ヤモー
やもー
「わたしの言葉は、すなわちドクロクシー様のお言葉...逆らうことは許しませんよ!」
CV:高戸靖広
概要
闇の魔法つかいであるドクロクシーがヤモリから作り出した怪人。
ドクロクシーの手下たちの中ではもっとも偉く、側近と言える立ち位置。
普段はドクロクシーと共に本拠地で活動しているため、プリキュアと対面することは滅多にない。
貴族の様な縦ロールの髪型と黒のシルクハットに茶色のブレザー、首には黒色の蝶ネクタイを身に付けた格好をしている小男で二足歩行するヤモリそのものの姿をしている。
首領のドクロクシーの意思を感じる事の出来る唯一の存在である為、部下にすら何も語らないドクロクシーに代わって、実質的に彼が首領代行として幹部に命令する役目を担っている。
しかし、何か重要な秘密を独占してほくそ笑んでいるようなそぶりを度々見せるため、他の幹部たちからはあまり信用されていない。
スパルダからはーちゃんの存在を報告されただけで、プリキュアが「リンクルスマホン」を手に入れたと気づく等、魔法界の古代の秘密についてもかなりの知識がある様子。
性格
簡単に部下の報告を信じない疑り深い性格をしており、部下には敬語を使いながら慇懃無礼な態度で接している。
基本的には低姿勢だが、憤慨する時には凶悪な性格に変貌し、ドクロクシーの期待に応えられない幹部に対しては高圧的に接する他、役立たずの部下は存在する価値すら無いと考えている。
そのため、敗北した仲間に対する扱いは素っ気なく、そもそも仲間の死自体に興味を示さない冷酷な面もある。
ただし、ドクロクシーのために本来の力を解放しようと決心したガメッツを心配したり、ドクロクシーのためにリンクルストーン・エメラルドを手に入れようとして消滅したバッティを見て取り乱す等、ドクロクシーの役に立とうとする行為に対しては強い感情移入をする。
日々ドクロクシーの憤慨に脅えながら仕えているがその忠誠心は人一倍高く、ドクロクシーが魔法を使用することで力を使い果たすことを常に懸念しており、ドクロクシーが喋るだけでも心配したり、ドクロクシーがプリキュアとの決戦を行った際には酷く取り乱していた程(これがバッティに疑われる所以となってしまったのだが)。
その一方で、主君であるドクロクシーの名を度々騙って悪用しており連敗続きの幹部は「ドクロクシー様がお怒り」と恫喝したり「ドクロクシー様が期待している」というデタラメの激励で部下たちを無理やり従わせている。
ただドクロクシーへの忠誠心自体は本物なようで、作中では一貫して根っからの忠臣ぶりを見せている。
隠し事
闇の魔法つかいの手下の中では唯一ドクロクシーの正体が「クシィ」の残留思念であることを承知していたが、このことは他の手下たちには秘密にしていた。
なお、ヤモーは生前のクシィに対しては全く興味を持っていない。ヤモーが心酔しているのはあくまでクシィの残留思念が闇の魔法によって変質して生まれた「ドクロクシー」という存在である。
基本的に闇の魔法つかいの手下たちは人間という種族を見下している。なのに、自分たちの支配者であるドクロクシーのルーツが人間であることが知れたら、統率が取れないと感じていて他の仲間にも秘密にしていたと思われる。
また、上述のようにドクロクシーは実体を持たない精神体なのだが、この世界で仮初の肉体を維持し続けるために常に大量の魔力を消費し続けている。喋ったり動いたりしないのは魔力の消耗をなるべく防ぐためなのだ。
ドクロクシーは確かに強力な魔法つかいではあるが、同時にとても脆弱な存在でもあるというわけで、このことが白日に晒されれば、ドクロクシーの威信が傷つけられるのではないかと危惧していたのかも知れない。
しかしヤモーは秘密を守るために他の仲間がドクロクシーと接触することを許さなかったため、逆にドクロクシーへの不信を他の仲間に生じさせることになる。
第17話では遂にバッティからドクロクシーは実は人形か何かで、その存在自体がヤモーの作り話ではないかと疑われるまでなってしまった。
また、視聴者からも前例がいた故、ヤモーこそがドクロクシーを操る黒幕ではないかと物語序盤の頃は疑われていた。
(実際はヤモーは黒幕どころかドクロクシーのために全てを捧げる忠臣だったわけだが……)
能力
ドクロクシーが求めているリンクルストーン・エメラルドの在りかを、大きな釜を使った占いにより探索することができる。
占いでわかるのは「いずれかのリンクルストーンが顕現するだいたいの時間と場所」であり、どの種類のリンクルストーンが現れるかまではわからない。
