概要
別世界とその住人を描いているのが特徴で、現代の主人公が異世界トリップ・異世界転生するエピソード、異世界人・人外が現代に来てホームステイするエピソードは描かれない。
ちなみに異世界転生ものの中には、ハイファンタジーに近い作品もある(転生後、現実が一切提示されないなど)。
異世界でなく、現実の世界を舞台にしたファンタジー(エブリデイ・マジックが代表例)をローファンタジーと呼んで区別する。エピック・ファンタジー、異世界ファンタジーについてはファンタジー記事を参照のこと。
ここでいう「ハイ(高い)」や「ロー(低い)」は、その作品において現実世界との関わりの度合いを示している。現実世界との関わりが低いほど「非現実性が”高い”」のでハイ・ファンタジーというわけだ。設定上は現実世界と関わりがなくても、現代の社会問題の比喩を持ち出したり、現代人の視点から人間性や道徳を教育的な視点で語り出すと「純粋なハイ・ファンタジー」と言えなくなる。
「この世界にはこの世界特有の歴史や文化があり、現代人の価値観で善悪は測れない」ようなノリの作品はより「ハイ・ファンタジーらしい」とされる(尤も、前者と後者の違いは、公式がそこがコンテンツと明言しているかどうかの違いしかないのだが)。
「軽薄・価値が軽い」ライト・ファンタジーと区別された「高尚・価値が高い」ファンタジーのあり方という価値判断で用いられることもあるが、ハイ・ローは単に舞台となる世界によるジャンル分けに過ぎず、優劣はない。
むしろハイ・ファンタジーと言われる作品の多くは「架空世界だから」という言い訳で現実の社会問題や道徳観などを無視して単純な娯楽性だけに寄った作品も多い。作品世界の外観の良さを楽しませる作品・創造神(作者)のテクニックをメタな視点で楽しませる作品も多く、賛否両論となっている(感情移入がしやすい人間ドラマを期待している読者に「絵に描いた餅」「マニアック」などと言われて批判されやすい)。
暴力表現が多い作品、舞台が広い作品、様々な人種・年齢の人が見る作品などで、感情移入のしやすさを狙って敢えてハイファンタジーにする手法もある。
ハイ・ファンタジーは、SFと同様、派生ジャンルが多く輩出されるのも特徴である(詳しくは下記参照)。先述の通り、このジャンルは感情移入よりも作品の造形美を主旨としているが、そこから若年層向けのものや感情移入を主旨としたものやマニア向けのものなど、数多くのジャンルが排出され、独自の路線を歩むようになるケースが多い。
なお「一般的な王道ファンタジー」の原風景とされる指輪物語は、異世界ではなくこの地球の忘れられた太古の時代を描いた物語であるため、厳密にはハイ・ファンタジーではないと解釈されることもある。
ハイファンタジーの派生ジャンル
典型的なハイファンタジーの例
- 『グイン・サーガ』
- 『ドラゴンクエスト』
- 『ファイナルファンタジー』
- 『テイルズオブシリーズ』
- 『守り人シリーズ』 『獣の奏者』
関連タグ
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