概要
ハードSFとは、SF作品の中でも科学考証やSF考証がガチなサイエンティフィック極まりない作品の総称。
解釈は様々だが、例えばタイムトラベルや軌道エレベーターなど、現代視点(作品が公開された当時での)で非日常的な対象を作中に登場させる場合に「科学的・技術的な課題を整合性を保って描写」していればハードSFに該当するとされる。
逆に「既に昔にそうした技術が確立されている世界である」として、悪く言えば「こまけぇこたぁいいんだよ!!」とSF考証を放棄している作品との違いとされる。
ハードSFという概念が提唱されたのは作家P・スカイラー・ミラーが1957年(昭和32年)にSF誌「アスタウンディング」に掲載した評論が初出とされる。
SFという概念自体は1865年に発表されたジュール・ヴェルヌ作の『月世界旅行』以来の歴史をもち、平安時代の『竹取物語』もSFに含まれるという説もあり、現にSF映画として公開された竹取物語も存在する。
いわばハードSFとは、SFジャンルが世界規模で構築されている中途で提唱された「サブジャンルの一つ」であり、SFを構成する基本や原則ではない。
自由国民社刊行の『世界のSF文学総解説』では「SFというジャンルを、SFのもつ科学ムード的、イメージ的側面に重きをおいてとらえていった場合、その中核的な部分にあたる作品をいう」と解説している。
この場合の「科学」とは自然科学を指す。
古典だとアイザック・アシモフやジュール・ヴェルヌ、ロバート・A・ハインラインなどの諸作品が有名。
日本だと小松左京の『日本沈没』や谷甲州の『航空宇宙軍史』、神林長平の『戦闘妖精・雪風』等々が有名。
執筆当時には最先端であった科学考証・通説が後の時代に覆され、結果的にレトロフューチャーと化すこともある。
なお、ハードボイルドとは関係が無い……はずなのだが、作品によっては戦争や利権抗争なんかを背景に非常にむせる世界観が描かれている場合もある。