CV:浅沼晋太郎
概要
2010年代から「箱庭の世界」にやってきた問題児の1人。学ランと炎のマークがついたヘッドホンがトレードマークな17歳の少年である。
ギフトネームは「正体不明(コード・アンノウン)」。
ギフトカードの色はコバルトブルー。
パッと見、どこにでもいそうな少年だが、その身には多彩な才と常識外れの異能を宿している。
人物像
ラノベでも屈指のトンデモ能力を保有する主人公。
2010年代の現実世界では、養護施設『カナリアファミリーホーム』出身のごく普通の高校に通う学生だが、ある義理を果たす為に入学しただけであり(後に裏口入学であったことが明かされている)、殆ど通う事無く、物語開始時には既に退学する事を決めていた。
尤も、本人は後述の理由で世界中を旅している上、様々な技術や知識を自身で習得或いは義母から叩き込まれているので、学校に通う必要のないレベルの極めて高い教養を持っているのだが。
ちなみに高校の頃には既にホームから自立しており、詳細は不明だが、どこかで一人暮らしをしている様子。
基本的に飄々としていて享楽的で快楽主義者な少年だが、その高い能力と釣り合う存在がいない事にネガティヴになる一面もある。
一方で、自身の強大な力によって世界が壊れないよう自分を戒めたり、同じく親がいないホームの弟分や妹分たちの世話をした、箱庭にて崖っぷちの状況だったコミュニティ『ノーネーム』の再興にも積極的に動く等、他人思い且つ面倒見のいい兄貴分な部分も強調されている。
過去の経験から、特に“社会的に弱い人間に優しい”。
常識を逸脱した能力を生まれながらに持っていたが、科学に覆われ神秘に欠ける世界にいたため、それが原因で里親とも施設とも折り合いがつかずに無軌道に生きてきた。
そのような中で後に共にカナリアファミリーホームの建設をする金糸雀(カナリア)と共に世界旅行や共同生活をしたことによって救われた。
その中で世界の美しさ、人の技術の素晴らしさや凄惨な戦場などの血生臭い事柄にも触れていき、徐々に世界との向き合い方を学んで行った。
そしてその過程で強大な力を自覚し、なおかつ抑えながら周囲と折り合いをつける術と精神・共に生きていく仲間・さらに広範にわたる知識を身につけてきた。だが、その内には自分の力を出し切れないことに対するネガティブな思いもくすぶっていたのであった。
そういった中、生と死と快楽の神霊クロア=バロンとの死闘と、彼から明かされた金糸雀の秘密と既に鬼籍に入っている彼女から仕掛けられた最後のゲーム。
そして二人から紹介された神魔が住まう異世界『箱庭』の存在は現実でホームの兄弟達と平穏に暮らしていくか、異世界で自分の力を思う存分振うかの二つの選択を突きつける事となった。
結果、十六夜はホームの兄弟達に詫びながらも、後者を選び、その世界で出会った別の時間軸から召喚された二人の問題児久遠飛鳥と春日部耀との出会い。
そして黒ウサギやジン=ラッセルとの出会いを経て、ノーネームの再興とそれに伴う魔王たちとの戦いに身を投じる事となった。
箱庭に来てからも、その面倒見の良さと先見の明を発揮して、最底辺だったノーネームの地位を一気に押し上げた。
その功績と実力もあって、飛鳥や耀からは頼れる兄貴分として見られており、黒ウサギとジンからも恩人として認められていく。
十六夜の方も彼らを鍛える師匠役についてはまんざらでもない様子を見せている。
後に黒ウサギとの会話から両世界の金糸雀が同一人物ではと推測する描写が見られる。
能力と技能
何と言っても、その膨大な知識量。
メジャーな神話伝承に留まらず、永久機関や立体交差並行世界論など、SFな内容やあまり知られていない物質やマイナーな伝承にも明るい等、むしろ知らないことを探すのが難しいレベル。
箱庭において伝説上の悪魔、神格と戦うのは必然な為、彼の知識と閃きは最大の武器と化す。
