概要
『逆転裁判』シリーズのナンバリング第6作目。2016年6月9日、ニンテンドー3DS用ソフトとして発売された。
本作のテーマは《法廷革命》。ナンバリングタイトルとしては初めて日本を飛び出し、「クライン王国」という異国の地がストーリーの舞台となる。プレイヤーは「弁護士不在の裁判」が横行する「クライン王国」で裁判に挑むことになる。
本作の主人公は成歩堂龍一と王泥喜法介の2名。その他にも希月心音や亜内文武といった『5』の主要登場人物のほか、宝月茜や成歩堂の助手を務めていた綾里真宵などの旧作の登場人物が登場する。また、本作の「特別編」では、成歩堂の幼馴染の矢張政志が登場する。
基本的なゲームシステムは前作とほぼ同様。また、有料のダウンロードコンテンツが配信されている。詳細は公式サイトを参照。
主な登場人物
依頼人を守る弁護士
1人目の主人公。今回は「異邦の弁護士」として、弁護士不在の裁判が横行するクライン王国の法廷に挑む。
2人目の主人公。成歩堂不在の中、日本の法廷で強大な敵に挑む。
「成歩堂なんでも事務所」の新米弁護士。他者の声を聞いて《感情》を読み取ることが出来る能力を持つ。
成歩堂たちと親しい人々
かつて成歩堂の助手を務めていた女性霊媒師。直接登場するのは『逆転裁判3』以来。現在は「倉院(くらいん)流霊媒道」の家元を継ぐためクライン王国で修行に励んでおり、クライン王国に訪れた成歩堂と再会する。
《カガク》が好きな女性刑事。『逆転裁判4』以来の登場。本作では彼女の念願だった《科学捜査官》として登場する。
成歩堂が9年前に養子に迎えたマジシャンの少女。今作では、劇場「トロンプシアター」でマジックショーの主役として活躍できるほどの実力を持つようになった。
《法曹界の歪み》という異名を持つ検事。前作でつけていた手錠は外され、晴れて自由の身になった。本作では、あるエピソードでなぜか弁護士のパートナー席に立つこととなる。
真宵の従妹で修行中の霊媒師。「遊べる!逆転劇場」成歩堂編では、訪れたクライン王国で事件に巻き込まれてしまう。
特別編に登場。成歩堂の幼馴染で、「事件の影にヤッパリ矢張」と言われるほどのトラブルメーカー。
神秘と信仰の国「クライン王国」の人々
クライン王国でツアーガイドをして生計を立てている、見習い僧侶の少年。
クライン王国の《姫巫女》。霊媒の力によって、被害者の"死の数秒前の瞬間”の記憶を、法廷にある水鏡に映し出すことができる能力を持つ。
クライン王国の法務大臣であり、女王の娘レイファの父親。クライン王国の「法」を支配しており、刃向かう《革命家》を《弁護罪》で裁こうとする。
クライン王国を治める女王で、レイファの母親。絶大な霊力を持ち、民衆から崇められている。
法廷で対決する検事
前作から引き続き登場。日本の法曹界を追放され、流れ着いたクライン王国で「主席検事」となっている。
クライン王国出身の僧侶。国際検事として世界中の法廷で裁判を行う資格を持つ。
成歩堂の親友にして最大のライバル。30代の若さで検事局長に就任している。「遊べる!逆転劇場」成歩堂編では、どういうわけかクライン王国の法廷に立つ。
「遊べる!逆転劇場」王泥喜編に登場。今回は王泥喜と共に、クライン王国から来日したレイファの案内役を務める。
その他の登場人物
クライン王国にある「ジーイン寺院」の住職。レイファが躍る「奉納舞」の演奏者。第1話で事件の目撃者として登場する。
ボクトが飼っている「チベタン・マスティフ」という血統の子犬。
みぬきを尊敬している新米マジシャン。みぬきのステージでバニー役を演じる。
自ら番組に登場する「ニドミテレビ」の名物プロデューサー。実はかなりの‘‘やり手‘‘らしい。
記憶喪失であり、すべてが謎に包まれた男。
司祭マルメル・アータムの妻。事件の被害者となった夫の遺影を肌身離さず持ち歩き、その遺影に話しかけている。死者の声が聞けるわけではなく、あくまで聞こえる気がするだけとのこと。
現王政の打倒を掲げる革命派「反逆の龍」のリーダー。凶悪な指名手配犯として、クラインの民衆から恐れられている。
