概要
- ライオンに似たバリ島の聖獣で、善の化身。悪の化身である魔女ランダと永遠に戦い続ける。
- 英語で男爵相当の爵位。
- スタジオジブリの映画『耳をすませば』・『猫の恩返し』の登場人物。
- RPG『ファイナルファンタジー4』に登場する軍事国家の名。主人公たちの出身国でゲームのスタート地点。関連タグにバロン組。
- 1989年公開のテリー・ギリアム監督映画。
- アニメ『ブレンパワード』の登場人物。→バロン・マクシミリアン
バリ島のバロン
バロンは獅子、虎、猪、蛇などの姿をとるとされるが、多くの場合は赤い顔、ぎょろりと飛び出した目、白い体毛、黄金のたてがみ・髭・冠が特徴的な獅子の姿で表現される。
バロンは髭を水に浸すことで聖水を作り出し、常に魔女ランダとその眷族を見張っている。ただし、古くは人を喰らう魔獣だったといわれ、悪霊を従える姿が描かれることもある。
バロンが善、太陽、解毒、若さを象徴する精霊の王であるのに対し、ランダは悪、夜、病、老いを象徴する魔女である。バリでは善悪が均衡することで世界は存在しているとされ、両要素を意味するバロンとランダの戦いは永遠に決着がつかないという。
また1930年代には『マハーバーラタ』の物語の一節を取り上げたバロン劇が作られ、その中でバロンとランダの戦いの始まりが物語られている。
ある時、死神の生贄に捧げられる運命を負った王子がいた。王子は死神に呪いをかけられた母の手で木に縛り付けられたが、それを見て哀れに思ったシヴァが王子に不死の肉体を与え、死神の目論みを頓挫させることに成功する。
敗北を認めた死神は王子の手で殺されるがその魂は地上に残り、悪の化身ランダが生み出された。同時に王子も善の化身バロンになりランダに挑むが、両者の力は拮抗し終わることのない戦いを続けることになったという。
女神転生シリーズのバロン
初出作品は神話中の敵ランダと同じくFC『女神転生』で、“神獣”族の上位悪魔として登場。
また、バロンとランダの対立構造を象徴するイベントや会話もあり、今も昔も女神転生お馴染みの悪魔である。
表裏一体の神性や舞踏劇でのバロンとランダの姿が一脈相通じるところがある為か、『真・女神転生Ⅱ』の頃まで色違いデザインが採用されており、以後は四足獣が基本の姿でシリーズ作品に登場し続けている。
3Dデザイン化されてからは、異形ながら愛嬌のある顔やバロンダンスのような仕草が目立ち、シヴァの特殊合体素材ということもあって一時仲魔として使用されることも多く、独特の魅力をもつ存在である。
バロン(映画)
『バロン』(The Adventures of Baron Munchausen)とは、1989年に公開されたテリー・ギリアム監督の映画。
「ほら吹き男爵」ことミュンヒハウゼン男爵の冒険をモチーフにしたファンタジー映画である。CGはあまり使われておらず、漫画のように周囲を吹き飛ばしながら走る男、貝から現れるヴィーナスなど、幻想的なシーンの数々をミニチュア特撮で表現している。
制作費が4600万ドルと高騰しすぎたわりに、それに見合った大ヒットにならず大赤字になった作品でもある。後のドキュメンタリー『ロスト・イン・ラ・マンチャ』によると、口先だけのプロデューサーに騙され、費用を抑えようとしたギリアムの努力もむなしく、この結果になってしまったという。この件はよほど関係者のトラウマになったらしく、「『バロン』の二の舞は踏むな」が当時のギリアム組の合言葉になっていた。
キャスト
バロン - ジョン・ネヴィル
サリー - サラ・ポーリー
デスモンド/バートホールド - エリック・アイドル
ヴァルカン - オリヴァー・リード
ヴィーナス/ローズ - ユマ・サーマン
ホレィシオ・ジャクソン - ジョナサン・プライス
月の王 - ロビン・ウィリアムズ
スタッフ
脚本 - テリー・ギリアム / チャールズ・マッキーワン
製作 - トーマス・シューリー / レイ・クーパー
製作総指揮 - ジェイク・エバーツ
音楽 - マイケル・ケイメン
撮影 - ジュゼッペ・ロトゥンノ
編集 - ピーター・ハリウッド
製作会社 - Prominent Features / Laura Film / Allied Filmmakers
配給 - コロンビア映画
データ
公開 - 1989年3月17日(イギリス) / 1989年6月3日(日本)
上映時間 - 126分