直接戦闘においては徒手空拳で戦うのがメインだが、現実世界では彼の圧倒的な身体能力の足元レベルさえいなかったので、格闘術に関しては所謂ケンカが上手いレベルに留まっていた。
そのため悠久の時を鍛えに鍛えた伝説上の存在相手では所謂場数の差もあり、その点で押される事が多いものの、七大妖王で最上位の格闘技術を持つ蛟劉の打撃を高い才能により三打目から回避し始めたり、並外れた動体視力と観察眼、そして話術を併用する事で格上の相手にも食い下がる等、極めて高い近接戦闘力を保有している。
金糸雀との旅では凄惨な戦場を渡り歩いた経験もあり、その一環なのか銃を使えるという事が明かされている。しかし、これは相手を殺害する目的ではなく、十六夜の身体能力では殴っただけで他人を殺しかねないレベルな為、安定した威力が期待できる銃で相手を殺さずに無力化する為と語られている。
幼少期から家族とは縁がなく、一人で過ごす期間が長かった事や世界中を旅した経験やホームでも当番制もあってか、家事にも長けている様子。
特に料理に関しては絶大な自信を持っており、海外のご当地料理を好んで作っている様子。
作中ではパンプキンキッシュを披露した。
コードアンノウン
正体不明。
十六夜が保有するギフト。
文字通りの全貌が不明な恩恵であり、全知全能とも評されるラプラスの紙片たる『ギフトカード』でさえ、判別不能という扱い。
ちなみに能力名は正確には判別不能を示すエラー表示であり、正式名称は現時点(2017年)でも不明である。
以下はコードアンノウンによるものと思われる異能の数々である。
強靭な肉体
全力でパンチを放てば山河を砕くと評される破壊力を叩きだし、キックを放てば地割れを発生させ、全力で跳躍すれば高層ビルを大破させ、高度千メートルまで秒を跨がずに到達する跳躍力を見せ、全力で走れば第三宇宙速度(時速60100km、マッハ49)で飛ばした物に軽く追いついてしまう。
なんじゃこりゃあ……。
オマケに上記レベルの攻撃を食らっても問題なく継戦可能なタフさまで誇る。
基本的に十六夜はこれらを総動員して修羅神仏との戦いを繰り広げる。
パッと見、隙のない力だが、これらさえ通用しない存在が上位にいるのが箱庭である。
第三宇宙速度で物を投げる
文字通り、そこらへんにある物を時速60100kmで投げつけれる力。
物の大きさは持ち上げれる物なら何でもその速度で投げつけられ、小さい物で小石、最大で高層ビルを投げつけている。
小石でさえ、クレーターを作り出せる程のとんでもレベルの破壊力を叩きだせる。
恩恵の無効化
十六夜には物的な干渉を行なう恩恵しか効果がない。
つまり毒や石化等のステータス異常などを無効化する。
作中、クロア=バロンの即死の呪いや魔王アルゴールの万象を石化させる光、魔王ペストの死の風、混世魔王の体感時間停止能力さえ通用しなかった他、黒ウサギの疑似神格・梵釈槍が放つ恩恵が効かないと記述されている。
それでありながら、人外の言語を翻訳してくれるギフト等、有益な能力は無効化されない。
理不尽。
無効化能力は箱庭では割とありふれているが、十六夜はものは最高クラスの無効化能力であり、更にそれがいくつも重複している状態。
1つは疑似創星図に付いている「概念的な攻撃の無効化」。
これ以外にも+αで付いているとされる。
疑似創星図
正式名称は不明。
神群の秘奥或いは神群を構築する世界(うちゅう)そのものといってもいい疑似創星図(アナザー・コスモロジー)の一つ。
コスモロジーとは、世界のテンプレートの様なもの。空間があり、時間が流れ、星がある、といった、どのような物語でも構築する上で必要となるテンプレートに形と力を与えているモノ。
そのようなものに触れれば大体は消滅する為、概念的な攻撃では全く傷つかないという無効化能力を備えている。
