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概要編集

韓国軍では2000年代、アメリカ軍が研究している複合型小銃が今後のスタンダードになると予想し、開発する部署や人員が配備された。

コンセプトとしては「OICWのコピーではなくK201の代替となる同等レベルの火力を持つもの。」として開発がすすめられ、2008年にXK11のプロトタイプが完成した。


また、軽量化の為かXM29でセミオート方式だったランチャーはボルトアクションになり材質も変更されている。


下部の5.56mmモジュールに関してはあまり情報が公開されておらず、M16の構造を使用した物、と言われていたりK1機関短銃の構造を使ったもの、等情報が錯綜している。


K11最大の特徴は、20mm炸裂弾ランチャーの機構であり、銃上部に設置されているサイトで目標を捕捉すると、内部に組み込まれたレーザー距離測定器を介してマイクロプロセッサが距離を測定する。

この距離を弾丸の回転数に換算し、弾頭信管に入力することで、炸裂弾を目標上空で正確に炸裂させることができ、遮蔽物などに隠れている標的を攻撃する場合において最大限に威力を発揮することができる。


だがこの複合小銃、実はとんでもない地雷だった。


問題点編集

まず重い

アサルトライフルにグレネードランチャーと火器管制装置を丸ごと追加する(銃器のアンダーバレルに別の銃を組み付けるという改造はあり、「M203グレネードランチャー」のようなアサルトライフルに取りつけるグレネードランチャーも存在するが、重量増加を抑えるためにも普通なら必要最低限のパーツだけを組み付け、機能もシンプルなものにする)構造上、どうあがいても重くなる。本銃は未装填で約7Kg(改良型でも6Kg)。

本来ある程度の携行性が要求されるアサルトライフルとしては未装填状態で既にこの重量と言うのは割かし致命的であり、弾薬をフル装填した時の重量など考えたくもないレベルである。

参考までにアサルトライフルの代表的な存在であるAK-47やM16の重量は3~3.5kg。

軽機関銃のPKMは7.5kgなので、どちらかと言うと「グレネードランチャーをつけたアサルトライフル」というよりも「アサルトライフルをつけたグレネードランチャー」と言った方が近いのかもしれない。(ロシアの生み出した、アサルトライフルなのか重機関銃なのか対物ライフルなのか分類に困るゲテモノライフル「6P62」の重量が18kgなのでそれと比べればまだマシな部類だが…)


そして高価

電子装備をふんだんに盛り込んだこの銃は、高価で知られるPSG-1やM82A1(どちらも7000ドル以上)を余裕で上回るお値段となった。

1丁辺り1600万ウォン、日本円換算で140万円。参考としてHK416が1丁15万円、国内配備限定のため高価にならざるを得ない89式小銃でも、1丁30万円程である(調達数で変動するので平均価格)。

また、距離測定機能の付いたグレネード弾も高価であり、量産品でも一発で1.6諭吉が飛んでいく。


このほかにも構造が複雑化して故障しやすい電池が切れるとただの鈍器になるなどの問題があるが、これら諸問題を解決できなかったことから実用に耐えないとして本家OICW計画は2004年に中止されてしまっていた。

韓国国防科学研究所はアメリカですら解決ができなかったこれらの問題を皆さんの想像通り、だいたい解決できなかった。

そして2008年には問題点のほぼ全てが解決できないまま正式採用が決定してしまった


ここまでの時点で嫌な予感しかしないのだが、蓋を開けてみると案の定問題が続出した。


歴史編集

2010年 軍への配備が開始されるも、初期量産された80丁のうち38丁に問題が見つかる。50%近い初期不良率のため供給を中断。

2011年 グレネード弾の爆発事故が発生し兵士が負傷、事故原因が判明するまで量産を停止。

2012年 低温環境での搭載バッテリーの性能低下が問題になる。防衛事業庁は配備済みの全量をリコールし配備を中断。

同年   すべての欠陥を改善したと発表、量産が再開される。

2013年 軍への配備が再開される。

2014年 再度グレネード弾の爆発事故が発生し兵士が負傷、量産と配備が停止。調査の結果グレネード弾に磁石を近づけると最悪爆発することが判明。更に一年後には特定波長の電磁波照射で爆発する危険性も示唆された。(複雑化したグレネードが誤作動する事故にはアメリカも悩まされており、OICW派生計画中止の一因となっていた)

2015年 軍への納品予定の中から無作為に選んだ個体で全6000発の耐久性試験を実施。4000発を発射した時点で射撃統制装置に亀裂が発生したため納品を中止。

同年   納品検査における不正が発覚し関係者が逮捕される。根本的な問題解決のために再設計を行うことを発表。

2017年 再設計によりスコープにピカティニーレールなどを追加し、ハンドガードやランチャーの殺傷力などを改良した第二世代モデルであるK11Block2が開発され量産が再開される。この改良により本体重量が約1kg軽量化。

