概要
1963年に合意されたNATO基本軍事要求39号に基づいて1960年代後半から開発が始まり、1978年に製造が開始された155mm榴弾砲。
有効射程は標準で24㎞、ロケット補助推進弾で30㎞。
最大連射速度は15~20秒で3発、持続連射速度は毎分2発。
砲弾装填用トレイと半自動式装填補助装置を搭載しているので素早い装填と高い連射速度を実現している。
通常は車両により牽引されるが、水平対抗ガソリンエンジンとマニュアルトランスミッションを積んでいるため、短距離の陣地変換ならば最高時速20㎞/hほどでの自走が可能。
大型輸送ヘリコプターでの空輸も可能ではあるが、非常に重いため実用的ではないとされている。
開発国のイギリスやイタリア、ドイツのほか、オランダ、エストニア、オマーンなどで採用されている。
このうちイギリスはL118105mm榴弾砲やMLRSに置き換えられる形で1999年に、ドイツはPzh2000に置き換えられる形で2002年に退役している。
安価で整備性に優れることから日本の陸上自衛隊も制式採用し、約400門を日本製鋼所でライセンス生産、運用している。
国内正式名称は「155㎜りゅう弾砲FH70」。広報向けに「サンダーストーン」という愛称があるが、例によってあまり浸透しておらず「エフエイチ/エフエッチななまる」、「エフエイチ/エフエッチ」、「新15榴(155mm榴弾砲M1が「旧15榴」)」などと呼ばれる事の方が圧倒的に多い。
補助動力装置として富士重工業製水冷水平対向4気筒エンジンを搭載している。
配備数は本砲を採用した国でも最も多いが、老朽化に伴い今後は19式装輪自走155mmりゅう弾砲(旧名:火力戦闘車)に置き換えられる方針である。
陸上自衛隊音楽隊ではピョートル・チャイコフスキーの「1812年」の終盤の「大砲」として使用されることがあるが、初演時にはそれまで使用されていた105mm榴弾砲M2A1より発砲音が大きすぎて失敗するという珍事が起こった。その後は音楽隊から距離を離して演奏している。
とはいえ礼砲としては使い勝手が悪いこともあって105mm榴弾砲も関東補給処に少数が残されることとなった。
登場作品
『ゴジラVSビオランテ』と『ゴジラVSキングギドラ』で中砲けん引車に牽引された状態で登場するが発砲シーンはない。
北海道矢臼演習場で17式改TAに対し使用。
映画撮影中に突然現れたドラゴンに発砲する。
漫画版で特地に持ち込まれた自衛隊の装備として登場。
漫画版で99式自走155mmりゅう弾砲の代わりに登場。