迷宮クソたわけ
めいきゅうくそたわけ
債権奴隷の少年アも、なけなしの魔法ひとつで迷宮へ潜るそのひとりだ。
費用さえあれば死者蘇生は可能だが、新人の稼ぎでは到底無理。
たった三匹の大ネズミに苦戦し、落とし穴に落ち、ウサギの攻撃で仲間の首がとぶ…。
危険と隣り合わせの中で、彼は知恵を振り絞り、
時には芝居をし、嘘をつき、そして微々たる幸運を最大限に生かすのだ。
そんな折り、冒険者組合が出した依頼は「邪教徒から迷宮を解放せよ」。
成り行きで邪教徒の群れに潜り込んだアは、
自分たちと何ら変わらない彼らの姿を目にして!?
「僕は生まれて初めて力が欲しいと思った。
あらゆる不条理を蹴散らせるくらいの圧倒的な力が」…!
異色のダークファンタジー、ここに開幕!
小説はカクヨムにて連載されている。
小説家になろうにおいても「迷宮クソたわけ 奴隷少年悪意之迷宮冒険顛末」というタイトルで連載されていたが、2021/10/31現在更新は止まっている。
2019/2/28に、KADOKAWAより「迷宮クソたわけ 最弱魔法使いは借金返済のためコツコツ冒険をくりかえす」というタイトルで書籍化された。イラストは西ノ田氏が担当。
せいほうけい氏によりファンアート的に漫画化されており、Twitterやニコニコ静画(ニコニコ漫画)、Kindleで無料公開されている。(本記事のトップ画像は氏によるもの)
ゲーム的な世界像を舞台に、冒険者となった主人公や仲間が迷宮を踏破する様子を描いた作品。メタ的な要素を織り込みつつも、所謂「チート能力」などは持たず、パーティ内での諍いや仲間の死、また迷宮外の欲望渦巻く陰謀などが淡々と描かれるシビアな作風となっている。
- ア
本作の主人公。男性で、奴隷。「ア」という名前は奴隷になった際に主人に付けられたもの(主人が名前を考えるのが面倒だった)。
奴隷狩りにあい、主人の投資として購入され冒険者となり、借金を返済することを求められる。元は文盲だったが冒険者組合の訓練所で文字や魔法を学んだ。
冷静沈着で論理的な思考の持ち主であり物事を俯瞰的な視点で見ることができる。そのため気配り上手かつ非常に口がうまく、内外の折衝に携わることが多い。
身上の都合によりお金稼ぎに関しては貪欲、しかし何よりも生き残ることに重きを置いている。
パーティ内での役割は魔法使い。
- シガーフル・マネ(シグ)
平民の男性。パーティのリーダーを務める。戦士として十分な肉体と気さくで英雄志向な性格の持ち主で、まるで物語の主人公のような人物。迷宮の探索においては慎重派で、戦闘ごとに休憩をいれたり、他のパーティが迷宮の奥に先行する中でも慌てずに浅い階層での探検を続けるなど、石橋を叩いて渡るタイプ。仲間内では「シグ」と呼ばれる。
職能は戦士で、長剣を使う。
- ステア
女性。荒野の家教会の本部から派遣された宣教団所属の宣教師見習い。熱心に布教活動を行うほど信仰心が高い。北方領出身で、迷宮で魔法の能力を鍛えるために派遣された。
仲間の死に強くショックを受けたり、全滅した冒険者パーティーの死体を発見して恐慌状態に陥るなど、精神的に脆いところがある。
職能は僧侶。回復魔法が使えることから、パーティ内では回復役を担う。
- ルガム
女性。露出度の高いラフな格好をした女戦士で、男性顔負けの筋骨隆々とした恵体と膂力の持ち主。理性的で竹を割ったような快活な性格だが、やや短気なところがある。
職能は戦士。棍棒を振り回す。
- パラゴ
男性。新人の冒険者だが、迷宮のマッピングや宝箱の解錠、先に居る敵の気配を察知するなど優れた手腕を見せる。少々お調子者なところがあり、迷宮の浅い階層で足踏みをするよりも先に進むべきだと主張した。ヘイモスとは同郷の親友。
職能は盗賊で、短剣を手にする。普段は後衛だが有事の際には前衛に回る。
- ヘイモス
男性。巨漢で全身鎧を着用している。常に兜を被っており食事の際でも外さないがイケメンらしい。その容姿や自身の声が戦士として威厳のあるものではないことを気にしている。同郷の親友であるパラゴの言葉に同意することが多い。
職能は戦士で、短剣と盾を構える。パーティの盾役を担う。
- ドロイ
訓練所を卒業した後にアらとパーティを組んでいた新人冒険者。職能は盗賊。宝箱の罠の解除に失敗し死亡する。
- ラタトル商会会長
アの主人で、小麦の貿易商を営む男性。本邸の1階はパン屋になっている。
酷い名前を付けたものの、アに対して元は物置小屋とはいえ個室を与えたり、それなりの食事を与えたりと「むしろ奴隷になる前よりもマシ」と言われる程度には良い待遇を与えている。
- ブラント
貴族のような容貌を持つ壮年の男性。冒険者組合に所属する教授騎士であり、冒険者を迷宮の10階まで導き「達人」として育成するという任務を負っている。
得物はレイピアで、肉体を強化する支援魔法や回復魔法も使える。
- 迷宮
オイザック城塞都市の付近にあるダンジョン。「悪意の迷宮」とも呼ばれ、人に害意のある罠やモンスターが待ち構えている。明かりがないため、冒険者はまず暗い中でも行動できるように訓練を積む。地下深くまで続いており、下に行けば行くほど罠もモンスターもより強大になる。10階を踏破できるものは「達人」と呼ばれ、地上であるならば最強の戦力の一角とも評される。
- 迷宮順応
迷宮内で戦うことで強くなること。
迷宮内で倒された魔物の魂は近くに存在する冒険者に取り憑きその魂を変質させてしまうが、それにより冒険者は徐々に超人的な力を得ることが出来る。強化される能力は冒険者の行動に合わせて変質し、例えば戦士ならば体力や膂力、盗賊ならば罠の解除能力などが上達し、魔法使いや僧侶も唱えられる魔法の回数や種類が増えたりする。
ただし本質は魂の変質であるため、強くなることは人間をやめて魔物になることと同義である。ほとんどの冒険者が達人に認定されたあたりで迷宮探索を辞め、兵士や教授騎士に転職する。
- オイザック城塞都市
別名迷宮都市。街外れにある迷宮で経済が成り立っているという「なんともおかしな街」。
奴隷も合法であり、冒険者は経済の一部でしかない。
そのため商人や権力者も冒険者にはそれなりに親身にはなってくれるものの、その本心は総じて金づるを失いたくないというだけであり、利権が失われるようなことがあればあっさりと切り捨てる。
最近は奴隷を冒険者に仕立てあげその上がりを掠め取るという「投資」が流行しており、アもそうやって冒険者になった一人。
- 冒険者組合
冒険者の拠点。迷宮に挑むためには組合に入り資格を得る必要がある。冒険者の管理などの事務や新人向け訓練所の運営などを主に行っており、冒険者が迷宮から持ち帰った戦果や先述の訓練所の受講料が主な収入源。
冒険者を希望する人間が後を絶たないため、例え冒険者が迷宮内で死んでも、対応は非常にドライで事務的。
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