十六夜の場合、右腕から極光の柱と表現される長大な眩く輝く柱を召喚する。
そのまま長柄の武器の如く、相手に振り下ろすという使い方をするのだが、その破壊力は凄まじく
「星を砕く」とまで称され、実際、年代記に沿うか、人類史を一撃で終わらせる超攻撃力でないと倒せない神霊の一柱を後者のやり方で消滅させた程。
実は「対象の宇宙観を無視して破壊する」という効果があり、簡単に言えば「○○でないと死なない」という相手を無視して滅ぼせる(ただしゲームルールの無効化まではいかないほか、三神一体化した相手だと容量を超えるため倒せない)。
オマケに使っても多大な負担がかかる等の制約もない等、至れり尽くせりの力に見えるが、同じ疑似創星図を持った相手だと自動で相殺され、また前述のように外した場合やぶつけ合わせた場合の被害が凄まじい事になりかねない為、使用場面は外す危険性の少ない超接近戦に限られる。
故に十六夜はここぞという場面でしか使用しない。
実はこの直接相手にぶつける使用法は疑似創星図共通のデフォルト機能であり、その真価は個々の特殊能力にある。
当然、極光の柱にも固有の能力があるはずなのだが、現時点では不明のままである。
獅子座の太陽主権
箱庭でも特別視されている、最も多くの神仏が宿る24の太陽の主権の一つ。邪龍アジ・ダカーハとの死闘の中で、謎のコミュニティ『ウロボロス』の下部組織のリーダーである殿下からドサクサに紛れて譲渡された力。
その力は不断の恩恵。つまり英雄ヘラクレスと死闘を繰り広げたネメアの獅子の特性を再現する事。
即ち、*ありとあらゆる斬撃・刺突を弾く肉体になる。。
その防御性は凄まじく、光速で突っ込んできた黒ウサギが所有する、刺さればどんな相手でも滅ぼすまで雷を放ち続ける英雄カルナの神槍である疑似神格・梵釈槍でさえ受け止められ、艦砲を防ぐ特殊合金装甲さえ綿のように切り裂く、ミノタウロスの斧の一撃さえ右腕で軽々と受け止める程。必断の恩恵すら無効化する。
しかし、武具の一撃による衝撃はキッチリ肉体に伝わるので、切れずとも殴り殺される危険性はある。その上、ネメアの獅子はヘラクレスに絞殺された、という伝承上、所有者もまた打撃や絞め技によるダメージが跳ね上がるというデメリットがある。
ただし、対象が星の恩恵を所持した上で必断、星霊殺しの力を持つ武具を使用すれば斬撃を通す事ができる。
以下ネタバレ
Override with Another crown
体内の 第三種星辰粒子体 を加速させる事で取得した人体疑似粒子化能力。
血中粒子加速装置(Blood accelerator)、通称B.D.Aと呼ばれる手袋型デバイスを使い、粒子体の実験台となっていたアルビノの少女を救った際、十六夜自身の体内の粒子体を加速させた事で開眼した。
上記の獅子座の太陽主権を除いた各種能力は十六夜の粒子体が加速していない、言わばただの上澄みの能力でしかなく、この疑似粒子化能力こそ彼の本来の力と言える。
その内容もまた凄まじく、粒子体が人体の血管内で加速すると光速の10倍にも達するという特性上、人体疑似粒子化を行うと第六宇宙速度、即ち光速で動き回れるという破格の能力を発揮する。
そのスピードたるや満身創痍とはいえ、神域の武技を修め、あらゆる武の原典にして頂点とも言えるアヴァターラの化身が一柱たるパラシュラーマさえ、一切見切ることが出来ないレベルである。
単純な身体能力も大幅にパワーアップしており、自我喪失且つ傀儡化していたとはいえ、大陸を両断可能なヘラクレスの一撃を片手でキャッチするレベルにまで達しており、文字通り従来の十六夜とは比べ物にならない別次元のレベルに達している。
しかし現状体に高度に融合した粒子を高速度で使用するため、使用後には貧血を起こし、3日間の休憩が必要とされる。