「大丈夫。あなたにはアメリカ製を用意したから。」
「45口径か。…………こっ、これは!」
概要
MGS3に登場するM1911A1がベースのカスタムガン。命名は小島監督。
本記事での名称はMGS4での記載に基づくが、資料によって「スネークマッチ1911」であったり、「M1911A1カスタムスネークマッチ」であったりする。
作中、エヴァがソ連の西側兵器の保管庫から持ち込んだもので、元は西側の将校の所持品だったらしい。
そのため、「スネークマッチ」という名称に反して、スネーク専用やスネーク自身がカスタムした銃というわけではない。
もともとスネークは個人的に持ち込んだ未改造のM1911A1を使用していたため、プロとして信頼を置いた機種ではあったのだろうが、同型で周到なカスタムが施されているこの銃を入手した際にはかなり興奮気味で、らしくない多弁でガンマニアっぽい蘊蓄を披露し「全てが吟味されている」と評した。
そのカスタム内容はパーツ全体におよんでいる。
- 強化型に変更されたスライドに、滑り止めのコッキングセレーション(溝状の彫刻)を追加。また、溶接と削り出しをひたすら行い、フレームとのかみ合わせを隙間が出来ないようタイトにしてガタつきを無くしている。
- フィーディングランプ(弾を薬室内に滑り込ませるための傾斜)は鏡のように磨かれ、弾丸の装填がスムーズになる。ライフル銃などならともかくハンドガンでこの改造はあまり効果がないため、こだわりや趣味性の強い銃という面もあるようだ。
- スライドリリースレバーやサムセーフティレバーを操作しやすいように大型化。
- グリップセーフティのテールを握りやすくすため大型化し、強く握り込まないと発射できない安全機能は削除されている。
- ハンマーを軽量化されたリングハンマーへ交換。
- 誤動作防止の為にマガジンキャッチボタン(押すとマガジンが外れる)を低く切り落とす。
- より握りこむためにトリガーガードの付け根を削る。
- メインスプリングハウジングを無印M1911の物へ変更。
- アイアンサイトはオリジナルの3ドットタイプに変更。
- 銃身が延長されているためスライド先端から突き出し、そこにサプレッサーを装着できるようにねじが切られている。
- トリガーは無印M1911のロングタイプで6つの滑り止めグルーブと6つのホールが設けられ、更にトリガープル(撃発までに必要な押し込みの重さ)も軽くなっている。引き金が軽いので暴発の危険性が高まるが、力みによるブレが減るので命中精度が高まる。スネークく曰く「プロ仕様」。
- 弾倉の入り口であるマガジンウェルをサイズアップしてベベル(傾斜)を追加し、弾倉を素早く差し込めるようにしてある。
- トリガー下にあるグリップのフロントストラップ部分に滑り止めのチェッカリングを追加。
- スライドにはNM7267719の刻印。
などなど、冷戦期が舞台のゲームということもあり、現代で使用されるMEUピストルといったM1911カスタムの原型ともいえるような、当時としては先進的なカスタムとなっている。
特に命中精度に関しては、歴戦の兵士であるスネークをして「レストマシンでの射撃なら25ヤード(22m)、ワンホールも狙えるに違いない」、つまり銃を固定して反動や手ブレなどを考慮しない機械的な精度測定であれば、撃った弾がすべて同じ位置に命中して弾痕が一つしか開かないほどだ…と実戦で撃つ前から感嘆させた。
入手したスネークは独自のカスタムとしてグリップパネルの一部をナイフで削っている。これは削った部分にナイフの柄を当てることでを銃とナイフを同時に持ち、CQCで併用するためである。ゲーム内でも削った前後でモデリングが変化している。
なお、実際には銃声を避けナイフを主体としたい隠密行動の場合は銃が邪魔になり、銃を主体にしたい時は持ち方が不自然かつ両手が塞がってしまうなど不都合が多い。
あくまでもゲームのミリタリー監修に関わった特殊部隊経験者の人物が考案したフィクションの理論である。
また、「スライドをタイトにする」という改造は機械的な余裕が無くなり、かえって壊れやすくなる可能性があるため現代の特殊部隊用のピストルでは行わなれい。
どちらかといえば実戦用というよりはレースガン(競技銃)に近い、元の所有者の鉄砲趣味がうかがわれるカスタムである。
主人公からも太鼓判を押された名品ではあるのだが、MGS3は隠密行動がメインのゲームであるため戦闘を避け敵を殺傷しないことも評価のうちで、高評価を目指すプレイヤー等には蜂の巣や監視カメラ等を撃つぐらいの用途にしか使われないという悲しみも背負っている。
制作には日本のエアソフトガンのカスタムショップであるOCT FOUNDERが関わっており、ゲーム開発時期にMEUピストルが流行していたことやデルタフォースで使用されていたウィルソンコンバット社の1911等もイメージしつつ、60~70年代にハンドメイドで作られたタクティカル1911の元祖という設定を意識してデザインされた。
それにしてもここまで凝った設定になったのは、担当のコナミスタッフが大のM1911マニアだったからだという。
現実の小道具としてもモデルアップされたのだが、既存のエアソフトガンやモデルガンのカスタム品ではなく、全てのパーツを1から制作した特注品でとても値段が付けられるような代物ではないそうで、現在はコナミ本社に保管されていると予想されている。
元々は「METAL GEAR SOLID THE TWIN SNAKES」に出す銃を考案する際に銃の商標権が問題となった為、OCTがパラオードナンスベースの特注カスタム1911の登場を提案しており、没となった物のそれがスネークマッチの登場に繋がったとのこと。
シークレットシアターでは、この銃にマニアックな解説を行ったにもかかわらず、実は銃型ライターだった、というオチのネタムービーがある。
MGS3終了後はオセロットが湖に廃棄してしまったらしい。また、MGSPWではザ・ボスに分解されている。
MGSPWではMSFのスタッフがスネークの記憶をもとに再現したモデルが登場するが、グリップを削った位置が異なったり、トリガーがノーマルのものだったり、スライドのカラーも微妙に異なる。あくまで再現である。
MGS4ではパスワードを入力すればMGS3と同仕様のモデルが使用可能だが、現在はパスワードが使用できない為、ほぼ使用不可能である。
架空銃路線が浸透し始めたMGSSO以降はM1911ではなくMGSVに登場したD114に変更され、MGS3のパチスロ版ではD114の前身と思われるD104コンバットピストルのカスタム品という設定で登場した。
なお、架空デザインに関しては比較的控えめでコッキングセレーションの部分がD114準拠で凹んでいる程度である。
リメイク版である『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』にもデザインそのままで登場することが決定している。
WA社が本銃をエアソフトガンとして商品化しているがコナミに無許可で制作された非公式品であるため、商標回避の意味合いもあるのかフレームの削り込みが無かったりと微妙に細部が変更されている。
また、OCT FOUNDERも「個人製作は自由だが、ゲームの権利的な問題で販売は非推奨」とアナウンスしている。