概要
マクラーレン・オートモーティブは、多大な功績を遺したF1の後継として本モデル「P1」を生産した。車名のP1は「ポジション 1(Position 1)」の略で、その英語が意味する通り「1位」を意味する。開発コードはP12(MP4-12Cや650SといったモデルはP11シリーズになる)。
2012年のパリサロンに出品後、2013年のジュネーヴショーで正式に詳細なスペックとともに発表された。生産台数は375台(予定)、日本での販売価格は9,661万5,000円。
P1はMP4-12C同様ディヘドラルドア、カーボンコンポジット製モノコックを採用。ボディデザインは野生動物からインスピレーションを得たとしている。ブレーキはF1マシンでも提携している日本の曙ブレーキ工業製で、ブレーキディスクは新開発のカーボンセラミック製。タイヤはピレリ(PIRELLI)との共同開発。
サスペンションはRCC(レースアクティブ・シャーシ・コントロール)により、公道モードからレースモードまで4段階に調節可能。リアウイングも公道モードの120mmから、レースモードでは300mmまで上昇する。グラウンドエフェクトやウィング効果により、最大600kgのダウンフォースを発生し、コーナリング中の横Gは最大2Gに達する。
エンジンはMP4-12Cと同じ3.8L V8ツインターボエンジンを搭載するが、最高出力は737ps/7500rpmに高められた。さらにF1のKERSに似たIPAS(Instant Power Assist System、アイパス)と呼ばれるハイブリッドシステムが搭載され、179psの電気モーターのアシストにより最高出力916ps、最大トルク900Nmを発揮させる。モーターのみでも10km以上(欧州複合モード)のEV走行が可能。バッテリーの充電へはアクセルオフ時のエンジンからか外部充電(2時間)によるものとし、回生ブレーキは使用していない。
他にもリアウィングの抵抗を減らす、現代のF1ではお馴染みの技術であるドラッグリダクションシステム(DRS)や、リア内輪にブレーキをかけて旋回能力を向上させる「ブレーキステア」といったフォーミュラ1関連の技術を用いている。IPASとDRSはステアリング上のボタンで操作する。
0-100km/h加速は2.8秒、0-200km/h加速は6.8秒、0-300km/h加速は16.5秒、最高速は350km/hと発表されている。
マクラーレンはP1がニュルブルクリンク北コースで7分を切るタイムを出したと発表しているが、正確なタイムは未発表。
バリエーション
P1 GTR
マクラーレンはP1のサーキット仕様である「P1 GTR」を公開。 マクラーレン F1 GTRの20周年を記念したモデルであり、エンジンはP1と同じ3.8L V8ツインターボエンジンだが出力はモーターとエンジンの出力を合計して1000psでP1の916psから向上している。 購入した顧客に対しては、専用のP1 GTRドライバープログラムが提供され、シミュレータートレーニングやサーキット走行などが用意される。値段は3億4000万。購入する条件として既にP1を購入していることが挙げられている。
P1 LM
マクラーレンはサーキット走行専用車のP1 GTRをベースに公道走行を可能にした「P1 LM」というモデルを限定販売すると発表。F1 GTR(詳細はF1のページを参照→F1(マクラーレン)をベースに公道走行を可能にして限定販売されたマクラーレン F1 LMの手法を踏襲している(同じくF1のページ参照)。プロトタイプ1台を含む6台が生産され、5台が販売された。XP1 LMと呼ばれるプロトタイプはマクラーレン本社に保管され、開発・テストに使用されている。P1 GTR同様モーターとエンジンの出力合計は1000psであるが、軽量なインコネルという超合金製のエキゾースト・システムや軽量化されたチャージクーラー、レキサン樹脂製ウインドウ、マクラーレン F1 GTR用の軽量シート、チタン製のボルトやテールパイプを採用し、レース用の装備であるオンボード・エアジャッキなどを取り外したことで、P1 GTRから60kgの軽量化がされている。リアウィングはより大きなフロントスプリッターとダイブプレーンが採用され、ダウンフォースを40%引き上げた。また、パワーを増加させるためドライブトレインも変更されている。
2017年4月27日、XP1 LMはケニー・ブラックのドライブによりニュルブルクリンク北コースで6分43秒22のラップタイムを記録した。これはサーキット走行専用車を含む市販車での当時の最速ラップレコードであった。
P1 GT
中東の顧客が生産を依頼したというワンオフモデル。F1でいう所のF1 GTR ロングテール。若干リアが延長されており、それこそF1 GTR ロングテールを意識させるリアウイングの形状をしている。
後継モデル
2015年に通常モデルの生産を終了。2017年発表のセナが後継となる。
関連タグ
F1(マクラーレン)→P1の先代
セナ(マクラーレン)→P1の後継
スピードテール→どこかP1らしさが残るアルティメットシリーズの1台
以上の5つはP1も登場した"とある映画"に登場する車。
その映画については1番上の???を参照。
外部リンク
以下McLaren公式: