概要
強豪校・洛山バスケ部の一部員である黛千尋は、自分のバスケの才能に限界を感じ退部届けに署名する。ラノベのような非日常に憧れ屋上に通いつつも、そんなことは物語の中でしか起こらないのだと諦めを抱き、平凡な日常を送っていた。
しかしある日のこと、いつもの定位置でラノベを読んでいると、上から邪魔をする声が。やれやれと顔を上げれば、赤毛にオッドアイを持つ一年バスケ部主将・赤司征十郎が佇んでいた。突然「新しい幻の6人目になってほしい」と告げられた黛は、なぜか赤司に気に入られてしまいシックスマンになることとなる。
これは、そんなもう一つの影の物語……(ラノベ風に説明しています)
設定過多な天才ヒロインに振りまわされる、非日常に密かに憧れるやれやれ系凡人主人公の組み合わせというラノベ風カップル。
物語終盤ではそんなやれやれ系凡人主人公の本心からの言葉が、絶体絶命な二重人格ヒロインが覚醒する鍵となる。それなんてラノベ。
赤司が僕司であるか俺司であるかによって、両者の関係性が大きく異なる場合があることもこのカップリングの特徴。
原作の描写では、黛を屋上でスカウトしミスディレクションを伝授したのが僕司であり、黛のある言葉によって再覚醒したのが俺司であるとされる。
僕司は黛の名前を呼び捨てにしてタメ口を用いるのに対し、俺司は「黛さん」と呼び敬語を使っている。
作品の傾向により、赤司が僕司であるか俺司であるかを明記すると良いかもしれない。
ラブコメからドシリアス、主将とお気に入り部員の関係から年上と年下な関係まで、多種多様な要素を楽しめるカップリングである。
原作・小説での描写
WC決勝以前の関係
赤司は退部した黛を見つけ出し、自ら接触してシックスマンにならないかと勧誘しており、珍しく自身に歯向かってきた黛を気に入り、直々にミスディレクションを授けた経緯がある。
小説第五巻の『とある六人目の休息』では何も言わなくとも自分の意思を汲み取る黛に対して「賢い」と称するなどすっかりお気に入りの様子。
小説五巻において、赤司によってバスケに復帰した黛は、シックスマンとしてバスケの練習をするうちに、バスケに対して熱くなったり楽しいと感じるようになった自分に気づく。
そして黛は赤司のことを『異世界(知らない自分)への扉を開けてくれたエイリアン』と称した。黛の愛読しているラノベ「時計仕掛けの林檎と蜂蜜と妹」に登場するメインヒロイン・林檎は宇宙からきたアンドロイド。つまりお察しください。
また、赤司が黒子のことを語る際に無意識の内に熱くなって大事なはずの文庫本を握り締めたり、普段淡々とした性格であるにもかかわらず、WC決勝や小説で赤司と話す際には元祖・影である黒子に対して対抗心を剥き出しにするなど、彼が赤司に抱く感情は並大抵のものではないことが窺える。
そして小説の終盤、黛はこう語っている。
『扉』を開けてしまったからには、最後までつきあってやるのも悪くない。
WC決勝・誠凜VS洛山戦において
第232Q~
序盤、シックスマンとしての仕事を始めた黛を公衆の面前で堂々と自慢する赤司。
233Qでは屋上での出会い、赤司が黛に対してシックスマンとして勧誘した場面が回想として描かれている。
245Qでは黛からのパスで赤司はダンク(所謂アリウープ)を決めた。アリウープは難易度が高く息が合っていないと成功しないことから、二人の息の良さが垣間見える。
またゾーン&野生に入った火神と対峙した際に、一歩も動けなくなってしまった赤司に唯一ヘルプへ向かったのは黛であった。
しかし251Q、黒子に対して対抗心を燃やし目立ってしまったがために、影としての役割を十二分に果たせなくなってしまった黛。
交代を勧める周囲を遮り、赤司は「おまえの力はまだ必要だ」と黛の続投を言い渡す。しかし彼の真意は、パスを通す道具として黛を利用することであった。
黛は上記の事実を知り酷くショックを受けつつも、無意識の内に視線誘導の働きを続けた。