2018年 納品テスト中に排莢不良発生、再び射撃統制装置に亀裂が確認され量産が停止。開発予算が大幅に削減される。

2019年 連続射撃を行うと、射撃の衝撃でバッテリーの内圧が上がり爆発する可能性が示唆される。事業中断が提案される。


このように度重なる配備中断により、正式採用から10年経った2018年でも配備数は僅か914丁にとどまっていた。

何故配備してしまったのか……。


因みに爆発事故を繰り返した問題のグレネード弾であるが、距離測定用の機器を積んでいる為に20mmにしては炸薬量が少なく、破壊力が低いために大きな事故にはならなかったという。

なお、本家OICWでは20mmグレネードではエアバースト弾としては威力不足なことが分かり、後に25mmへと拡大したXM25へと移行している。


最期編集

この通りほぼ毎年のように問題点が飛び出してくる問題作だったが、ここまで予算をかけた成果を無駄にしたくなかったのか約10年間も使われ、粘り強く改修・開発も続けられていたが、いずれも根本的な解決には至らず、値段が14000ドルと高すぎた事と複合型小銃という発想自体が時代遅れになってしまっていたこともあり、韓国防衛事業庁は、2019年12月4日をもって正式にK11複合型小銃事業の中断を発表。この決定は防衛事業推進委員会により正式に議決された。

研究開発の開始された1998年から足掛け21年、韓国軍への配備開始から9年目のことであった。


なお韓国メディアではUAEに40丁を輸出することで合意したと報じられたが、実際は輸出実績は全くなかったとされている。


ちなみにアメリカ軍のXM25に対応する兵器として本銃のグレネードランチャーのみを独立させた派生型のSTG-20も2019年に公開されたが音沙汰はない。(元ランチャーがアレだったことと、元のXM25が爆発事故を起こして使用が全て撤回されたのも原因だろう。)


評判編集

この銃は上述の通りかなり評判の悪い(主にグレネードランチャーが)銃ではあるが、韓国国内の評判も「K2にK201(韓国のM203のライセンス生産品)を付けて使い続ければいい話で税金の無駄」等ボロカス言われてしまっているレベルである。

一応デザインだけ見ればゲームなどで出てきそうなSFチックなかっこいいデザインなのだが、前述のとおり重すぎて実用に耐えない代物である。


そもそもの設計思想自体を軍事大国アメリカが間違えていたのが一番の原因であるとフォロー出来ないことも無いが、そのアメリカですら数々の問題を解決できず最終的に放棄した代物に、何故技術力で大きく劣るにも拘らず手を出してしまったのかという疑問が残る。

まぁ、技術力が不足しているにも拘らず色々なものに手を出して、結果問題作を多数生み出してしまうというのは韓国ではよくある話なのだが…(一応補足しておくと、最新技術に手を出した場合、ノウハウが一切ない手探り状態での開発になるので、その過程で欠陥品や問題作が生み出されてしまうというのは韓国に限らずよくある話ではあるが、韓国の場合はそこに中抜きや要求値の引き下げ、不正行為等といった悪癖が重なってそれが頻発しやすい傾向にある)。


余談編集

お隣の北朝鮮にもよく似た複合小銃が軍事パレードで現れる事があるが、あちらはAK-74コピーの98式自動歩銃がベースであり全く別物ではあるが、韓国ではグレネードランチャーの部分がK11の物と似ている(ボルトアクションも含めて)為、コピー品扱いを受けており、ハリボテの可能性を指摘されている。

また中国でも類似したコンセプトでQTS-11(11式単兵総合作戦系統)が開発された。こちらはグレネードが単発に軽量化、簡略化されており、値段が高いこと以外に目立った欠点などは無いようで、ある意味複合型小銃系統の派生の中で他が悪すぎるのもあるが、一番成功したモデルと言える。


実射映像編集


創作作品において編集

  • バットマンシリーズコミックスレッドフード

ペンギンがこの銃を買う場面がある。

  • ATHENA -アテナ-

14話に登場。チョン・ウソンが使用し、仁川大橋の銃撃戦にてUAVを撃ち落とす。(このシーンはミッションインポッシブル3でイーサン・ハントがG36Kを使ってUAVを撃ち落とすシーンのオマージュ。)ちなみにグレネードランチャーは使っていない。

アサルトライフルの戦術人形として参戦。問題点が山積した実銃の要素を「ギャンブル要素が強く、決まればえげつないが安定しないアクティブスキル」「重傷時イラストで銃が盛大に爆発している」「特技が爆破と科学実験なマッドサイエンティスト」等という風に表現している。


関連タグ編集

K1機関短銃 K2自動小銃 K3軽機関銃 K5 K7機関短銃 K16機関短銃

第707特殊任務大隊...採用されてはいるらしいが使用されている記録は一つもない。

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