れた上層部から特殊部隊による捕獲作戦が取られるも、機動力を投げ捨てた榴雷譲りの重装甲と火力一辺倒の火器類からなかなか撃破することができず、多大な犠牲を伴った討伐作戦の末に破壊された。しかし月面軍は既に十分なデータの収集を終了しており、翌年には月面軍初のフレームアームズであるヴァイスハイトの投入が行われている。
三二式三型 誘導弾 改良ホーク搭載型 轟雷
2018年の静岡ホビーショーで原型が発表されたバリエーション。
轟雷に大型のミサイルとその発射台を取り付けるというかなり思い切った装備だが、これは元々月面陣営の地球侵攻の最初期における包囲殲滅を主眼としていたため。物量で叩くことを念頭に置いたことから膨大な数のホークミサイルを製造するも、対フレームアーキテクト/フレームアームズ戦闘に移行していくと物量作戦が効果を発揮しなくなったため死蔵される。
後にガフ/リベルタによる人類同士の対立構造に発展すると、死蔵されていたホークを調整し直し「改良ホークミサイル」として施設破壊用に使われたり、或いは弾頭の炸薬を除去し「増設ブースター」として機動力確保に使われることとなった模様。
三二式一型 轟雷・改
フレームアームズ・ガールのTVアニメ放映の過程で登場した、「FAガール・轟雷の強化改修バージョン」を、柳瀬氏がフレームアームズ・轟雷に落とし込んだバリエーション。
「FAとFA:Gの企画同時進行」はあったものの、「FA:GのデザインをFAに逆移植した」例はこれが初。永らくイラストのみだったものの、ホーク搭載型共々晴れて市販化された。
装甲配置は先行したFAガールのものとほぼ同一(滑腔砲が左肩に移設されているのも一緒)だが、こちらは純然たるロボットなので肩と脚部に追加された装甲によってマッシブなプロポーションとなっている。
月面陣営が投入したフレズヴェルクの光学兵装に対応した特殊装甲にラピエールゼファーのリニアガンを解析して開発された電磁加速砲「駿牙」を装備するも同時期に開発された輝鎚によって制式採用を見送られる。その後「駿牙」の性能が認められその腕を見込まれた開発陣は「SX計画」への編入を申し入れられたが、開発陣は轟雷・改の正式採用を交換条件として計画への参加を容認する。結果、上層部から採用が下り制式化されたのである。
しかし上層部にとって轟雷はすでに旧型機とみられているため量産化は遅々として進まず、すでに轟雷の生産ラインの多くが閉鎖されていることも拍車をかけた。結局最終的な生産総数は轟雷と比較して1割ほどに留まり、その中には轟雷からの改造機も含まれていた。しかし轟雷を慣れ親しんだパイロット達からは完成度の高さから絶賛され、長らく第一線で活躍することとなる。ガフ/リベルタによる人類同士の対立構造の時代にも運用例が報告されている。
三四式一型 迅雷
柳瀬氏と親交のあるイラストレーター、島田フミカネが当時発売されたばかりの轟雷を元にカスタマイズした改造キット。使用したキットは轟雷(+アーキテクトから出る余剰パーツ)1箱のみ。
フレームアーキテクトの可動を活かすために軽量機然とした細いシルエットをしている。
発表当時はフレームアームズが現在ほどの認知度がなかったことから、当機の存在を知るのはFA黎明期からのファン層のみという具合だった。
しかし2016年、思わぬ形で再び日の目を見たため、元の機体も脚光を浴びることに。改良ホーク搭載型、轟雷・改の立体化に続き、2019年に新規造形パーツを盛り込んだ「新型迅雷」として立体化を果たすこととなる。
中破した轟雷の装甲を除去・位置変更を行い軽量化した轟雷のバリエーション。月面陣営との抗争で戦力が低下していた地球軍側が戦力増強案の一つとして破損した機体のリサイクルによって頭数を増やす目的だったが、リサイクル機ということもあり轟雷のパイロットからは前評判が悪かった。
しかし実戦投入されるとその評判も逆転し、迅雷による一撃離脱戦法が陸戦FAの新戦術として加わる事となる。それに応じ制式採用を経て生産も始まるが、廃品や余剰パーツを使う関係上機体ごとの性能差が生じたため、機体の大半はパイロット毎のカスタマイズを余儀なくされた。しかしながら前述での成果とパイロットの評価を踏まえ、少数であるが新規で生産された機体も存在する。
コラボレーション
ファンタシースターオンライン2のフレームアームズコラボ第二弾のラインナップにバーゼラルドと共に登場。貴重な男性用キャストのパーツ群として配信されている。
フレームアームズ・ガール
2015年5月、島田フミカネ(島田・柳瀬両デザイナーには親交がある)による擬人化シリーズ・フレームアームズ・ガールの第1弾として抜擢。初出は同作者のフレームアームズの同人誌。
本家の装備を加え、モチーフ元の装備不足を解消するため「フリースタイル・バズーカ」MSG(モデリングサポートグッズ)を付ける事によってポージングの幅が広がった(但し本家とは違い抱えるのが困難なためサブアームを付けるなどの工夫が必要となる)。
元モチーフの根強い人気とフミカネ氏のデザインのせいか、瞬く間に完売し転売によるセドリ行為も続出する大人気となった。それに加え、武装神姫難民をも取り込むことで人気がうなぎ登りとなり、それ以降の展開が決まったといえる。
こちらもカラーバリエーションが多く、限定カラーが多数存在している。派生型ではフミカネ氏が本家の轟雷を改造した迅雷がフレームアームズをすっ飛ばしてFAガールでキット化されているが、逆に本来のバリエーション機である漸雷や榴雷は作例こそあれど現時点でもキット化されていない。
なお、pixivにおける本タグの投稿も大部分がフレームアームズ・ガールのものである。
詳細については轟雷(フレームアームズ・ガール)にて。
関連タグ
フレームアームズ フレームアームズ・ガール 轟雷(フレームアームズ・ガール)
スティレット:フレームアームズ創成期を共に歩んだ仲。当時はこのモデルと共にシリーズ存続をかけた展開をしていた。
輝鎚:試作機で競合していた。轟雷に足りなかった独特な外観をしている。
ファンタシースターオンライン2:男性用キャストパーツ群として配信
元ネタ 10式戦車