CV:鈴木勝美
概要
一条輝がスカル大隊ヴァーミリオン小隊長に任命された際にマクシミリアン・ジーナスと共に配属された部下(劇場版では輝と同期のスカル小隊員)。
大柄な大食漢。気の良い男だがいまひとつ見せ場はなく、TV版・劇場版ともに輝やマックスといった天才パイロットの引立て役に回るハメになる。
そしてどちらの作品においてもやたらアクの強い死にっぷりを見せており、物語から退場する様ばかりが語られがちな、変わったキャラである。
TV版
第19話『バースト・ポイント』にて、マクロスの全方位バリアの暴走から逃げ遅れて戦死する。
「柿崎!遅れるな、柿崎!」
「駄目です隊長!間に合いません!!うわああああ!」
「柿崎ぃぃぃぃッ!」
(この時よく見ると、他のメンツよりファイター形態への変形が一瞬遅れているのがわかる。スカル小隊の一員として決して低くはない操縦技術を持ってはいたものの、ほかの2人には一歩劣っていたことがわかるシーンである)
この直前のシーンではヴァーミリオン小隊全員で食事を採っており、好物のステーキを食べようとしたが、出撃命令がかかってしまったためほとんど食べられずに出撃し、そのまま命を落とすこととなった。彼の象徴としてステーキがとりあげられるのはこのためである。直後に命を落とすとも知らず、「あーあ、俺のステーキが……」と残念がりながら食堂を去る姿が哀愁を誘う(本来は一切れも食べられずに出撃⇒戦死となるはずだったが、それではあまりにも可愛そうだというスタッフらの温情により、一切れだけ食べさせてもらっている)。
劇場版
中盤、メルトランディ軍の強さを教えた輝をからかってよそ見していたところ、奇襲をかけてきたミリアの一撃で撃墜され死亡する。
「もしかすると、女ができたせいかな?ふははは・・・うわああああぁ!?!?!?」
「柿崎ぃぃぃぃッ!」
よく見ると、攻撃を受ける前にセンサーが反応している。
ある意味不可抗力ともいえたTV版に比べ、死の原因に彼自身の油断が占める割合が大きく、名誉の戦死と呼ぶのが躊躇される死にざまである。ドラマ的な盛り上がりもなく、より無駄死にの色彩が強い。
河森正治によれば、現実の戦争ではほとんどが無駄死にであることを踏まえ、メインキャラクターの死・退場に際してはドラマを盛り上げるのが基本であった当時のアニメ作品と対照的な演出を意識した結果、このような展開が出来上がったとのこと。
後の『マクロスF』の時代には、柿崎の死から生じたとは明言されていないものの、「作戦中に同僚を女関係の話題で馬鹿にすると死ぬ」というジンクスが伝わっており、早乙女アルトが触れている。
各種マクロスゲーム
やはり出演すれば当然のように死ぬ。
PS2「超時空要塞マクロス」では彼を自機に選択出来るが、特定の面でやっぱり死ぬ。しかもオープニングデモで(当然その時点で撃墜された物として扱われる、更にスコア画面の背景が食べかけのステーキという特殊なものになる)。
PSP「マクロスエースフロンティア」シリーズではTV版における彼の死亡シーンが必殺技『最後の晩餐』として搭載されている。
発動すると(ご丁寧に断末魔の叫び付き)、あの全方位バリアが自機を中心に展開され、ほぼ必ず死ぬ。相手が。
同「マクロスアルティメットフロンティア」にはTV版の柿崎死亡回を再現したステージがあり、敵機を早く殲滅することで「フラグクラッシャー」ボーナスを得ることができる。
正攻法では割と難しい者の、上記の「最後の晩餐」で敵機を片付けると容易に取得可能。因果関係の逆転っぷりが実にシュール。
さらに「マクロストライアングルフロンティア」では、敵パイロットが全て彼というとんでもないステージがある。つまり「最後の晩餐」を大量の敵パイロットがどんどん発動してくるステージであり、TV版の彼の絶望感をたっぷり味わうことが出来る。
スーパーロボット大戦
スーパーロボット大戦αでも、フラグを立てる事で彼の死亡シーンが再現される…のだが、死なない。
しかもイベント後には強力な隠しユニットまで持ってきてくれる。
これは撃墜されてもらうしかないよな?かくして彼はプレイの度に撃墜される。プレイヤーの手で。
ちなみに、ソフトバンクの攻略本ではそのイベントをネタ扱いされ、攻略記事のコメントに
「ああっ!ぼくらの柿崎が!さあ、みんなで一緒に叫ぼう!!柿崎ィィーーっ!」と書かれている。
担当声優の鈴木氏はこの時の顔グラフィックを見て吹いたという。
αシリーズ最終作では「登場直後に撃墜される」というショッキングなシーンがある。
これは前述の劇場版における最期を思わせるシーンであり、(前作以降、シャア・アズナブルを筆頭に多数のキャラが死亡している事もあって)
初作からのプレイヤーを「ああ、ついに彼も…」と感傷的な気分に浸らせたが…
当シリーズに於いてはむしろ「プレイヤーの腹筋の死亡フラグ」と言うべきかもしれない。
ちなみに、彼の不遇さは搭乗機体においても例外ではなく、途中退場の影響もあったとはいえ、他のスカル小隊の面子がエース優先配備のVF-1Jに乗り換える中、彼だけは最期まで一般量産機のVF-1Aに乗ったままであった。
αシリーズ全盛期にはそのネタ性から口の悪いアムロや加速と直撃の一族と並んでスパロボ三大ヒーローと称されていた時期もあった。
スーパーロボット大戦Cardchronicleではイベントで、ELSに同化されかけるシーンがあるがTV版のようにステーキを残してしまったという。(ちゃんと助けられたが)
パイロットとしての実力
彼の名誉のために述べておくが、柿崎の戦績は決して悪くはなく、むしろ全体で見れば上位に入るらしい。要は「エリート部隊のスカル小隊所属だったから目立たないだけ」であり、実は『マクロスゼロ』の主人公・工藤シンより実力が上と言う設定らしい(シンは旧世代のパイロットなのでファイター形態以外は上手く使いこなせないとの事。逆に言えば同世代のはずなのに使いこなしたロイ・フォッカーは天才と言う事か)。
事実、TV版でも輝やマックスと共に多くの激戦を潜り抜けており、バリアの暴走に巻き込まれた死因についても客観的に見れば運が悪かっただけと評価できる(むしろ、生き残る方が奇跡に近い)。更に劇場版での死因も、マックスに匹敵するトップガンナーであるミリアの奇襲を受けたからで、少なくとも雑魚に撃墜されて死亡したという展開ではなかった。
とはいえ些細な判断ミス(変形の遅延・雑談で油断)で命を落としてしまっているのも事実であり、エリート部隊たるスカル小隊等に於いては他より一歩劣っていたという点は否めない。
ゲーム「スーパーロボット大戦シリーズ」においても、実力はある程度評価された性能となっており、機体の改造やパーツの組み合わせを考慮すれば、主力として十分活躍できるものとなっている。
回避系の精神コマンドを覚えてくれないという欠点もあったが、「第3次スーパーロボット大戦α」以降では、パイロットポイントによって能力を強化出来るようにもなっている為、ある程度のカバーも可能になった。