それでもヤモーが示した「だいたいの時間と場所」にいずれかのリンクルストーンが必ず現れており、ハズレはない。
魔法の水晶のお告げのような難解な予言詩の解釈も不要なので、未来予知の能力としてはかなり長けていると言えよう。
また、幹部たちが外出している時でも闇の魔法陣を用いて各地にいる幹部の前に出現することも可能であり、その手段でドクロクシーの意向を幹部たちに伝えている。
更に、自分のしっぽはトカゲの様に切り離すことが出来るようで、万が一捕まった場合はこれを切り離して逃げ去る「秘技・しっぽ切り」という隠し技を持つ。
戦闘能力は未知数。そもそも軍師タイプなので戦場に直接出ることはない。
22話で魔力を使い切って疲弊した校長相手ならば自分でも戦えると語っている。逆に言えば、プリキュアどころか普通の魔法つかい相手にもまともには戦えないのかも知れない。
新生形態
第22話で、ラブーの魔力によって残っていたしっぽから復活を果たし、さらにはドクロクシーに吸収されていた影響からか彼の闇の力を受け継ぎ、これまでとは比べものにならない程強力な能力を得た姿。
それまでとは姿が若干変化しており、身長が少し伸びていて髪型がストレートヘアになっている。また、服装は黒基調のものに代わり若干みすぼらしくなっている。
その結果、どこか没落貴族を思わせる雰囲気となった。
この姿になってからはプリキュアと直接渡り合うために自ら戦場に出向き、ドクロクシーの骨を媒体にしたスーパーヨクバールを召喚して戦うようになった。
スーパーヨクバールは、ドクロクシーを倒されたヤモーの怒りによりそれまでの個体より強化されているので、キュアマジカルとキュアミラクルの技では倒せない。しかし、エメラルドのプリキュアであるキュアフェリーチェならば浄化できる。
本編での行動
「私も…ドクロクシー様のお力に…」
ずっとアジトに閉じこもり直接動くことはなかったが、第21話で最終形態になったドクロクシーへの最後の奉公として自らの力を捧げることを決意。
校長とモフルンは愚かな自殺的行為だと必死に引き留めようとしたが、「秘技・しっぽ切り」を使って振り切り、ドクロクシーに飲み込まれることで消滅した。
その瞬間のヤモーの様子は、崇拝するドクロクシーと同化することでその一部になれるという喜悦に満ちたものであった。
しかしプリキュアとの激闘の果てにドクロクシーの仮初の肉体は粉砕され、ドクロクシーの本質であった「欲望の怨念」もはーちゃんによって完全浄化された。ドクロクシーの闇と同化していたヤモーもまた、はーちゃんの発したエメラルドの浄化の光の中に消えていったことになる。
しかし、切り離されたしっぽの部分だけは浄化に巻き込まれず、打ち捨てられて残されたいた。
そして第22話ではそのしっぽから再生を果たし、上述した「新生形態」となって再登場する。
「わ…私は一体…」
復活を果たした直後、ドクロクシーの残骸である5本の骨を入手し、変わり果てたドクロクシーの身体を見て酷く嘆くと同時に、ドクロクシーの仇であるプリキュアに対して強い憎悪の感情を抱き、今は亡き主君のために彼女達への復讐を誓う。
プリキュアの新たな仲間となった花海ことはがリンクルストーン・エメラルドに選ばれた存在であることを知った後は、ドクロクシーの意思を継いで世界を闇で覆い尽くすためにエメラルドを奪うことも目的にするようになった。
ヤモーを再生させたのは謎の魔人であるラブーであるが、ヤモー自身は復活直後はそのことを知らなかったので「どういうわけか再生していた」という認識であったが、23話でラブーが声だけで接触してきて、自分がヤモーを強化させて復活させたことと、自分がラブーという名前であること以上の素性を教えるつもりはないが与えた力はヤモーが好きに使えばいいとだけ伝えた。
ラブーが何を狙っているのかが判断できず疑念を持ったヤモーであるが、復活して手に入れた力を使わない理由はないとして、あえてラブーの掌に乗ってやることにした。
しかし、ヤモーのプリキュアへの襲撃行動はすべてラブーの観察対象となっており、ラブーはヤモーを使ってプリキュアの力を測ろうとしている様子が伺える。
これは、バッティらを利用していたヤモーが、今度は見ず知らずの第三者に利用される立場となったことを意味している。
