概要
国内向けには2004年12月発売の「Vodafone 702NK」(Nokia 6630)、2005年7月発売の「FOMA M1000」(モトローラ A1000)に次いで2005年12月に発売された3機種目のスマートフォンである。
なお、この機種を「国内初のスマートフォン」と言う人間もいるが、それは「スマートフォンを最初に名乗った端末」または「OSにWindows Mobileを用いた国内初の電話端末」が正確なところである。
ただし、最終機種となった「HYBRID W-ZERO3」を除き、実際には「電話用ではなくPDA用のエディションを用いたデバイス」に「PHSの電話機能」を載せている。
これはスマートフォン用のエディションの対応する電話機能が「世界中で標準的に使われている通信方式」であるGSM/UMTS/CDMAに対応するためで、そこから外れたPHSの電話機能はPDA用のエディションに別途機能実装を行って用いるしかないためである。
なお、HYBRID W-ZERO3はGSM/UMTSに対応するため、スマートフォン用のエディションを用いているが、PHSの電話機能は別途機能実装している。
本シリーズではPHSの電話機能に「W-SIM」という小型モジュールを用いている。このモジュールは対応する他の機種でも使えたが、その後終息している。
歴史
WS003SH(2005年12月)・004SH(2006年6月)
初代または無印。3.7インチの大型ディスプレイと本体下からせり出すQWERTYキーボードを搭載した端末。無線LANはあるがBluetoothはない。
004SHは003SHの改良版でメモリ容量を増強している。
[WS007SH/W-ZERO3es](2006年7月)
初代と異なりディスプレイを2.8インチに小型化し表側にテンキーを配置、QWERTYキーボードは初代同様本体下からせり出す。
歴代で唯一無線LANもBluetoothもなく、サードパーティから拡張カードが出ていたが、miniSDカードと排他となるほかカードスロットの蓋がしまらなくなる。
[WS011SH/Advanced W-ZERO3es](2007年7月)
前機種と同様に表側にテンキーを配置、QWERTYキーボードは本体下からせり出す。無線LANは復活したがBluetoothはない。
WS020SH/Willcom 03(2008年6月)
表側のテンキーを廃止し本体を小型化、無線LANのほかBluetoothとワンセグを搭載している。QWERTYキーボードは本体下からせり出す。
WS027SH/HYBRID W-ZERO3(2010年1月。メイン画)
QWERTYキーボードがなくテンキーが本体下からスライドする、シャープ製フィーチャーフォンのような形状の端末。
PHSの他GSM/UMTSにも対応しており、UMTS部分は日本通信によるNTTドコモのMVNOに対応する初期モデルと、2010年10月に発売されたソフトバンクモバイルに対応する後期モデルの2機種がある。
これは発売された翌月にウィルコムが会社更生法適用申請により倒産、ソフトバンクが管財人となりソフトバンク傘下になったためである。
その後
2011年にWindows Mobileそのもののサポートが終了したことと、Windows PhoneがGSM/UMTS/CDMAに対応する電話端末のみを考慮するようになったことから、実質的な後継機種としてAndroidによるPHS/3G(※ソフトバンク網のうち1.5GHz帯のみ)デュアルモード端末を、シャープ(SH)と京セラ(K)が各2機種ずつ供給していた。
WX04K/DIGNO DUAL(2012年6月)
ウィルコム初のAndroidスマートフォン。音声通話はPHSと3Gに、データ通信は3Gに、それぞれ対応している。
WX10K/DIGNO DUAL2(2013年7月)
WX04Kの後継機種。前機種に加えてデータ通信は3GのほかAXGP(2.5GHz帯によるTD-LTE)にも対応している。
WX04SH/AQUOS PHONEes(2013年9月)
HYBRID W-ZERO3から約3年半を経ての新機種。京セラの2機種と異なり音声通話・データ通信ともにPHSと3Gの両方に対応している。
WX05SH/かんたんスマホAQUOS PHONEef(2014年3月)
WX04SHのバリエーションモデル。高齢者向けのかんたん機能を搭載している。
なお、メッセージングサービスは下記の通りとなる。
- PHSのライトメールは京セラ製2機種では利用可能だがシャープ製2機種では利用不可。
- PHSのウィルコムEメールは全機種で機種変更の場合のみPCのメールとして設定するか転送することで利用可能。新規契約の場合は取得できないため利用不可。
- 3GのSMS/MMSは全機種で利用可能。仕様はソフトバンクと同一だがMMSのドメイン名が異なる。
また、一時期「PHSの音声端末」と「データ通信専用3GSIMをバンドルしたソフトバンクのAndroid端末」という構成で販売していた時期がある。
2017年4月以降、ソフトバンクが1.5GHz帯をLTEに移行することとなったため、その後は3Gによるデータ通信を使えなくなる予定。どうしても使いたいということであれば無線LANか、対応機種であればAXGPまたはPHSを使うしかなくなる。
@pixiv
これを用いて描いたイラストに多くつけられる。
関連項目
Willcom D4 - WindowsVista搭載のUMPC型端末。初代W-ZERO3を巨大にしたような形状だが音声通話にも対応している。
DataScope - 1997年に京セラがDDIポケット(当時)向けに発売したPHS端末。IBMが開発したPCカード型PDA「ChipCard」を搭載し、アプリケーションの開発・配布が可能だった。後にNTTドコモの携帯電話網に対応するモデルも発売されている。