他のチームメイトに何を言われようと無関心だった黛が、赤司にそう扱われたことに対し生気を失ったかのように絶望するシーンから、前述の通り彼は赤司にかなり思い入れがあったことが窺える。
その後、黛は赤司に対して反抗はせずに、ただひたすら赤司の意を会話なしで汲み取ったりと献身的なプレーを続ける。
第257Qにて
第4Q前の休憩時、唯一黛に対しては言葉をかけずに背を向ける赤司。
その一方で何も言葉を交わさずとも赤司の意図を読みとる歪みない黛。
そんでオレもこのまま出ろってかい
使える間は出がらしになるまで使うなんて
ずいぶんと倹約家じゃねーの おぼっちゃん
上記の皮肉交じりのモノローグは、どことなく漂うエロさと「おぼっちゃん」呼びも相まって
うっかり目覚めた大きなお姉さんたちも多いのではないだろうか。
その後、黛は会場内で唯一赤司の僅かな変化に気づき、違和感を覚える。
第265Q~266Qにて
黒子・火神の連携技を前にゾーンを破られたショックから大崩れしミスを連発した赤司は
無冠らチームメイトから非難を浴びる。それを不満そうな顔で黙って見つめる黛。
タイムアウト時、赤司はついに監督からは交代を告げられそうになる――が、それを止めたのは黛だった。
ベンチに腰を落とす赤司を見つめ、黛はこう言い放った。
無様だな
慰めたり励ましたりするとでも思ってんのか?
しねーよそんなこと オレは聖人じゃねぇし
ただ気に入らなかったから文句言いたかっただけだ
あんだけ偉そうなこと言っといてお前こんなもんか
オレにはそうは思えないんだけどな
屋上で初めて会った時とは別人だ
つーか 誰だお前
黛らしく甘い言葉をかけずに毒づきつつ、あくまで自分のためだと主張しつつも
赤司の実力はこんなものじゃない、少なくとも自分はそうは思えないと自分の赤司への信頼を口にする黛。
「誰だお前」はそんな発破がけのつもりで出た台詞であったが、結果的に赤司の深層心理に響き
俺司を呼び起こさせる鍵となった。
逆に言えば黛は僕司を眠らせたきっかけであるとも言えるため、ここは大きいお姉さまの妄想や解釈の見せ所ではないだろうか。
しかしこの緊迫した状況の中、屋上での出会いを忘れず口走る黛さんマジ歪みねえっす。
第268Qにて
黛の目を見てパスを出す赤司、赤司への信頼を口にし全力でパスを出す黛。
(……はぁ?いいのかよ赤司 "あそこ"で
危なくねーかとられても知んねーぞ ……まぁいいケドよ)
「今のお前がそう言うなら大丈夫なんだろ ならオレは思い切りいくだけだ」
深い事情は知らなくとも、今・この瞬間の互いを信じパスを繋ぐ熱いシーン、のはずなのだが。
極めつけはこの間、赤司が何も言っていないことにある。
黛は"あそこ"とパスする位置を細かく把握してた上、赤司が「言う」と口にしていることから、彼には赤司の声が聴こえていたようにしか。どういうことなの……。
二人のテレパシー交信疑惑が一層深まった瞬間であった。
黛の赤司愛からきた幻聴という説も(ry
少年ジャンプ「漫画塾」にて
2014年8月15発売の週刊少年ジャンプに掲載されていた漫画塾というコーナーで、赤司と黛の関係を「光と陰」として紹介される。
影でなく陰であることは果たして何か意味があるのか、それとも単なる誤字なのか、様々な憶測が交わされた。
気になる人は影と陰の意味を辞書で調べてみることをおすすめする。
なお後述の「epilogue5(洛山高校)」では黛は「影」と表現されていた。
決勝後
「epilogue5(洛山高校)」にて
最終回から二ヶ月半――。燃料に飢えアニメ三期を待機していた生身のファンに襲いかかったのが、ジャンププラスにて配信された公式番外編「epilogue5(洛山高校)」である。
決勝後、三年生の引退式があったが、黛はこれを欠席する。校舎内で文庫サイズの本(恐らくラノベ)を読みながら歩いているところを、赤司に呼び止められた。
「黛さん」と呼び敬語を使う赤司に疑問を抱く黛だったが、赤司はあれは主将としてで今はただの一年と三年であるから、と答える。
「…今まで おつかれさまでした」
「…おう」
どこか憂いの表情を浮かべて、淡々と言葉を交わす二人。
引退式にでなくて良かったのかと問う赤司に対し、ああいうのは好きじゃないし、チームに思い入れがあるわけではない、ステキな思い出があるわけでもないと答える黛。
しかしすぐに「…けどま」と切り返し、黛は振り向きざまに笑顔を浮かべて言った。
「最後の一年は悪くなかったよ おかげさんでな」
赤司のスカウトから始まり赤司によって幕を下ろされた、黛の最後の一年間のバスケ。
出会いからあの決勝戦まで、僕司をひっくるめた赤司との一年間を、黛は笑顔で肯定したのである。
黛赤ファンに限らず、多くの作品ファン、赤司ファン、黛ファンが衝撃を受けたことは言うまでもない。
その衝撃的な台詞以降のコマは後ろ姿とフキダシのみであることから、黛の台詞を聞いた赤司の表情や、下記の微笑ましいやりとりの際の二人の様子は神のみぞ知る。もう末永く結婚してください。
「…つーわけで 卒業まであとはそっとしといてくれ。
これで明日フツーに話したりすると なんかカッコ悪りーから」
「クス…わかりました」
卒業までということは卒業後はそっとしとかなくてもいいんですかそうですか。
…なお黛の誕生日である3月1日は、例年多くの高校が卒業式を行う日である。
二人にとって様々な出来事があった一年間を肯定し、二人きりの引退式を行い、卒業後という未来まで明るいという黛赤。
まさに公式が最大手という言葉が相応しいカップリングではないだろうか。
公式ファンブック「くろフェス」にて
ベストコンビ部門で「赤司征十郎&黛千尋」がなんと第六位を獲得。
「洛山の"光と影!"」として紹介されている。
また黛の項目にあるNG迷場面では「赤司と一緒にラノベを読んでは嫁談義…そんな未来があってもいいじゃないか」と記載されている。
原作者完全監修のファンブックで卒業する黛に赤司との未来を期待するコメントが記載されているあたり、やはりこの二人の関係は未来を感じるものであるらしい。
また黛はインタビューで、バスケを完全に辞めず、またいつかやる旨を語っている。
三年当初には、才能に限界を感じて自らバスケ部を辞めていたにもかかわらず、だ。
この心境の変化には、赤司による「最後の一年間は悪くなかったバスケ」が関わっていることは言うまでもないだろう。
また赤司の項目における原作者からの一言で、僕司は交代したものの完全に消えてない事実が明らかになる。
黛を見つけ出して再びバスケを与え、六人目としての技術を教え込み、黛の言葉によって引っ込んだ僕司が、再び黛のもとに現れることもあるかもしれない。
小説版「ウィンターカップ総集編 扉の向こう」
作者描き下ろしのイラストが載っている。
映画パンフレットを読んでいる赤司と、笑いをこらえながら赤司に某キャラクターのコスプレをさせようとしている黛。
緑間や実渕の髪形を見るに、恐らく黛卒業後の時間軸なので、黛と赤司の関係は黛卒業後も続いているのかもしれない。
劇場版「LAST GAME」にて
「EXTRA GAME」では登場しなかった黛が登場。中盤で試合会場に現れ、観客席から赤司たちの試合を観戦している。
俺司が僕司に力を借りる直前に「ここから巻き返しってとこか」と会場に現れる黛、
僕司の登場にまさかと驚く黛、
ナッシュに煽られる赤司を見下ろす黛、
赤司が人格を統合しナッシュを抜いた瞬間にはっとする黛、
VORPALSWORDSの勝利に微笑む黛、
など主に赤司に関わる場面で黛のシーンが追加されている。
映画制作スタッフ曰く、赤司の内面変化を客観的に見守るキャラクターとして黛を登場させたとのこと。
黛が頭角を現したのがWC決勝の途中であるため、非常に遅く登場したCPではあるが
上記のように原作での燃料がとんでもないため、今後のアニメ・グッズ・CD等の展開が非常に期待できる有望な組み合わせである。
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逆CP赤黛