「もうすぐ帰るからな、かずみ・・・・・・」
CV:野沢那智
概要
アニメ『学校の怪談』の第10話に登場した、タクシードライバーの幽霊(地縛霊の一種と言えなくもない)。厳密には穴まねきと呼ばれるお化け達の一部である。古い型のブルーバード型のタクシーに乗っており、宮ノ下さつきたちを乗せて、一度は騙す形で狸穴トンネル内に連れ込んだ。
本当は娘を持った優しい父親で、恐らくは寂しさ等によって引きずり込んでしまったのではないかと思われる。しかし物語終盤、さつき達を再び乗せて穴まねきから救い出すと、自分の過去を語らいながらも無事にトンネル外へと送り届けた。霊眠(というよりも成仏?)したのかは不明。生前は蜜柑が大好きであった。
生前
生前の運転手は、家に娘のかずみと、祖母の3人暮らしであった。帰宅すると、かずえが笑顔で出迎えては、運転手も優しい笑顔で返したり、炬燵で娘と一緒に蜜柑を剥いて食べたりと、非常に温かい家庭であった。また、かずみから手作りのお守りを渡され、非常に喜んでいた。
しかし、その幸せも長くは無かった。土砂降りの雨と雷の鳴っていた夜、運転手はいつもより急ぎでタクシーを運転し、帰宅していた。その日は娘の誕生日であるのが理由だった。そして、あの狸穴トンネルへ侵入した矢先、遅れて反対側から侵入してきたトラックと正面衝突(狭いトンネルからしてそのように推測される)という悲惨な事故にあい、そのまま命を落としてしまった。
また、さつき達をトンネル外へ逃がす時にも、バックミラーにかけてあった手作りの御守を見ながら「せっかく、娘が作ってくれたのに・・・・・・」と無念さを語っている。そのかずみという娘は、事故の日から大人になって、父の亡くなった狸穴トンネルへ花束と蜜柑を持ってお参りに来ていた。
劇中
冒頭で山の土地開発が進む影響で主要道路が閉鎖されてしまい、その迂回路として、今まで閉鎖されていた狸穴トンネルと呼ばれるトンネルを開通させることになった。塞がれていたトンネルが開通された後、山に霧がかかり、その中を突き進むブルーバードが目撃される。
山中に設置されている観測用の温度計を記録し、帰る途中だった青山ハジメが狸穴トンネルの入り口前で戸惑っている時に現れ、「お客様、お乗りになりませんか?」と声を掛けた。不気味な雰囲気と時代外れの車、運転手の様子に耐え切れず、ハジメは乗らずに走って逃げてしまう。
その後、さつきやハジメ他のメンバーが再度、狸穴トンネルにやって来た時に、再び現れる。そこでまた「お乗りになりませんか」と声を掛け、一同を乗せると発進させた。前にハジメを呼び止めた理由は、狸穴トンネルは良くない噂が多くある為、そこへ入ろうとしていたハジメを連れ戻そうとしたらしい。
異変に気付いたのはカーヤこと天邪鬼だった。柿木レオも、乗っている車が古い事が気がかりになり「いつ買ったんですか?」と問いかけると「おろしたての新品ですよ。買って2ヶ月ってとこです」と答える。
さらに「そろそろ着いたみたいですよ・・・・・・」と到着を告げる。不審に思ったレオが聞き返した途端、運転手の顔はゾンビの様に一瞬に腐り、さつき達に向かって言った。
「狸穴トンネルの入り口ですよ!」
その後、穴まねきの一部として、自らの生前の記憶をさつき達に見せる。それは父親として、一人の娘「かずみ」と仲良く暮らす姿だった。別の場所では、不慮の事故で無くなった後の、葬儀の様子も映し出されていた。
見せると同時に、さつき達の生気を吸い取っていったが、途中で恋ヶ窪桃子が宮ノ下佳耶子と初のコンタクトを取り、辛うじて幻想から目覚める。しかし、再び穴まねきに取り込まれそうになったところを、運転手がタクシーで掛け付け乗り込むように催促した。
疑ったハジメやレオだったが、桃子が「大丈夫だから」と説得して乗り込み、穴まねきを全速で振り切った。運転手は思わず、自分の生前を語りだし、このトンネルの事故で死んだことを明かした。そして、今度は無事に、さつき達をトンネル外へと送り届けたのである。
引き込んだ理由
何故、さつき達をトンネル内へ連れ込み、後になって助け出そうとしたのか、真意は不明である。幻想を見せた理由に対して、カーヤ自身も「さあな」と答えを濁している。だが、娘への強い思いが地縛霊の様な存在へと変えてしまい、ましてや霊として暗いトンネル内に留まり続けた寂しさと、死後なおも会いたかった娘への想いを、さつき達に伝えたかったのかもしれない・・・・・・。