みらいとリコの前に復讐に燃える新生ヤモーが初めて現れた時は、はーちゃんとの別れという代償を支払ってまで取り戻した平穏が再び乱された理不尽を受け入れられず、「やめて…もういい加減にしてっ!!」と強い憤りをぶつけていた。みらいとリコの立場からすれば当然の反応ではあるのだが、孤独の身となったヤモーに彼女達は一切の同情をしていない。
ただし、この直後にモフルンが「笑顔を忘れたらはーちゃんが悲しむ」と無垢な心で説得したため、2人は怒りだけに囚われた戦いはしないように心がけるようになった。
一方のヤモーは主君ドクロクシーを倒された恨みを忘れておらず、完全に憎悪に囚われている。
ドクロクシーを失って孤独の身となってからはプリキュアへの復讐のためにナシマホウ界に駐留している。当初は帽子を深く被って顔を隠した浮浪者のような姿で公園に住みついていたが、子供達に素顔を見られて化物がいると騒がれてからは人目を避けて放浪することを強いられるようになった。
また、ドクロクシーへの揺るぎない忠誠心は神格化の域に達しており、彼のカカシ人形を作って崇めている。
そのカカシに対し本物のドクロクシーに対するのと同じように恭しく語りかけ、あまつさえ聞こえるはずがない主君からの献策を受ける妄想をするにまで至っている。
その姿は狂気じみていると同時に哀れでもある。
憎悪の感情に飲み込まれずに笑顔を忘れなかったことではーちゃんと生きて再会できたプリキュアたちとはまさに真逆の道を辿っていると言えるだろう。
25話では人間の青年に化けて、ことはを罠にはめたが、この時の「ヤモーさんですよ」というお茶目な台詞はファンの話題をかっさらっていった。
末路
「この私の全てをかけてプリキュアを倒す...ドクロクシー様どうかこのヤモーに力をお貸しください!」
第26話で、ついにドクロクシーの骨が残り1本となってしまい、自身をスーパーヨクバールの素体とすることでプリキュアを倒すと誓う。
ことはに遭遇すると、自身とむしかごを媒体とした最終形態になり、手始めにことはを捕らえる事に成功する。
その後現れたみらいとリコに対しても猛威を振るったが、ピンクトルマリンの力でことはを解放され、3人になったプリキュア相手にも奮戦するも、最後はフェリーチェの「プリキュア・エメラルド・リンカネーション」を受けてしまう。
「ドクロクシーさまァァァァァァッ!」
その必殺技に耐え切れなかったヤモーはドクロクシーの名を叫びながら浄化され、素体である元のヤモリの姿に戻った。
しかし、もはやヤモーとしての自我や感情も何も無くなったはずなのに、どういうわけか自分のつくったドクロクシーのカカシ人形の傍に寄り添っていた。それが何を意味するのかは語られることはなかった。
最後まで忠臣として忠誠心を見せ続け、悪の誇りを貫いて一切の同情もされずに散っていった姿は一部のファンの涙を誘った。
総括
彼の敗北により、闇の魔法つかいの勢力は完全に潰える事となった。
復活後はキュアフェリーチェのパワーに圧倒されっぱなしで、正直いってフェリーチェのかませ犬でしかなかったという結論になるのだが、何より救われないのは実際にラブーによって(結果論とは言え)プリキュアの力を測るかませ犬として利用されたことである。
ラブーが、ヤモーを復活させたのは「単なる気まぐれ」に過ぎず、プリキュアの存在や脅威についても後から知ったことであるが、とりあえず、ヤモーの仕返しを見届けることとした。ヤモーがプリキュアを倒せた場合は自分の手下として使ってやろうと考えていたらしいが、ヤモーが敗北を重ねて心が壊れていくのを見るうちに呆れていき、ヤモーが倒された際には彼を「あっけない」として見限っている。
ヤモーにとっては第21話でドクロクシーに吸収されたことで主とともに消えることができたことが最高の至福であり、たった一人だけ復活させられたことは希望ではなく絶望でしかなかったのだろう。
余談
- 名前の由来は「ヤモリ」と「野望」を掛け合せたものであると推測される。
中の人について
担当声優の高戸靖広は『プリキュア』シリーズ初出演だが、かつてはその源流とも言える『美少女戦士セーラームーン』シリーズの旧アニメ版において白猫のアルテミスを演じていた(ちなみに新版『Crystal』で同役を担当しているのは『スイートプリキュア♪』でバリトンを演じた大林洋平で、立ち位置が不思議なリンクを見せている)。
また「ニチアサ+魔法」繋がりとして、『魔法戦隊マジレンジャー』の地底冥府インフェルシアの幹部である魔導神官メーミィの声も担当。
更に『まほプリ』と並行して、2016年の最初まで「ニチアサ」トップを飾っていた『ワールドトリガー』にも古寺章平役で出演していた。