ある事件で王泥喜が出会った、被害者の子供。ある事故の影響で引きこもりになっている。その正体は……。
ゲームシステム
基本的な遊び方はこれまでの『逆転裁判』シリーズとほぼ同様。本作の主なゲームシステムは以下。
- 霊媒ビジョン
クライン王国の「法廷パート」で登場する。姫巫女のレイファによる《御霊の託宣(みたまのたくせん)》により、事件の被害者が死ぬ直前に感じた《五感》が映像となって、法廷の中心にある水鏡に表示されるシステム。映像には、被害者が死ぬ直前に《見たもの》が視覚化され、《匂い》《音》など五感で感じたこと全てが文字となって表示される。その映像をもとに、レイファが読み取った情報を《託宣》という。クライン王国の裁判では、この《御魂の託宣》が事件の有力な証拠として扱われる。
一見、完璧な証拠に見えるが、映し出された映像とレイファの《託宣》にはムジュンが存在しており、弁護側(プレイヤー)はそのムジュンを指摘していくことで《託宣》の解釈を正しいものに更新していき、事件の真相をアキラカにしていく。映像は、一時停止や巻き戻し、早送りすることが可能。また、レイファが感覚を研ぎ澄ますと《感覚》の細かい情報が変化して映像の解釈が変わることもあり、注意深く観察する必要がある。なお《感覚》と《託宣》のムジュンの指摘に失敗すると、ペナルティを受ける。
- カガク捜査「マルチアングル動画指摘」
2つのカメラで同時に撮影された同じ場面の映像を、早送り・早戻し・一時停止やコマ送り、映像の切り替えをしながらムジュンしている部分を探す。本作では、ほかにも「指紋検出」などの色々なカガク操作を行うことがある。
- サイコ・ロック、みぬく
前作から引き続き登場。どちらも「探偵パート」で使用する。
- ココロスコープ、カンガエルート
前作から引き続き登場。どちらも「法廷パート」で発生する。本作の「カンガエルート」は、前作から演出面が変更されている。
- 心証アイコン
「法廷パート」で表示される、裁判長の心証を表すマーク。本作では前作の心証ゲージから、旧作と同様の5つのアイコン仕様に変更された。法廷パートで選択を誤ったり「つきつける」を失敗する等で裁判長からペナルティを受けるとマークが減っていき、すべてなくなるとゲームオーバーとなる。クライン王国の法廷パートでは魂のアイコンが、日本の法廷パートでは弁護士バッジのアイコンが表示される。
用語
- クライン王国
アジアの西の果てにある神秘と信仰の国。「クライン教」という独自の宗教が根付いている。旧作ではお馴染みの「倉院流霊媒道」のルーツとされており、代々霊媒師の女性が女王となり、国を治めてきた。この国では裁判にも「霊媒」の力が取り入れられており、裁判では霊媒師が死者の魂を霊媒し、亡くなる直前の記憶を水鏡に映し出して何があったのかを読み解く《御霊の託宣》と呼ばれる儀式が執り行われる。そのため、クライン王国の裁判は弁護士が不要とされ、それどころか後述する《弁護罪》のせいで今や国内には弁護士が一人もおらず、クライン王国の法廷は被告人が決して助かることのない「あきらめの法廷」と呼ばれている。
- 弁護罪
クライン王国に存在する法律の一つ。「被告人が裁判で有罪になった場合、弁護した人間も同様の罪に問われる」という信じがたい法律。例えば、被告人に死刑判決が下された場合、担当した弁護士も死刑になってしまう。
23年前、クライン王国で当時の女王が暗殺されるという事件が起き、被告人の弁護士が自己弁護を行った裁判で不正を働いたことが切っ掛けで、当時の法務大臣によってこの法律が制定された。この法律が制定されて以来、弁護士はクライン王国から次々と姿を消し、現在のクライン王国では弁護士不在の裁判が当たり前となってしまっている。
当然、この法律のせいで数え切れないほどの冤罪が生まれたことは想像に難くなく、現在国内では「反逆の龍」と呼ばれる革命派組織が弁護罪撤廃のために現政権の打倒を目指して活動している。なお、クライン王国は表向きは思想の自由を掲げているため、「革命派」と同じ考えを持つからといって、それだけで逮捕されたりすることはない。