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MSX2+とは、かつて展開されていたホビーパソコン規格である。


VDPチップ(今で言うGPU)をさらなる上位互換機種のV9958に増強することで最大約19000色同時発色が可能となった。MSX-AUDIOの反省から、デファクトスタンダードになっていたOPLLセットをMSX-MUSICとして標準化、その他細かなマイナーチェンジが行われている。


概要編集

1988年に発売されたMSX2に続く規格。VDPをV9958に変更したことと、いくつかのオプション仕様が追加になったことが主要な変更点に挙げられる。特にV9958になったことでハードで横スクロール機能が搭載され、19000色のグラフィックが扱えるようになるなど、描画関係はさらに強化された。一方でCPUや音源はそのままで(FM-PACに搭載されていたOPLL音源セットが「MSX-MUSIC」として標準化され、仕様に取り込まれたが、あくまでオプションであり、一部搭載されなかった機種も存在した)、MSX2からの劇的な変化はなくマイナーバージョンアップ扱いなハードとなった。ただ「MSX-MUSICと漢字ROMを標準搭載したMSX2」として見ればコストパフォーマンスは良かった。


主な追加仕様編集

MSX2+で標準化された仕様の目玉としては、前出のMSX-MUSICと、MSX-Disk BASICが存在する。Disk BASIC自体はMSX1の頃から存在したものであるが、標準仕様の定義が甘かったため、MSX1・MSX2では実装の詳細が機種で異なることがあった。MSX2+ではこの実装が標準化された。

オプション規格であった漢字ROMは、MSX2+からは標準仕様に昇格となった。また、辞書ROMと専用のAPIを使用して、テキスト画面で漢字混じり表示・かな漢字変換システムを提供するMSX-JEが追加になっている(ただし、キャラクターベースのテキスト用画面であるSCREEN0/1ではなく、内部的にはグラフィクス画面モードである)。

また地味な変更であるが、半角ひらがなの標準フォントが変更となった。これにより横6ピクセルキャラクターを使用するモードであるSCREEN0でも、ひらがなの視認が行いやすくなっている。なお、MSXの文字コードセットはASCIIコードの独自拡張であり、ひらがな部分はシフトJISコードでは漢字に割り当てられている部分であるため、(半角)ひらがなはMSX-JE対応テキスト(及び、現代のPCで使用するシフトJISコードテキスト)との排他使用となる。


展開編集

この頃既に、MSXはパソコンとしてではなく、ゲーム機としての評価だけになっていた。ハードは売上は悪くはなかったが、2+専用ソフトはほとんど存在しなかった。理由としては特徴である自然画モードや横スクロール機能を活かせなかったことにある。


前者はMSX2と同じVRAMサイズで19000色を表示するというモードであったが、日本のPCゲームのグラフィックは現在までにおいても自然画よりアニメ絵が主流であり、当時であればなおさら19000色でないと出せないソフトはほとんど存在しなかった。19000色表示モードは人間の目が色彩よりも輝度に敏感に反応することを利用した一種のデータ圧縮を行っており、色彩は横4ピクセル単位でしか指定できない仕様になっていたが、このため色彩が急激に変化する傾向の強いイラストレーションには向かないという弱点があったためである。これが「自然画モード」と呼ばれる所以である(同時発色数は落ちるが従来のカラーパレットを1ピクセル単位で併用できるモードがあり、後年これを利用して補完を行う技術が発明されているが、当然ながら高度な色調整技術を要求される)。そもそもMSX2の256色モードにして有効活用されていたとは言いがたい状況であった。

またハードによる横スクロール機能にしても、MSX2でもスペースマンボウ激突ペナントレース2のように制限つきながらも、横スクロールを実現したソフトは存在し、後期に主流となる18禁エロゲーではほとんど必要としなかったこともある。そもそもV99x8はVRAMの転送速度が死ぬほど遅いので元々スクロールゲームには不向きである。


MSX2+発売当時はまだMSXに力があった頃で、フロッピーディスク、FM音源、漢字ROM搭載のフルスペックMSX2を購入するという意味合いででこの機種を買う需要が多かった。逆に言えばハードとしての進歩が、ゲーム機としての需要と全く噛み合っていなかったといえる。

この頃になると、ファミコンが不得手だったジャンルのゲームがPCエンジンメガドライブでリリースされるようになり、次代のturboR松下一社だけになってしまうことになる。


なお自然画モードが搭載されたのは「MSX2にCD-ROMドライブを繋いでマルチメディアマシンにする」という構想があったかららしい。西和彦が一人で提唱していたようだが。


外部リンク編集

MSX2+ - Wikipedia

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