概要
ステアー社がそれ以前に開発していたロス・ステアーM1907の改良モデルであり、ストライカー方式であった1907とは異なり、ハンマーが露出している方式であるため、製造会社のステアーに撃鉄を意味するハーンを付けた「ステアーハーン(Steyr-Hahn)」という通称がある。
やや見た目が現在の拳銃のような洗練されている印象があるが、リロード自体は現在の拳銃のような弾倉交換式ではなく、クリップを使ってグリップ内のマガジンに弾を込めるC96のような方式であり、クイックリリースキャッチを押すことで弾倉内の弾薬をすべて排出することができるという独特な機能が備わっている。
当初の名称は製造された年から取られ「M1911」だったが、こちらは当時はリボルバーがまだまだ主流であったことと、主に輸出が主の民生用であったため、小規模の採用で留まっており、軍で本格的に採用されたのが1912年だったため、現在は民生用がステアーM1911、軍用モデルがステアーM1912として区別されており、FPSゲーム等に登場して知名度が上がった現在ではどちらかといえばM1912の名前で呼ばれる方が多い。(そもそもアメリカ製同名の拳銃が有名になりすぎて区別が全くつかないというのもある。)
弾薬は9×23mmステアー弾を使用しているが、1938年にナチス・ドイツとオーストリアが併合した後、ドイツ軍向けに6万挺製造された際には9×19mmルガー弾(パラベラム弾)仕様に変更された9mmP12(Ö)が製造された。
1916年にはセミフル切り替えを可能としたM1912/P16というモデルが製造されており、こちらはストックが装着され弾倉が8発から16発に拡張されている他、何気に世界初のマシンピストルでもある。
ちなみにこちらは近距離で効果的な威力が出せる便利なサイドアームとして使われた他、ナチスのSSにも使われていたとのこと。
また、これを横に二挺繋げたような外観のDoppelpistole M.12も開発されそうだが、使用された記録等は残っておらず、試作止まりだった可能性がある。
登場作品
おそらくこの銃をもっとも有名にした作品。
第一次世界大戦が第二次世界大戦の陰に隠れて当時はあまり有名でなかったこともあってか、第一次世界大戦にフォーカスを当てた本作ではタクティカルリロードを行う際に弾倉内の弾薬をすべて排出してばら撒くアクションを行うことにインパクトがあったためか、多くのプレイヤーに強い印象を残すことになる。
また、バリエーションとしてM1912/P16も登場しており、こちらはこちらで高いレートと性能を誇ることで強武器として一時期君臨していた他、バースト仕様になった試作モデルもバリエーションとして登場した。
- バトルフィールドV
前作と同じく登場するが、原作で派手であったものの不自然さが強いタクティカルリロードのアニメーションは左手で排出した弾薬を受ける、というアクションに変更されている。
- CoD:WW2
M1911のバリアントとして登場し、M1911のアニメーションそのままであるため、実銃とは異なりマガジン方式になっている。
後半にオックスフォード卿がアンダーバレルにWebley & Scott No. 1 Mk. III信号拳銃を装着したモデルを使用している。
また、これがキングスマンピストルの原型になったと思われる。